佐世保市で女性ドライバーによる、AT車のアクセルとブレーキ踏み間違い事故が発生しました。
この事故は典型的な、「ギア間違い」→「パニック」→「踏み間違い」というメカニズムの事故だと思われます。
まず下記の記事をご覧ください。

長崎県佐世保市でコンビニに乗用車が突っ込む

コンビニエンスストアに車が突っ込み、客と従業員が店内に閉じ込められました。

9日午後2時すぎ、長崎県佐世保市のローソン佐世保卸団地店の入り口ドア付近に
70代の女性が運転する乗用車が衝突しました。

けが人はいませんでしたが、店内にいた客7人と従業員2人が閉じ込められ、
レスキュー隊がガラス戸を破って約20分後に救出しました。

警察によりますと、運転していた女性は
「コンビニで買い物をして車に乗った際、

バックに入れるべきギアを入れ間違えて前進してしまった」と話しているということです。

引用元:テレビ朝日 2016/02/09

このケースのような事故は多発しており、典型例とも言えるものです。同時に、AT車の設計ミスとも言える「穴」に次々とはまってしまうことにより発生する事故でもあります。

まず、AT車はシフトパターンがMT車とは異なり、直感的ではありません。MT車は多くの場合、前進したいときはシフトを前にして1速へ、後退したいときはシフトを後ろに動かしてバックギアに入れます。ところがAT車の場合(一般的なシフト配置)は、シフトが一筆書きのように並んでいるため、後進(R)の方が前の方向にあります。これによって、漫然と運転するとうっかりミスを引き起こしやすいのです。

また、AT車を発進させることは誰でもできます。社会的適正などを無視すれば、操作自体は小学生でも出来てしまいます。レバーをDにして、アクセルペダルを踏む、という操作にはほとんど障壁がありませんので、誰にでもできてしまうのです。これがATの最大のメリットであり、反面デメリットが顔を覗かせたときは、本件のような事故が起こり得るのです。

そして、AT車にはクリープ現象があるため、ペダルを踏んでいなくても一定の速度で動いてしまいます。これは発進を楽にする反面で、漫然運転をしているとペダルの踏み間違いを招きます。なぜなら、どのペダルに足を乗せていても、車自体は同じ動きをするからです。

これらのATの特性を理解したうえで、発進・停止動作に習慣づけを行わないと、このような事故がいつでも起こり得るのです。