AT車は、ペダルの踏み間違い事故だけではなく、幼児が誤って運転操作をしてしまわないように注意する必要もありそうです。なにしろ、幼児どころか、「犬」でも運転できるということが思わぬ形で実証されてしまったのですから。

 

わんぱくな犬が車を運転しスーパーに衝突!?

アメリカでわんぱくな犬が車を運転しスーパーに衝突してしまったそうだ。飼い主が買い物中、車に乗っていることに飽きてしまった2匹の犬は、車を運転するという命知らずの行動に出たようだ。幸いにも2匹とも無事でけが人もいなかったそうだ。車にひかれそうになったという女性は、初めは運転手が悪ふざけをしているのかと思ったが、運転席に犬がいるとすぐに気づいたという。また、別の目撃者は「犬が運転できるなんて知らなかったよ。犬は親友でもあるし、こんな状況だと敵にもなるね」と話した。
http://tocana.jp/2016/08/post_10553_entry.html

 

もちろん、「運転できる」といっても法規に乗っ取って運転できる訳はありませんが、それでも「動物でさえ発進できてしまう」というのは考え物です。MT車では、教習所で誰もが苦労する発進時のクラッチ操作ですが、これがある種のフェイルプルーフになっている訳です。発進の仕方を教わっていない限り、エンジンを掛けても車を動かすことができない。この単純なようでいて物理的なロック機構が、かつてはうまく効いていて、子供が意図的もしくは意図せずに車を動かしてしまうということは、まず起こりませんでした。ところが、AT車が普及した現在、小中学生が無免許で運転して大事故を起こすというニュースを毎年のように目にするようになりました。

このように、MTを搭載した初期の自動車は、機械系の仕組みがほとんどであったため、フェイルプルーフを考慮した設計がなされていました。クラッチ操作を習った人間でないと発進できませんし、万が一ペダルを踏み間違えたりしても、安全側の動きをする、つまりミスをするとエンストによって停止するようになっていました。またギアチェンジの際のシフトパターンも、発進時は前(上)方向にレバーを動かすという、直感に忠実な操作方法が設計されていました。

ところが、機械系よりも電装系の割合が多くなった現在の車では、上記のような機械設計による安全策が軽視されるようになりました。その結果が、ペダルの踏み間違い事故などに現れています。上記の「犬が運転」という記事も同様です。自動運転に向けて電子制御の開発を進めるのは良いことですが、完全自動運転が実現するまでは、あらゆるタイプの人間が運転するということをもう一度考えて設計を見直す時期に来ているのではないでしょうか。