2速発進・飛ばしシフトは車に負担を掛ける?

MT車を運転していると、たまに間違えて1速以外のギアになっていて、それに気づかず発進してしまうことがあります。
1速と間違えやすいのが、3速。シフトが前の位置(1・3・5速は前)なので、1速に入れたつもりが3速というのは有り得ます。
もしくは、渋滞などでゆっくり2速で走った後に停止し、ギアがそのままで1速のつもりで再発進というパターンも。

もちろん1速と同様のつもりで操作すると、エンストになってしまいます。もしくは力不足でガクガクとした発進になってしまいます。
このような、単純な「うっかりミス」であれば大丈夫です。次に気を付ければ良いだけです。

問題なのは、意図的に2速発進
をしようとする場合(日常的に2速発進する人)です。

MT車で最もよく使うギアは1速。次が2速です。車はいつも「停止中の状態から動く」ということを考えれば、分かるはずです。1速から発進してシフトアップしてき、3速や4速などで巡航しますが、5速まで入れることは稀です。高速道路くらいでしょうか。市街地では4速にすら入れずに、ノロノロした流れになることも良くあります。渋滞時は1速と2速の往復です。いずれの場合でも、1→2→3→4と、必ず1速を経由してシフトアップしていきます。

そして特に1速は発進用という性格が強いギアのため、高い回転まで引っ張ったりして1速のまま速度を上げることは普通しません。わりと早い段階で2速にシフトアップします。この、毎度毎度の1速→2速の操作を嫌って、「面倒くさいから」とばかりに最初から2速で発進する方がいます。

確かに多くの車では、ある程度アクセルを踏めば、2速のまま発進できてしまいます。信号待ちからでも後続車に「遅い!」と思われることのないスムーズさで発進できてしまうこともあります。この方法では1速→2速のシフトチェンジが必要ないため、そのまま場合によっては60キロ以上までギアチェンジなしで走ることができます。

しかし、このような使い方での2速発進はおすすめできません。
車のギアの数(シフトノブに刻まれた1・2・3といった数字)は、その車のエンジン特性に合わせて設定されています。したがって、どれか1つでもギアが欠けると、何らかの問題が出てしまいます。具体的には、エンジンに負担を掛けやすくなります


。すぐにエンジンが故障することがなくても、長期的に見るとエンジンの寿命がかなり変わってきます。

1速のギアを意図的に使わないということは、自分からギアを1つ無効化している訳です。特に1速を使わないとなると、最も頻度の多い「発進時」にエンジン負荷の高い状態を強いることになるため、できるだけ避けるべきでしょう。

この意味では、途中のギアを飛ばす、いわゆる「飛ばしシフト」もこれと類似した問題を引き起こします。「飛ばしシフト」とは途中の2速や3速といったギアを飛ばして「1→3→4」とシフトアップしたり、「1→2→4」などとシフトアップする操作です。これは頻度が「2速発進」ほど多くないものの、癖となってしまうと問題になることがあります。(ちなみに、シフトダウン時にギアを飛ばすことには問題ありません。ただし回転によります)

どのようなシフトタイミングであれば、問題がないのか。また、どのような状態だとエンジンに負荷が掛かっているのか。
特にシフトタイミングに絞って詳しく知りたい方は、「シフトチェンジ・ポイント上達」を。
MT車のエンジン回転とシフトアップ・シフトダウンについて体系的に学びたい方は「MT車攻略マニュアル」をご参照ください。

2速発進は、癖として毎回行っていると問題がありますが、例外も2つ程あります。
まず1つ目は、雪道での発進です。基本的には雪道と言えども、きちんとした冬タイヤやチェーンを装備していれば、普通に1速から発進して問題ありません。しかし、雪の降らない地方で突発的に雪が降り、準備が間に合わなかった場合や、きちんとしたタイヤでも深雪やアイスバーンにはまって発進できないことがあります。こうなると、1速で発進しようとしても、タイヤが空転するばかりで前に進みません。このような場面では、アクセルを踏んでいるのに前に進まないので、ついアクセルを踏み足してしまいたくなります。しかし、この時は一旦停止して2速に入れます。2速のまま、アクセルは踏まないで(もしくはごく僅かにアクセルを踏み)半クラッチ操作を丁寧に行います。もしこれでも空転してしまうようなら、3速に入れて同じ要領で発進します(MT車攻略マニュアルの"半クラッチ第一ステップ"の方法で3速でも発進できます)。非常に滑りやすい路面では、1速だと地面を蹴飛ばす力(トルク)がありすぎて、空回りしてしまうのが、発進時に滑ってしまう原因です。これを2速や3速での発進にすると、力が少なくなり、空転せずに発進しやすくなります。(AT車には、同様の発進ができるスノーモードというものがあります。MT車AT車いずれも、アクセルをほとんど踏まずに発進するのがコツです)

2つ目の例外は、トラックです。トラックでは、2速が通常発進用として設定されている車種が多く、その場合1速は急坂登坂などのために利用するためです。トラックは乗用車と違い、車重が重く、さらに荷物を積載すると加速も減速も、乗用車とは違うレベルの力が必要になります。加速のために通常発進用である2速よりもパワーのある1速を。減速のために排気ブレーキと呼ばれる強い補助ブレーキが装備されたりしています。

いずれにしても、ギアとエンジンの仕組みをよく理解した上で運転することが大切です。せっかくMT車の乗っている方(乗る予定の方)は、愛車を最大限に活かせる運転方法、愛車を長持ちさせる運転方法をぜひ学んでください。

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