アクセル全開の脅威
東京府中で、立体駐車場からのジャンプ転落事故が発生しました。
残念ながら運転していた女性は亡くなってしまったそうです。以下がニュース記事です。
立体駐車場のフェンス突き破り車転落…女性死亡
2014年12月28日 19時49分 読売新聞 28日午前3時50分頃、東京都府中市矢崎町の「大東京綜合卸売センター」立体駐車場で、同市西府町、飲食店経営大滝則子さん(67)の乗用車が3階の屋上部分から約8メートル下に転落した。
大滝さんは外に投げ出されて頭などを強く打ち、間もなく死亡した。
府中署の発表によると、大滝さんは3階の駐車スペースに止めようとバックで進み、車止めや消火栓に当たった後、高さ約1メートルのフェンスを突き破って転落したとみられる。同センターは1階に食品店や雑貨店などが並ぶ卸売市場があり、大滝さんは市場で経営する店の開店準備のため、1階で夫を降ろした後、3階に向かったという。
小さなミスが大事故につながる不思議
記事では事故原因については書かれていませんが、状況から推察するに、アクセル・ブレーキの踏み間違い事故と見て良いでしょう。AT車のアクセル・ブレーキ踏み間違い事故の典型例だと思われます。
記事によると、まず大滝さんは3回の駐車スペースに止めようとバックで進んだ後、車止めや消火栓に当たったそうです。
この時点では、ボディ後部をこすってしまう、またはぶつけてしまうという、小さなミスです。この最初の小さなミスへの「対処の仕方」が大きな分かれ道になることが分かっています。
おそらく大滝さんは、車止めや消火栓に連続してぶつかった時点で、自分のミスに驚き、反射的に急ブレーキを踏んだのでしょう。「いますぐにリカバリーしなきゃ」という、焦りからくる心理状態です。
なぜ?ペダルに関わらず同じ動き
ところが、大滝さんの車庫入れ中のルールが定まっていなかったことが災いしました。AT車は、ペダルを踏まなくてもクリープ現象で一定速度で進みますので、この間は、アクセルペダル・ブレーキペダル、どちらのペダルの上に足を構えていても、車自体は同じ動きをします。
「自分の足はブレーキペダルの上に構えている」と勘違いした大滝さんは、そのままペダルを奥まで踏み込みました。しかし実際にはアクセルペダルの上に足を構えていたのです。
大滝さんの意図とは裏腹に、車は急加速を始めます。こうなると、パニックはさらに加速。「車が壊れた!?」と思う人の方が多いでしょう。ペダルから足を離す、という冷静な行動はもはや出来ません。何とか止まって欲しいと、足を突っ張ってしまうのがふつうです。
こうして、よくある「アクセルとブレーキの踏み間違い事故」のセオリー通りに壁に向かって突進していった車は、高さ1mのフェンスを突き破って空中へとジャンプしてしまいました。
何度も申しますが、この手の事故は防げます。ドライバー自身の正確な知識習得と習慣づけをすることで、安全装置などに頼らずとも未然に防止することが出来るのです。あなたやあなたの家族が事故に逢うまえに、ぜひとも正しい知識をつけましょう。