事故が起こりやすいシチュエーションとは?
アクセルとブレーキの踏み間違いの可能性は低そうですが、示唆に富んだ事故のニュースが入りましたのでご紹介します。
場所は福島県。国道4号線という主要幹線道路で起こった「右直事故」です。関わった車は、普通乗用車1台と、軽乗用車1台です。
交差点で車衝突、親子2人死亡 白河市
福島県白河市の国道4号の交差点で軽乗用車と普通乗用車が衝突する事故があり、親子2人が死亡、男性2人がケガをした。
25日正午頃、白河市の国道4号交差点で右折しようとした軽乗用車と直進しようとした普通乗用車が衝突し、その弾みで信号機にぶつかった。この事故で、軽乗用車に乗っていた矢吹町の中学2年・湯田慎太郎さん(13)が死亡し、運転していた母親の美奈子さん(41)も搬送先の病院で死亡した。普通乗用車は試乗車で、運転していた試乗中の男性と同乗していたディーラーの男性が軽いケガをした。
警察が当時の信号の状況など事故の原因を調べている。
出典:日テレNEWS24 2014年05月25日21時42分
この事故から見えてくるのは主に次の2つのことではないでしょうか。まず1つ目は、軽自動車に潜む危険性。もう1つ目は、試乗車の運転という「非日常性」です。順に見ていきましょう。
軽自動車の物理的リスク
まずこの事故は、試乗車である普通乗用車が、ドライバーの男性とディーラーの男性を乗せて直進していたということです。ここに、対向車線で右折待ちをしていた軽自動車が、タイミングを誤って右折してしまい、正面衝突してしまったという「右直事故」の典型例だと考えられます。
ここで、2つの車両が衝突したにも関わらず、普通乗用車の2名は軽傷、軽自動車の2名は死亡という事実があります。もしも乗っている車種がお互いに逆であれば、結果が逆とまでは言いませんが、死亡事故までには至らなかったものと考えられます。
軽自動車の安全装備に不備があるとか、コスト重視で乗員を守る強度が不足しているということを言いたい訳ではありません。軽自動車は、その名が示している通り「軽い」のが一番の特徴です。他のほとんどの車両よりも軽いのが軽自動車ですから(二輪車を除く)、事故の際に受ける衝撃の大きさは必然的に大きくなってしまいます。極端ですが、軽いアルミ缶と、鉛の固まりをテーブルの上で強くぶつけてみるとよく分かります。強い衝撃を受けて変形してしまいやすいですし、軽い分だけ跳ね飛ばされやすいのも問題です。実際、この事故では軽自動車だけが大きく跳ね飛ばされて信号機に衝突してしまいました。ニュースの元記事には写真が付いていますが、軽自動車の方は原型を留めていないほど潰されてしまっています。
確かに価格も安くて手軽に走れる軽自動車ですが、道路上では物理法則に従って運動する鉄の固まりでしかない訳ですから、そこに潜む「軽さ」という危険性をよく認識しておく必要があります。しかも、元々これだけ軽くて不安定な作りであるにも関わらず、顧客の(無茶な)要望に答えて荷物が多く車内に詰め込めるように車高の高い腰高な軽自動車が増えてきています。雨風の強い日の高速道路では、カーブで横風を受け、スリップしてしまうことも十分想定しておきましょう。
非日常のシーンは事故と隣り合わせ
もうひとつの注目点は、事故相手が試乗車であったということです。この直進車側には、優先があるためほとんど非はないように思われます。ただし、当然前方に注意する義務はありますから、衝突を回避するために打てる策が他にもあったかも知れません。特に、試乗車を運転して、ディーラーの方を助手席に乗せていた状態ということですから、もともと精神面での乱れがあった可能性はあります。
乗りなれない車を運転したり、普段とは違う人を乗せて運転すると、人によっては大きく精神的に乱れる場合があります。電話や助手席の人との会話で、深刻な話をしているような場合にも同様のケースが起こり得ます。メンタル面のコンディションが不十分であるときは、普段なら問題なくできる内容でも、なぜかうまくできない、物事を正しく認識できないといったことが起こります。この事故でも、そのような心理的な不調が悪影響を及ぼしていたことを否定できません。
いずれにしても、大きくて広い交差点ほど、交通量も多いため事故が起こりやすいということを認識しておく必要があるでしょう。