奈良市でAT車の踏み間違い事故が発生しました。8台が絡む事故という重大なものでしたが、幸い死者は出なかった模様です。ドライバーは88歳の男性ということで、頻発する高齢者によるAT車の踏み間違い事故の典型例と言えそうです。

88歳運転の車が事故、3人軽傷「減速しようとしたら加速」 奈良
 22日午後6時40分ごろ、奈良市神功(じんぐう)の県道交差点で、同市内の無職男性(88)運転の乗用車が信号待ちで止まっていた車列に接触するなどし、計8台が絡む事故になった。
 この事故で男性ら計3人が軽傷を負った。男性は「減速しようと思ったが、加速して驚いた」などと話しているといい、奈良県警奈良署は、男性がアクセルとブレーキを踏み間違えた可能性もあるとみて事故原因を調べている。
 同署によると、現場は片側2車線で、男性の車は走行車線と追い越し車線に停車していた計4台の側面などに次々と接触。弾みで押し出された車が、さらに前に停車の3台にぶつかったという。
 この事故で、男性が頭部を打撲したほか、京都府木津川市の女性(47)と、同府城陽市の男性(43)がそれぞれ軽いけがをした。

産経新聞 2019年6月23日

この事故では男性が、減速しようとしたが加速した、と供述しているためAT車による典型的な踏み間違い事故であると断定できます。しかし、場所は比較的珍しい、道路上の信号待ちの車列に突っ込んだということです。AT車の特徴のひとつに、エンジンブレーキが非常に弱いというものがありますが、アクセルから足を離した状態(足をペダル上に構えているだけ)ではトップギアになり、ほとんどエンジンブレーキは掛かりません。

MT車であれば、このとき高いギアであってもエンジンブレーキが掛かり減速していくため、アクセルペダル上に足を構えた状態を保つのが普通です。ところがAT車では、アクセルペダル上に足を構えなくても、ほとんど減速せずに惰性で進んでいきます。足を構える場所がアクセルペダルではなく、ブレーキペダルの上にあったとしても、です。つまり、AT車でアクセルペダルから足を離した時、ブレーキペダル上に足を構えても、アクセルペダル上に足を構えても、動きはほとんど同じです。そして、この事故ではブレーキペダルの上に構えていたと誤認した足を、思い切り踏んだのでしょう。

このようになったとしても、MT車であればクラッチペダルがありますので、ミスをしてもすぐに動力を断絶することができます。しかし、AT車ではミスに気づいても特にリカバリーする術はありませんので、この事故のように重大事故になってしまう訳です。