[読者の声No.:648] | |
■ 車を操縦する感覚があり、運転が楽しい AT車と比べて、車を操縦する感覚があり... ![]() |
車生活
従来は多数のボタンで操作していたものが、ディスプレイ式に変わることによって1つのディスプレイのみで済むという方向になっています。そのきっかけは言うまでもなくスマートフォンやタブレットの普及で、従来のような物理キーで操作していた携帯電話とは異なり、物理キーは無しで、ディスプレイ内のソフトウェアキーのみで操作することが一般化したことが挙げられます。
メリットとしては、ソフトウェアの制御のみでアップデートが簡便であり、多数の機能を整理して提供できる点にあります。ところが、必ずしも自動車の運転とマッチするかと言えば、これは違います。自動車の運転時に、運転以外の副次的な操作、エアコン操作やナビ、オーディオの操作といったものは、ウインカーや灯火類の操作と同等の操作性が求められます。つまり、直観的に操作できる、というものです。そのためには、覚えやすい、操作しやすい、視界を奪わない、運転操作に支障をきたさないという性能が求められます。
ところが、近年のディスプレイ式の操作類では確実な運転操作へ支障をきたすものが増えつつあります。エアコンの操作、例えば温度を上げたいというだけの要求に対して、ディスプレイのモード切替ボタンを数回押して、指ひとつ分ほどしかない大きさの、温度上昇アイコンを探して正確にタッチすることが求められます。物理キーではないため、ブランドタッチは不可能で、つるつるのディスプレー面から視覚情報だけを頼りにボタンを探してタッチします。運転中にスマホを操作することが違反となることからも分かるように、視覚を奪い、深視力を必要とするディスプレイ式の操作は運転と相性が悪いものです。
例えばワイパーレバーのように、物理キーであり、なおかつ視界を奪われずに操作ができる。そのような設計になっていた方が、走行中に操作する可能性があるものは適しています。もはや操作の頻度で言えば、ワイパーレバーなどと同等の操作頻度になったと思われるインフォテインメント系に関しても、一部の操作は視界を奪われずに操作できるようにする工夫は必須になったと言えるのではないでしょうか。主にリビングなど静止状態で使用する想定の「スマホ」に習って、ディスプレイ上をタッチして操作する方法は、少なくとも車の運転には不向きです。
他の記事へ【電動化による弊害について】

当サイトで何度か取り挙げている自動運転車の開発ですが、米ラスベガスで新たな事故が発生しました。下記の記事でも課題に触れていますが、危惧されている問題点については、まだまだ解決の糸口がつかめない模様です。下記は当サイトの過去記事です。
まずはニュース記事をご覧ください。
●その自動運転バスの公道走行は、「衝突事故」から始まった──「人間」が絡む課題の数々が浮き彫りに
引用元 https://wired.jp/2018/01/28/las-vegas-shuttle-crash/
自動運転シャトルバスの実験的走行が世界各地で拡大し、ラスヴェガスでは公道での走行が始まった。
ところがスタート早々にトラックにぶつけられる“災難”に見舞われた。人間という「ミスが不可避な存在」への対策が求められるなか、自動運転シャトルバスの公共交通としての可能性について改めて考える。米国における自動運転シャトルバスの時代は、「衝突」から始まった。実際には軽微な衝突だと、シャトルバスの運営側はコメントしている。
2017年11月8日(米国時間)にラスヴェガスの公道で、運転手のいない小型のシャトルバスの運行が開始した。 担い手は、フランス最大の公共交通輸送サーヴィスを提供し、多国籍で事業展開するケオリス(Keolis)と、フランスの自律走行車メーカーであるナヴィヤ(Navya)、そして米国自動車協会(AAA)だ。
このバスは電気自動車(EV)で、乗客を不安にさせないために係員が1人搭乗。8人の乗客を乗せてフレモントストリートの娯楽地区を約800mのループ状に走行していた。
衝突が起きたのは、運行を始めてからわずか1~2時間後のことだ。ケオリスとAAA、さらに実際にバスに乗っていた男性が 「Digital Trends」に投稿した内容によると、シャトルバスは路地に入ろうとバックしていた配送トラックに遭遇して停車した。
この際、すぐ後ろに別のクルマが来ていたので、後退できなかったという(バスに乗っていた男性の報告によると、後方には6mほどの余裕があり、人間の運転手であれば後退しただろうという)。シャトルバスは、配送トラックがゆっくりとバックしながらバスに当たるまで、その場でただ待機していた。
少なくともクラクションを鳴らすことはできたはずだが、ケオリスの説明によると、自動運転システムが予期しない方法でトレーラーが動いたため鳴らさなかったのだという。AAAのジョン・モレノは、「今回のケースは、われわれが回避しようと努力を続けている人的ミスの格好の例です」と述べている。
●自動運転の事故件数が、人間ドライバーを下回れば良い訳ではない理由
今回の自動運転車事故の例は、まさに典型例と言えそうです。記事にある状況で、普通のドライバーであればトラックの動きを予測して、可能な限りバックしてあげるか、クラクションを鳴らして自車の存在を知らせるでしょう。バックするスペースがないなら、場合によっては車を降りてトラックと後続車と言葉を交わして、後続の車列がそれぞれバックしてトラックにスペースを空けるでしょう。そうしないと先に進めないのが明白であれば、誰でもそうするのではないでしょうか。
しかし、AIは予測をしません。人間ドライバーならば、トラック側がこちらに気づいているかどうかが動きで分かりますが、AIの場合は相当数のレアケースの学習を重ねないと無理です。とはいえ、数が少ないからレアケースなのであり、「滅多にない場面だから事故に巻き込まれた」では人間ドライバーと同じです。
このように、人間ドライバーならば起きるはずがない事故が起こってしまう限りは、いくら人間よりも事故全体の件数が少なくなったとしても、自動運転車の普及は望めません。これは、人間の直感と心理的なものが問題ですので、論理的に「事故件数が少なくなれば、自動運転にシフトしていく」とはならないのです。
この現象は社会の他の分野でも頻繁に見られるもので、牛肉のBSE問題や北朝鮮脅威論など、政治経済の話題でもよく見受けられます。毎年発生する食中毒よりも少ないリスクにもかかわらず、全数検査が成されるまで一時輸入禁止措置が取られた牛肉BSE問題や、死者も怪我人も発生せず、軍事的な小競り合いすら発生していない北朝鮮を、あたかも日本人全体の脅威であるかのように過大評価する手法など。これらの問題では、確率論や論理的な計算だけでは、全く世間の情勢を見通すことはできません。
いくら件数が少なくても、ドライバーのいない無人の車が、(人が運転すれば回避できるのにもかかわらず)回避もせずに一直線に衝突に向かっていくのをただただ車内で見守るのは、恐怖以外の何物でもありません。
従って、自動運転車が万人に受け入れられるために必要なのは、事故の絶対件数を少なくすることではありません。そうでははく、次の点が必要になります。
- 人間なら回避できる事故を決して起こさないこと
- 動作は人間の直感に寄り添うこと
- その上で事故件数全体も減らすこと
開発者と運営母体が、これに気づいて対策を取らない限り、今後発生するであろう予想外の事故が毎回ニュースでセンセーショナルに取り上げられ、普及が足踏みをしてしまうでしょう。解決のためには現行のエンジニア集団だけでなく、社会学者の参加が不可欠ですが、現状の取組を見る限りでは、普及が遅れてしまいそうなのが残念です。
グーグルが無人の自動運転車を実証実験していた際も、人間のドライバーが運転していれば発生しなかったであろう事故が頻繁しました。やや急なブレーキを掛ける際、人間であれば追突されないように少し後続車のための余裕を残しつつブレーキを掛けるものです。グーグルの自動運転車は、危険とあらばフルブレーキで、機械だからこその最短距離での制動を行っていたものと見られます。その証拠に、「追突された」事故が最も多かったと発表されています。グーグルは「人間のドライバーだから追突事故を起こしたのであり、自動運転車ならばこのようなミスは起こらない」という趣旨の声明を発表しています。本記事の声明と非常に似ています。しかし穿った見方をすれば「追突させた」という格好であるとも受け取れます。人間は機械のようには最短距離で制動できません。したがって、上記2番目のように、人間の直感に寄り添った動きにすることが非常に大切です。
路上教習に出た教習生の方も、また免許を取得して一般道路を走行するようになった初心者マークの方も、周りの車の運転を見て怖い思いをした方も多いのではないでしょうか。
とくに初心者の方にとって怖いのは、後ろにぴったりくっつけてくるような、いわゆる煽り運転の後続車ではないでしょうか?
こうした方は、なぜこのような運転をするのでしょうか。単純に嫌がらせをしたいと思っているのでしょうか?
実は、近年の車では、本人が悪気がなくても煽るような運転になってしまうことがよくあります。この原理を見てみましょう。
実は煽り運転の多くは、ドライバーの問題ではなくて、クルマ側の問題なのです。
例えば、2000ccや3000ccまたはそれ以上の大排気量エンジンを積んだ車というのは、エンジンに余裕があります。そして、こうした車の大半は6速や7速、場合によっては10速という多段トランスミッションを搭載しています。こうした車は、発進してある程度アクセルを踏むと、どんどん上のギアにシフトアップしていきます。このようなセッティングの車というのは、実は速度調節が難しいのです。
加速してひとたび速度が乗ると、ドライバーとしてはもう加速は十分なので、アクセルを緩める、またはペダルから足を離します。こうするとATは一番高いギアまでシフトアップすることがほとんどで、そうするとエンジンブレーキはほとんど効かなくなり、いわゆる「コースティング」(ジェットコースターのように慣性だけで進むに任せるような状態)のような状態になります。ここで前走車が迫ってくると、ブレーキを踏むしかないのですが、信号停止する訳でもないのに無闇にブレーキを踏みたくないという心理がドライバーに働き、前走車にぶつかりそうなギリギリまで我慢してしまうことが起こります。
そうこうしているうちに、この速度調節の難しさ、うまく流れに合わないことがイライラの原因となりドライバーのストレスが蓄積していきます。これがいつの間にか、前走車の運転が悪い、速度変化が多いのは、前の車が下手くそだからだ、という考えにすり替わります。これは自己防衛の反応のひとつで、心理学的には誰にでも起こりうることです。
つまり、ドライバー自身がもともと攻撃的であったり、嫌がらせを楽しむような人ばかりだから煽り運転が頻繁に見受けられるという訳でもありません。責任の半分は自動車側にあり、自動車のセッティングがドライバーにそのような運転をさせている訳です。
これは、近年の消費者の傾向が「とにかく燃費良く」という期待になっているため、メーカーは燃費に最適化したセッティングを採用しているからです。いわゆるエコモードと呼ばれるもので、通常は最初からこのエコモードが選択されます。いくら燃費が良くても、あまりに運転性が悪いと問題になるため、大抵の車にはエコモードの他にパワーモードやスポーツモードなどが用意されています。また、パドルシフトと言って、ギアを1段ずつ任意に選べる機能を持たせている車もあります。ところが、ほとんどのドライバーは燃費低下を嫌ったり、面倒を嫌ったりして、初期設定のままのエコモードで車に任せて運転します。
こうした運転について、もし自分にも心当たりがあるという方は、ノートe-Powerや、BMW i3などの、速度調節がやりやすい車に試乗してみると良いでしょう。もしくはMTに乗り換えれば、そうしたストレスとは無縁になります。
▼MT車専用サイト
教習所では教えない[MT車を 3日 で完全攻略する裏技]
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高齢者の方の事故が増えています。高齢者が運転する際の事故は近年メディアでもよく取り上げられていますが、高齢者が被害者となる事故も非常に増えています。そして、高齢の方が被害者となると、死亡事故につながりやすいのが特徴です。
山間部など人口が少ない地域では車同士という形で高齢者が関係する事故が多く、都市部では歩行者対車という形の事故が多くなります。一方で、今回採り上げたいのは、都市部の下町や地方都市で多い、自転車に乗る高齢者が被害者となる事故です。
これらの地域では、車での移動が不便で、自転車が、移動手段として多く使われているのが特徴です。駐車料金が高かったり、道路が狭かったりして、車の移動が不便な地域は意外と多く存在します。こうした地域では必然的に、自転車で移動する人が増えますが、高齢者も毎日の足として自転車を使うことがよくあります。
自転車は身近であるが故に、歩行者感覚で乗る方が多く、その割にはスピードも出ますしフラフラと車道に飛び出しやすいので、自動車を運転する側としては特に注意が必要です。高齢者は、足腰が弱っていたり、視野が狭くなっていたり、聴覚が落ちていたり、筋力が落ちていたりすることがあります。こうした特性は、自転車に乗る際には次のような危険な運転になってしまいがちです。
- 漕ぎ出しで転倒しやすい
- 力が足りずフラフラ運転になりやすい
- いざという時の危険回避ができないことが多い
- 後方や側方を確認せずに進路変更しがち
- 転倒などで怪我をすると重症化しやすい
これらの特性を見て分かる通り、自動車を運転する側からすると、小さな子供と同様に、最も注意を注ぐべき交通のひとつが、高齢者が乗る自転車です。車道を走る高齢者の自転車は、他の自転車よりも車間を開ける、無理に追い越さないという配慮が必要です。自車に気づいていない様子であっても、クラクションを鳴らすのは厳禁です。クラクションは危険を回避する場合のみに使用するという原則を守りましょう。
※参考;安全運転協会発行冊子
衝突回避自動ブレーキ、全車速型ACC(オートクルーズコントロール)、車線変更支援、トルクべクタリング、ABS、自動パーキング、電子モニターミラー、踏み間違い防止、ヘッドアップディスプレイ、通信式カーナビ・・・
近年の車は、電子制御化が進んでいます。
いまや、アクセル、ブレーキは極端に言えばただのスイッチでしかありませんし、ステアリングだって現在の技術ではハンドルそのものを取り払ってもコンピューター制御で動かすことは可能です。サスペンションやデフなど、これまでは難しかったメカ系のパーツも制御できるようになっています。カーナビやオーディオなどの電気製品は言うに及びません。
ところが、車が「機械」というより「電子機器」に近づくにつれて、問題点も指摘されるようになってきています。下記に引用するのは、アメリカのコンシューマーレポート誌による記事です。翻訳してご紹介します。
●オーナーが感じる最近の車の2つの欠点コンシューマーレポートは2016年の自動車信頼性調査を発表しましたが、監査人は、オーナーやCR誌読者の間で悪い意味で話題になっている2点に着目してきました。
自動ブレーキなどの先進電子制御や、カーナビ、オーディオ、スマホ連携などを含む、いわゆる「インフォ・テインメント」に関するものが1つ。そして、もうひとつは、高燃費の8速や9速といった多段トランスミッションです。これら2つが問題を引き起こしているのです。
どちらの問題も、さほど驚きではありません。たったの10年ほどで、車はラジオ、カセットデッキ、CDプレイヤーだけ備えればよいというものではなくなりました。いまや複雑なタッチスクリーンが、カーナビからオーディアからスマホまで統合して扱うようになったのです。
ほとんどの自動車メーカーは、独自のインフォ・テインメントの仕組みを構築し、ある程度は機能しているように見えます。しかし、トラブルが少ないこれらのシステムでさえも、いかんともしがたいズレが存在します。
ビジネス・インサイダーでは、数多くのインフォ・テインメントシステムをテストしました。操作性に劣るものには、さほど時間を掛けなかった一方で、全ての欠陥を確認できるほど長期間に車両をチェックしてきたわけではありません。しかしながら、それでも問題は頻繁に確認できました。正しく機能させるのが苦痛である車種や、フリーズしてしまう車種、操作中にストレスが溜まりまくる車種などなど。
高燃費といわれるトランスミッションについては、やや趣が変わります。4速や5速といったATはもはや当たり前になった一方で、最近増えてきた7速や8速、9速もの多段トランスミッションは本当に信頼できるものでしょうか?追加されたギアやギアリングは、進化したECUでのエンジン・マネジメントとともに、より高い燃費数値をたたき出します。
――ただし、それは正しく機能したときに限ります――
近日我々は、運転中の車両における8速や9速のギアにおける動作不良を確認しました。改めて断りますが、テスト中に動作停止になるようなことはありませんでした。しかし、これらは間違いなくオーナーにとってイライラするポイントになるとみています。
これらについて不快な点は、インフォ・テインメントの開発が衰えていないことです。どんどんたくさんの新技術が「こっそり」盛り込まれている現状。この理由は、技術的に可能になったから、そして望む購入者がいるからでしょう。そして、自動車メーカーはより高燃費の車の開発へと向かい、少しでも燃料を食わない方法を開発するでしょう。特に、利率の高いピックアップトラックやSUVにおいては。
自動車メーカーは、この20年で信頼性という意味ではとても大きな進歩を遂げました。もはや、本当の意味でダメな車というのは存在しないというレベルまで来ています。
しかし、このインフォ・テインメントにおける「装備拡大競争」がはびこる限り、もしくはもっと原始的な方法で燃費を追い求めない限りは、せっかく作ってきた信頼性の高さを台無しにしてしまうリスクがあるのです。
出展 米Yahoo!ニュース
上記で指摘されているのは、ナビなどの操作性・信頼性と、トランスミッションの制御の甘さという2点です。しかし、これ以外にも、電子制御によって危うくなっている点は多数あるものと思われます。最近では、駆動系を電子制御するトルクベクタリングを搭載する車が多くなりましたが、中には足回りの機械的なしつけの悪さを、電子制御でカバーしているだけのものもあります。
電子制御部分というのはいわば、脳であり心臓のようなものです。今後ますます大事になることは間違いありません。しかし、いくら賢い頭脳を持っていても、それを支える身体が貧弱では、良いパフォーマンスは望めません。肉体となる機械部分をより進化させることで、それを制御する電子部分が生きてくることになる訳です。
特に、これから運転を覚えようという教習生にとっては、素の状態である、ほとんど電子制御されていない状態の車を運転する経験というのが非常に大切になります。トラブル時には、車の動きは、素の状態の機械の出来に依存するからです。飛行機のパイロットが、緊急時エンジンが停止してしまったり、電気系統がすべて途絶えてしまったときを想定して訓練するのと同じことです。しかし、残念ながら最近の教習車は、新しい電子制御の多い車種に置き換えられつつあります。免許を取得した後でも、なるべく早い段階で素の状態の車を運転する経験を持つことをお勧めします。
2016年11月15日前後に、高齢者による交通事故が相次ぎました。高齢者ドライバーが多いのは今に始まったことではありませんが、死亡事故が短期的に多発したことで、メディアでも大々的に報道されることになりました。
原因はいろいろと考えられますが、まずひとつには、11月14日は数十年に一度のスーパームーンであったことが挙げられます。もともと、満月の日には暴走などによる交通事故件数が増えることが知られています。
原因ははっきりしていませんが、月の引力が関係していると思われ、潮の満ち引きが月齢と連動しているのと同じように、身体の70%が水分である人間にも影響を及ぼすのでしょう。特に神経系は微弱な電気信号によって成り立っているため、僅かな体液の変動も心身へ影響するものと思われます。
まして、今回は数十年に一度という、地球への接近が見られたため、影響が大きかったことをが推測されます。統計的には明らかになっていることですから、特に高齢者の方はこうした時期は不要不急の運転を控えた方が良いのかも知れません。
次に、認知機能が衰えた方でも、簡単にエンジンを掛けて発進することができてしまう車の作りにも問題があるかも知れません。自動車が今日ほどは進化していなかった昔は、ドライバーが行うべき事柄が多く、認知機能に衰えがあればそもそも乗り出すこともできませんでした。故障しやすいため、乗る前に入念にエンジンと補機類を点検しないとエンストやオーバーヒートにつながりましたし、エンジンをかけるにも燃料を手動で調整しないと、外気温によっては始動させることも困難でした。発進もクラッチとアクセルの微妙な操作が必要になるため、明確に発進するという意思がなければすぐ失敗し、失敗は必ず安全方向、つまりエンストにつながりました。
一方で現代の車は、点検いらずでエンジンスタートもボタンで一発、何もペダルを踏まずともスルスルっと動き出します。最近の車ならば、おそらく、小さな子供でも何の問題もなく発進させることができるでしょう(もちろん社会的・法的な視点を無視すれば、ですが)。
こうした点を鑑みると、免許の更新頻度を増やしたり返納を進めたりといった、高齢者から免許を取り上げる方向よりも、70歳以上は「キャブレター車に限る」や「MT車に限る」といった条件付けにするのも案としてはあり得るかもしれません。足としての車がないと生活が成り立たない地域が日本中にあります。車両を限定するだけなら、生活の足を奪うことはありませんし、もし認知機能が衰えて、キャブ車やMT車がうまく乗りこなせなくなった場合、エンストなど自分が影響を受けるミスにつながるだけです。暴走で他人に襲いかかるようなミスにはなり得ません。こうした点では、返納を進めるだけよりも実効性があるでしょう。
不幸な事故が増える前に、現実的な議論が活発になることが、喫緊の課題だと言えそうです。
リスク補償説という言葉をご存じでしょうか。
まるで、生物のホメオスタシス理論(生物が一定の状態、恒常性を保とうとすること)のように、リスクというものはトータルで見ると一定になるという考え方です。
車の運転でいえば、車の技術が発達し、運転がラクになればなるほど、ドライバーは危険な行為をしても平気になってしまうということです。
例えば、AT車が登場して以来、シフト操作から解放された左手を使って、運転とは関係のない動作をするようになったと考える専門家がいます。例えば、走行中にも関わらず、おにぎりやハンバーガーを手にする人が目に見えて増えているというのです。近年に当てはめて言えば、携帯電話やスマートフォンを片手に、運転するといったところでしょうか。「ながらスマホ」の危険性は、至る所で指摘されています。
確かに、昔は両手両足を使ってペダル・ギア・ハンドルを操作し、オーバーヒートしないよう水温にも気を配り、ウインドウが曇らないように窓を開け閉めしたりと、運転に精一杯の注意力が必要とされていました。それが、現代の車は、片手片足で運転できるようになり半自動運転も可能。故障も滅多に起こらず、ドライバーの負担は大幅に減っています。それに反比例するように、ドライバーは車内で、運転以外のことにいそしむようになったようです。
人間は、あまりにも単調で、やることが少なくなってくると、自然と意識レベルが低下するそうです。高速道路などのように、視覚的・感覚的な刺激が少ないところを運転するときは、ラジオを聴くなどして、ある程度は脳に負荷を掛けて意識レベル下げないことが有効だ、というアメリカの研究もあります。
このような視点から心配されるのは、現在開発が急がれている自動運転レベルが進んだ際の、ドライバーの生体です。多くの自動車メーカーは、自動運転と手動運転を切り替える方式、つまり、自動運転からドライバーへと引き渡しが必要な車を想定しています。最初から人間が手動で運転している分には連続性があるため大きな問題はありません。しかし、自動運転の間、手持ち無沙汰のドライバーは何かしらの負荷を掛けておかない限り、意識レベルの低下が起こります。この状態で、急に運転を変わるのは大変危険です。
航空機の例ですが、英国の民間航空機の操縦士の半数以上が、操縦中にコクピット内で居眠りをした経験を持っていることが、調査で分かったそうです。何年もの厳しいトレーニングを受けた操縦士でさえも、この状態です。ましてや、車の一般ドライバーが、自動運転状態からハンドルを受け渡されるのは相当に難しいのではないでしょうか。
さらに、リスク補償説に乗っ取って考えれば、新たな技術が開発されるのに従い、負の面の危険性もクローズアップされることが考えられます。例えば、自動運転を狙ったいたずらが発生したり、悪意を持ってハッキングされる危険性もかなり高いでしょう。一説には、完全自動運転車を初めて実社会で使うのはテロ組織だという見方もあります。
こうした技術革新の一方で、旧車をレストアしながら乗るという、ある種懐古主義的な文化も各地に存在し、このような車も含め公道ではあらゆる交通が交差しています。いずれにしても、自動車は人間が使うツールである以上、人間を第一に考えた設計を望みたいものです。ユーザーは決して技術の展覧会としての車を求めているわけではなく、安心、安全で時には趣味性も兼ね備えた道具を求めているはずです。
自動運転を謳ったシステムを、最初に搭載した国産車は日産セレナでした。同社が「プロパイロット」と呼ぶシステムは、いわゆる自動化レベル2の、「複数の操作を自動車が行う」という段階のものです。もちろん、レベル4の自律運転(ドライバーがいなくても走る車)とはほど遠いものの、自動運転という言葉を使って販売する初めての車ということになります。
折しも同じ年に、米国メーカーのテスラ車が、自動運転中に死亡事故を起こすというニュースがあった中でのリリースとなりました。そこで、実際にテスラ車に乗った記者の感想が記事となっていましたので、引用してご紹介します。(写真は本文と関係ありません)
●本当は怖い? 初の死亡事故が起きたクルマの自動運転、意識改革必要か
クルマの自動運転機能で初とされる死亡事故が2016年5月、アメリカで発生。実際に事故車と同型車を運転したところ、大きな衝撃を受けました。ドライバーは「自動」ということに対する認識を、根本的に変える必要がありそうです。
印象は「メチャメチャ怖い!」
2016年6月30日(木)、クルマの自動運転機能による初の死亡事故が発生したことが明らかにされました。事故が起きたのは今年5月7日。アメリカのEV(電気自動車)メーカーであるテスラモーターズの「モデルS」が、中央分離帯のある幹線道路を自動運転で走行中、前方で交差点を左折しようとしていた大型トレーラーに衝突したと説明されています。
そしてこの事故発生時、ドライバーがDVDを鑑賞していた可能性があるとも報道されています。目撃者によると事故後、車内のポータブルDVDプレイヤーから『ハリー・ポッター』が流れていたとのこと。
事故が起きたのと同型のテスラ「モデルS」(2016年1月、清水草一撮影)。私(清水草一:首都高研究家)は今年1月、テスラ「モデルS」の自動運転を体験し、大きな衝撃を受けました。理由は、多くの記事にあるようにその優秀性に驚いたからではなく、「メチャメチャ怖い!」と感じたからです。
私が恐怖を感じたのは、運転したのが2時間程度で完全に慣れるには至らなかったこともあるでしょうが、それだけではありません。
自動運転のドライバー、注意すべきは「白線の濃さ」?
テスラの自動運転において、ステアリング操作はおもに道路上の白線をセンサーが認識することで行われ、ドライバーがステアリングに手を添えていなくても機能します。しかし白線が薄くなっていたり、消えていたりすると機能しません。私が試乗した首都高上やお台場周辺の一般道に白線が不鮮明な個所はいくらでもあり、それがカーブだと、自動運転によるステアリング操作が一瞬遅れるように感じました。実際、見失っているのかどうか厳密なところはわかりませんが、もしそこで曲がらなかったらぶつかってしまうかもしれませんから、そのたびにステアリングへ手を戻し、自分で操作しました。それはほとんど“肝試し”で、自分で運転するよりはるかに高い集中力を要しました。
つまりドライバーは常に「白線の濃さ」(!)に集中し、前方に白線が薄い部分を発見したら、クルマが行くべき方向を見失うのに備えて、いつでも自らステアリングを切れるよう“心の準備”をしていなくてはなりません。
自動運転を解除して通常の運転に戻すと、その緊張感から解放され、思わず安堵のため息が出ました。少なくとも首都高上では、自分で運転していたほうがはるかに気楽でした。
これが直線道路なら、白線が多少消えていても直進を続ければいいのでそれほど問題はありませんが、カーブの多い道路でそうは行きません。接触事故レベルならそれほど特殊な状況でなくとも起きるのでは、というのが個人的な感触です。
「自動ブレーキ」とは逆になる「自動運転」
テスラの自動運転センサー技術は、スバルの「アイサイト(ver.3)」と同レベルか少し劣っているというのが、専門家の一致した見解です。つまり、テスラの自動運転をONにするのは現時点ではまだ「冒険」であり、自分で運転するよりも高い集中力が必要です。またテスラの自動運転は、ウィンカーを出すと車線変更も自動的に可能ですが、交通量の多い道路ではまさに「冒険」そのもの。ウィンカーを出すタイミングを測るには、非常に高度な運転先読み技術が必要です。逆にそこが面白味でもあり、個人的にはこれほどのリスクを冒して新技術の実用化にいち早く挑戦するテスラ社には尊敬の念を抱いていますが、ドライバーは「自動運転のほうがかえって難しい」という事実を理解する必要があります。
(中略)
自動運転がONになっているときは、“ドライバー自身が最後のセーフティネット”です。いわゆる「自動ブレーキ」は、“人間のミスをカバーする機械的なセーフティネット”ですが、自動運転の場合、その順序が逆になるのです。
しかもドライバーには「クルマが危機を回避してくれるはず」という予断があり、危ないと思っても、「いや、もう少しクルマにまかせよう」と思ってしまいます。たとえわき見をしていなくても、その分、ブレーキを踏んだりステアリングを切ったりする動作が遅くなる可能性が高いのです。
テスラ社に限らず、現在の自動運転技術はまだあくまで「ドライバーをサポートするもの」です。では、ドライバーが介在する必要のない「完全自動運転」が実用化されるのはいつでしょうか。
それは「自動運転による事故の確率が限りなくゼロに近づいたとき」としかいえません。特に、一般道における自動運転は歩行者や自転車という不確定要素が存在しますから、ドライバーが“最後のセーフティネット”として待機しない限り、なかなか難しいでしょう。
たとえリスクが限りなくゼロになっても、万が一の事故の際には、誰かが責任を取らねばなりません。免許を持たない高齢者が通院に自動運転車を使えるようになるのは、かなり遠い未来のことだと予想します。
引用元:乗りものニュース 2016年7月6日 0時0分
上記の記事にもありますが、当面の問題点は「自動運転」という言葉を使ってしまうことにありそうです。普通、自動運転と聞くと人間が運転しなくても走行してくれる状態、いわゆる自動化レベル4相当の車をイメージします。少なくとも、機械的な仕組みを意識することなく、コンピュータの判断をおおむね信頼しても良いものだ、という印象を受けます。実は、多くの人が抱くこのイメージは「自律運転」のものであり、一部もしくは複数の操作を「部分的に」コンピュータが代行してくれるものが現状の「自動運転」です。
しかし、テスラ車で事故に遭ったドライバーも(本当かどうかは未だ不明ですが)車内で映画を鑑賞していたという報道もあり、自律運転車のつもりで乗っているドライバーが多いのではないかと思われます。それもある意味、無理からぬことで、何しろテレビCMなどでは、あたかも自律運転車であるかのように、ドライバーがリラックスした姿をイメージさせています。ところが、レベル2である現状では、上記記事の通り、通常の運転よりもむしろ集中力を高めて、コンピュータの認識ミスを常時監視していなければならないのが現状です。
それにもかかわらず、(現実よりもより良く見せるために)未来を先取りしているかのようなマーケティングを行うのは、恐らく株価を意識してのことでしょう。テスラのように、自社商品のユーザーが自動車メーカーの広告を受けて自律運転車であるかのように扱い、その結果事故につながってしまえば、技術力のイメージを棄損してしまうはずです。米国は新しい技術での失敗に対しては、比較的寛大な態度を取るお国柄ですが、日本は違います。自動運転車を過信して死亡事故を起こし、その原因が車を過信させるような広告にあったとしたら、イメージの棄損は大きいでしょう。そのようなリスクを取ってでも、大きく広告を打たなければならない台所事情もあるのかも知れません。
機能自体は決して悪いものではなく、渋滞時の疲労軽減など大きな可能性を秘めています。広告を見て過大な期待を抱くのではなく、ドライバーとしては、正確な認識を持っておく必要がありそうです。すなわち、「従来からあるクルーズコントロール機能が強化され、一部ハンドル操作もできるようになった」というものです。プロパイロットを使う方は、安全を最優先して徐々に慣れるように使い始めることをお勧めします。
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●近未来のクルマはこうなる
1997の初代トヨタプリウスを皮切りに始まった、次世代エネルギーの自動車。近年はEV(電気自動車)やFCV(燃料電池車)、ディーゼル、高圧縮エンジンなど多様な技術が開発されてきています。
そんな次世代のクルマの動向を探るべく、先日パシフィコ横浜で催された「自動車技術展」を訪れましたので、レポートします。

★ハンドル・ペダルは半分をコンピューターが操作
現時点で操作系、すなわちドライバーが手足で操作する部分というのは電動化が進んでいます。すでに、市販されている車のほとんどは電子制御スロットル、電動ABS、電動パワステを備えています。
十数年前までの車は、主に油圧を使った操作系が中心となっていました。パワステにしても、エンジンの動力をベルトを介して分けてもらい、オイルポンプを回すことで軽々とハンドルを回すための動力としていました。アクセルペダルも、ワイヤーでスロットルとつながっていたため、ペダルを踏んだ量=スロットルを開けた量という図式が成り立っていました。
ところが、現在の電動制御の車は操作系統のペダルやハンドルが直接的に機構とつながっておらず、無段階で調節できる、いわゆる「スイッチ」となっています。そのため、アクセルペダルなどは、急激にペダルが踏まれた場合はスロットルを開けないという制御も可能です。
またブレーキも、電動で制御されるABSをカメラやセンサーと連動させることで、自動ブレーキが可能になっています。昔の単純な油圧機構のみのブレーキでは、このようにドライバーの操作なしに自動操作することはできませんでした。つまり、これらの操作系をコンピューターで制御するようになるということは、人間からの入力がなくてもあらゆる操作することが可能になるということです。
車両やエンジンの制御を行うコンピューターをECUと呼びますが、このECUの情報をインターネット等のネットワークに接続することで、外部からの操作も可能になります。つまり、車をラジコンのように遠隔で操作することも可能な訳です。実際、アメリカの実験では、現時点で市販されている車でも、カーナビのネットワークを使って外部から動かせることが明らかになりました。これは、タクシーやトラックのような配車用途であったり、ドライバーに発作などが起こったような緊急時に外部から操作できるというメリットが考えられます。ただし、一方では、セキュリティの問題が懸念されます。インターネットのウイルスと同様に、外部から悪意を持った第三者が、オーナーの意図を離れて車を動かせてしまう社会になると、まさに走る凶器と化してしまいます。
他方で、このような操作系を電子化することのメリットとして、ドライバーの運転スキルを客観評価できることが挙げられます。アクセル、ブレーキ、ハンドルといった運転操作が電子化されているということは、これらの操作を逐一記録したり、モニターすることができるということです。また車体の傾き具合を計測するGセンサーと連動すると、滑らかな運転、車酔いをさせにくい運転と言った、「運転のうまさ」を客観的に評価することが可能になります。
このことは、ドライバーの意識を高めることに留まらず、事故率の低減や、保険の点数にも影響してくるでしょう。実際、自動車損保会社は既にこれらの運転スキルの指標をデータで集めるプロジェクトを、実験的に開始しています。つまり、運転が上手で、事故の可能性が低いドライバーほど保険料が安くなる、というふうに変わっていくのです。これまで、教習所などでは、運転の上手・下手の評価は、指導する側の経験と勘に頼っていたところがありますが、これからは数値で定量的に評価できるようになるでしょう。
ただし、このような操作系の電子化には、デメリットも少なからずあります。特にハンドル操作の電動化に関しては、油圧のようにダイレクトではない点が課題となっています。ハンドルというのはドライバーが操作してタイヤを回す、という一方通行のものではなく、タイヤを動かす路面の状況を、ハンドルを通してドライバーにフィードバック(情報提供)するのも大切な役割です。しかし、電動パワステではこのフィードバックが素直ではなく、違和感を覚えるものになりやすいのです。その結果、高速道路などを直進するだけなのに、常に細かく舵角修正しないといけない車が増えています。マツダなどの一部メーカーでは、この課題に取り組み始めているようです。
★タイヤの駆動はコンピューターが制御
タイヤは四輪が独立して、自由に細かく動きを変化させることができるようになりそうです。従来の車は、前輪なら前輪の2輪。後輪なら後輪の2輪が、同じ動きをするというのを基本とし、曲がる時のみにデフ(差動装置)で僅かに回転差をつけてやるというのが一般的なものでした。
ところが、電子制御技術の発達で、デフそのものを電子制御したり、新技術であるインホイールモーターなどの開発によって、「タイヤの自由度」が格段にアップしそうな気配です。
これらの電子制御技術が実現することで、路面の滑りやすさや傾斜などに応じて、コンピューター制御でタイヤ1輪ごとに柔軟にグリップさせることが可能になります。これにより悪路での走破性や、雪道での使い勝手は大きく向上するものと思われます。ただし、これまで以上にきちんとしたタイヤの点検は欠かせなくなります。
また、これらの駆動制御が、Gセンサーと組み合せられることによって、タイヤがグリップの限界を超えないような制御も可能になります。現状でも、スリップ防止のための電子制御は可能で、多くの車でESPなどの名称で標準・もしくはオプション装備されていますが、これがさらに高度になるイメージです。タイヤのグリップを常にいっぱいに使った走行や、逆に常に30%程度に抑えた運転などが、コンピューター制御で可能になるということです。つまり、どんな路面でもスリップしないクルマ、そして酔わないクルマが可能になるということです。
なお、マツダが「Gベクタリング」と呼んでいる技術では、直進するための細かなハンドル制御を、車が代行してくれることで、長距離運転での疲労軽減が可能となります。

★メーターはモニター画面に変わる?
運転席で一番目立つ変化は、メーター周りでしょう。現状では、まだ多くの車が普通の機械式メーター、つまりアナログ時計のように針が動いて速度などを示すタイプ。デジタルメーターは、高級車やハイブリッド車など一部の車種に限られています。しかし、今後はメーター全体が1つのディスプレイとなり、そのディスプレイにメーターの画像を表示させるというタイプになりそうです。
ヨーロッパのメーカーではすでに一部市販されていますが、従来メーターパネルがあった箇所にモニターが映し出され、後方カメラ、左右カメラの映像のほか、カーナビの経路なども映し出します。そして、車の周囲についたモニターカメラの画像を、このメーターパネルモニター内に映し出す形になるでしょう。
一部車種では、すでにお馴染になっているヘッドアップディスプレイ(フロントガラスに投影するモニター)も普及が進み、速度や燃料計など、運転中に頻繁に確認する情報は、視線移動が少なく済むこの位置にくることになります。
これらのメーター情報やエンターテインメント情報は、スマホに近い操作感で、ナビ、音楽ほか、車庫入れ操作やクルーズコントロールなどの制御が可能になるはずです。
そして、逆に車内にはドライバーを映すカメラが搭載され、ドライバーの健康状態を常にモニターするようになるかもしれません。ドライバーの健康状態であったり、自動運転と人手での運転の切り替えのために、ドライバーをモニターすることが必要になるからです。

★ルームミラー・サイドミラーは無くなる?
車載カメラの信頼性が高くなり、昔ながらのミラーによる後方確認は徐々に無くなる可能性があります。特に車外にむき出しで設置されるサイドミラーは、空力特性を悪化させて燃費に悪影響がありますし、車の全幅を広げてしまう意味で車の取り回しを悪化させています。これが、小型カメラに代替されることで、燃費も向上しますし、モニター映像をメーターパネル付近に映すことで視線移動も少なくなり、事故の減少にもつながると考えられています。なお、こうしたサイドミラーレスは近年中に市販される予定です。
さらに、サイドミラーだけでなく、車の回りをぐるっと覆うように、多くのカメラとセンサーが搭載されます。これによって、従来の法定のミラーだけではどうしても出来てしまっていた死角が、将来的には無くなる可能性があります。ただし、万が一カメラが故障した場合のための、バックアップ用ミラーは搭載されるかも知れません。
★オートクルーズの大幅進化版
旧来のオートクルーズと言えば、高速道路などでスロットルを一定の開き具合に保ってくれる、というだけのものでした。上り坂がくれば速度が低下しますし、前が渋滞ならしっかり自分がブレーキを踏まないと追突してしまいます。
近年の追従型オートクルーズは仕組みが異なり、スロットルが電子制御になって、ブレーキも電子制御が可能になったことによって、レーダーやカメラが捉えた前車との距離を一定に保ったり、勾配に関わらず速度を一定に保ったりできるもの。これにハンドル制御(レーンキープ)を加えたものが、徐々に市販され始めています。
これがさらなる進化を遂げ、車じゅうに張り巡らされたカメラやセンサーによって、人間や障害物などの道路上の動きを常に補足。周囲の状況に応じて、柔軟にハンドル・アクセル・ブレーキを車が操作してくれるオートクルーズとなるでしょう。これは、もはや半自動運転と呼べるものです。
自動運転には、さまざまな課題があります。まずは、法律との兼ね合いの問題。事故の際の責任の所在や、故障の際の責任の所在をどうするか。さらには、タイヤの消耗具合やベルト摩耗、オイル漏れなどの、自動では難しい点検を所有者が怠ったために事故が発生した場合、責任の所在をどうするのか。また、道交法違反への対応と、自然災害などイレギュラーへの対応も課題です。例えば、電車の線路に飛び込むかのように、道路上へ飛び降りた自殺志願者への対処はどうするのかや、落石や倒木、道路をふさぐ枝などにはどう対処するのかなど、想定すればきりがありません。恐らく海外では、「自動運転車に轢かれた場合、轢かれた方が悪い」といった大胆な政策を取る国が、開発を有利に進めることができるでしょうが、日本では難しいでしょう。

★キーとなるのは電子デバイス
ここでご紹介した、すべての次世代技術は、従来の言葉で言う「電装系」がキーとなります。車というのは誕生から100年間、内燃機械とギア・鉄鋼技術などの機械工学によって作られてきました。バッテリーなどの電気系統は、あくまでもライトの点灯やエンジン始動、エアコンなどの快適装備や娯楽用途に限られた役割でした。ところが、近年は急激に電装系の進化が進み、車はもはや電気電子工学によって作られるといっても過言ではないかも知れません。
従って、すでにハイブリッド車で体現されているように、蓄電池と発電機の役割が非常に大きくなります。バッテリーと言えば鉛バッテリーのことを指していた従来とは異なり、高効率・小型化が可能な次世代のバッテリーの開発が進んでいくはずです。動力としての電気は、充電に時間が掛かったり、そもそもエネルギーの保存が難しいといった欠点があります。これらの研究開発が、今後の自動車のあり方を決めると言っても良いでしょう。
また、電装系の進化は、この20年で急激に発達したIT業界が、自動車業界に出会った結果でもあります。アップルのiPhoneが、カープレイという自動車向け機能を搭載したことは、その象徴でもあります。しかし、ここで懸念されるのは、開発思想が違うといわれるIT業界と、機械系の重工業界がどう折り合いをつけるか、という点です。IT業界の常識である「売ってからバージョンアップすれば良い」、では死者が出る恐れもあるのが自動車です。他社を出し抜く開発の速さと、信頼性の確保をどう両立していくかがポイントになりそうです。
また、先にも触れた自動運転技術ですが、これが社会を一変させるほどの普及を遂げるのは、まだまだ遠い未来になりそうです。自動運転、正確には自律運転を実現させるための核となる要素はAI、つまり人工知能の技術です。単に膨大な量を計算するという従来のコンピューターとは異なり、AIでは情報を学習したうえで人間のように「予測」することが可能になるからです。車のように早い速度で動くものは、予測することなしには安全な選択ができません。この複雑な課題を解決するのがAIだと考えられています。ところが、AIにはフレーム問題という未解決の難題があります。
フレーム問題とは、簡単に言えば「囲碁や将棋などのようにルールが決まっていて、そのルール内の出来事しか起きない、という状況でしかAIは活躍できない」というものです。道路交通にも、もちろんルールはあります。ところが、すべての人や車が道路交通法を守って動いている訳ではありません。こうしたルール違反の相手に対して、どう対処するかは、非常に難しい問題なのです。例えば子供などは、誰もが予測できないようなルール無視を無邪気にやってしまうことがありえるでしょう。しかも、今までAIが実験されてきたような、ロボットやゲームなどの分野と違い、道路交通というのは人命が掛かってくるもの。もし1万分の1でもエラーが起これば、毎日どこかで事故が起きてしまうという世界です。本気で完全自律運転車を開発させようとすると、数十年にも渡る実際の道路でのAI学習が必要で、当然事故が何件も起きる可能性がありますが、これらに目をつむれるかどうか、という話になります。おそらく、日本の道路事情、法律面を考慮すると、非常に長い道のりになるでしょう。
一方で、マツダのように、自動運転を開発しつつもドライバー中心の理念を掲げているメーカーもあります。自動車メーターそれぞれが新技術と、各社の開発理念にどう折り合いをつけていくのか、楽しみに見守りたいと思います。
マツダが考える「自動運転の未来」が興味深いので、ご紹介します。
ふつう、自動運転という言葉から連想されるのは、運転手のいない車両であり、モノレールなどの公共交通機関をイメージする方が多いと思います。もしくは、ドライバーがいないタクシーのような存在。それは、純然たる「移動手段」であって、所有する喜びとは無縁の世界です。
このような無人タクシー的なものであれば、そのボディデザインがどうだとか、エンジンの馬力がどうだとかは話題にすらならなくなるでしょう。どの自動運転車も同じ速度で、同じように、同じ時間を掛けて走るのであれば、メカニズムはドライバーが知るべきものでもなくなります。関心は、もっぱら室内の部分、例えばシートの座り心地や内装の使い勝手といったところに特化することでしょう。
ところが、マツダが考える自動運転車は違います。あくまでも、ドライバーが運転する乗り物としてのクルマを主体にする。そして、万が一のドライバー操作の失敗時に、安全回避のための動作をアシストする。つまり、裏方に徹する、というのが同社が考える自動運転のあり方のようです。
モータージャーナルの池田直渡氏は、アメリカの心理学者、ミハイ・チクセントミハイの著書を引用しながら、次のように述べています。
「スポーツカーの運転は人間にとって本質的に価値がある行動だから、人はスポーツカーに乗るのである。」
つまり、人間が車を運転するという行為自体に、人間の文化的行動・生きがいや喜びを得る要素が詰まっているということです。例えば、楽器に置き換えると分かりやすいでしょう。ピアノを習うのは大変なことですが、自動演奏機能がついていれば、誰でも気軽にそのピアノの音色を楽しめます。でも、もし自動演奏しかできない、つまり鍵盤が動かないよう固定されていて、機械が奏でるだけになったら、果たして楽しいものでしょうか。
これは、次のような例と本質的には同じことでしょう。子供が、初めて三輪車に乗ったときのはしゃぎ具合。犬をクルマに乗せた時、景色へ釘づけになること。その”前のめり”具合。猫が自動掃除機「ルンバ」に、なぜか乗ってしまうこと。要するに、自分の足とは別の乗り物で移動すること自体に、人間(を含む動物)は喜びを感じるように出来ているのでしょう。このような乗り物に乗り、自らハンドルを握ることは、主体性を発揮することにつながります。
このマツダの考える自動運転は、NHTSA(米高速道路交通安全局)などが定義している自動運転の段階で言えば、レベル1~2に相当します。一般的にはレベル4の「完全自動走行システム」、つまり運転席すらないようなものを、最終目標であると見る向きがあります。
しかし、飛行機のオートパイロットの成立要件を見ても分かる通り、レベル4は相当に難しいものです。万が一のシステムトラブルは人間が対応するのはもちろん、一般的な操縦(車では運転)を全て手動で過不足なく操縦・制御できる人間でないと、結局は乗務(車では乗車)できません。現在の旅客機はオートパイロットの信頼性が高いとはいえ、乗務員の訓練は、車の教習所の比ではないほど厳しいものです。なぜなら、人命に関わる乗り物だからです。人命に関わる乗り物であるという点で、自動車と飛行機はそれほど違うものでしょうか?単独の乗員数が少ない車であっても、交通事故で人を死傷させるリスクはとても大きいものです。
このように、結局人間の運転が介在するのであれば、マツダが目指すようにレベル2相当の自動運転を最終目標にすることは合理的ではないでしょうか。チクセントミハイが述べるように人間の本質的な喜びを確保しつつ、車側がその安全面を保障し「黒子」に徹しつつサポートする。これこそ、人馬一体を提唱しているマツダの理念に符号するもので、本来車が向かっていくべき未来と言えるのではないでしょうか。
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