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サーキットの有効活用~安全運転講習にも

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サーキットの有効活用~安全運転講習にも

車は年が進むごとに進化して、安全性が高まってきています。近年は電子制御テクノロジーが進化して、将来の自動運転につながるような先進技術がたくさん搭載されるようになりました。しかし、それでも事故は発生してしまうものです。件数自体は、交通戦争と呼ばれていた数十年前よりも確実に少なくなっていますが、それでも完全にはなくなりません。

そして、車の進化の度合いと比べると、ドライバーのスキルが向上していないというのが最大の問題点だと考えられます。要するに、進化具合が非対称なのです。確かに、制御技術は数十年前から比べると格段に進化しました。しかし、車の動きの基本的な部分は、何十年もまったく変わっていません。四輪のタイヤを、エンジン(近年ではモーターも)で駆動し、サスペンションで車体を安定させる。この基本的な仕組みは全く変わっていません。そして、事故の際の物理的な動きも、この仕組みがゆえに起こっているものです。つまり、タイヤの限界を超えて、制動できない、横滑りする、横転する、といったものです。もしも、無人の完全自動運転が実用化されたからといって、この仕組みが変っていなければ、40kmで走行中の車が1m以内で止まれるということはありません。これは制御の問題ではなく、物理的な限界です。万が一タイヤ以外の駆動部品を開発して、40km走行から1m以内で停止できる乗り物ができたとしても、人間の体は全く耐えることができません。

すなわち、車の制御システムが進化するのと同様に、人間の運転技術も進化していかなければ、安全に運転することはできない、ということです。車の基本構造によって、物理的な動きは決まっている訳であり、制御があろうがなかろうが、限界を超えた動きは同じです。そして、限界を超えるのはどんな時で、どんな操作をした時なのか、そして限界を超えないようにする操作、限界を超えた時のリカバリー操作というのをドライバーが把握出来ていれば、事故を回避することも可能になります。

しかし、残念ながら限られた時間ということもあり、教習所ではこうしたクリティカルな場面での運転操作というのは詳しく教わりません。JAFなどでは一部の運転トレーニングイベントを開催していますが、全国のドライバーの人数からすると、ごく限られた人数の参加にとどまっています。では、どのようにして、危険回避につながる運転操作を学べばよいのでしょうか。

 

●わずか数千円で「安全」が買える! レーシングドライバーが街乗り派にもサーキット走行を勧めるワケ

 

道交法を完全に遵守していても公道での安全は保証されない
サーキット走行を経験したことのある方はどのくらいいるのだろうか。サーキットというとレース専用のコース施設だと思っている人も多いだろうが、実際はそれだけではない。車の走行テストやスポーツドライビングの練習場としても走行可能だし、自動車メーカーやショップなどが開催するサーキットエクスペリエンスイベントなども数多く開催されている。

自分でレースカーを用意し、メカニックを従えてレース参加を前提に走行経験を積むというのは、相当敷居が高いしコストも半端なくかかる。たとえば富士スピードウェイのような本格的な国際サーキットを占有して練習走行しようとすると、1時間のコース占有代として66~86万円もかかる。しかし、サーキットが発行するライセンスを取得し、カレンダーに登録された練習走行枠を利用すれば、4500円/20分から走行できるケースもあり、以前よりはずっとサーキット走行しやすい環境が整ってきているのだ。

とはいっても、お金をかけてまでサーキット走行を経験する意味はあるのか。

サーキットは基本的に速さを追求する場所だ。ゆっくり景色を見ながら走るということはほぼない。速く走るには危険も伴い事故のリスクも高まるだろう。一般道で道交法を遵守しスピードを控えて普通に走行していたら、危険なことには遭遇しないからスピード狂でもない限りサーキット走行なんて経験する必要はない、と考えるのが一般的なのだ。

しかし、道交法を遵守しスピードを控えていれば安全が保証されているかのような考えは正しいとはいえない。たとえば山道の一般道。制限速度が60km/hとされている場所なら50km/hで走っていれば絶対安全だろうか。答えは「否」だ。見通しの良い直線ならまだしも、曲がりくねった山道だとカーブの半径が小さい場所も多い。日本の速度制限はカーブの大小で変化しないので50km/hではオーバースピードになってしまうケースもあり得るのだ。

高速サーキットで知られる富士スピードウェイでも、もっとも半径の小さなシケインカーブ(ダンロップコーナー)は15R。そこではレーシングカーでも50km/h程度まで車速を落とさないとスムースに曲がれない。一般的な山道では15R以下のカーブも多く存在する。法定速度を守るだけではなく、自車のコーナリング性能やタイヤのグリップ限界をつねに意識し、そのカーブに合った速度にドライバーがコントロールしなければならない。

とはいっても、お金をかけてまでサーキット走行を経験する意味はあるのか。

サーキットは基本的に速さを追求する場所だ。ゆっくり景色を見ながら走るということはほぼない。速く走るには危険も伴い事故のリスクも高まるだろう。一般道で道交法を遵守しスピードを控えて普通に走行していたら、危険なことには遭遇しないからスピード狂でもない限りサーキット走行なんて経験する必要はない、と考えるのが一般的なのだ。

しかし、道交法を遵守しスピードを控えていれば安全が保証されているかのような考えは正しいとはいえない。たとえば山道の一般道。制限速度が60km/hとされている場所なら50km/hで走っていれば絶対安全だろうか。答えは「否」だ。見通しの良い直線ならまだしも、曲がりくねった山道だとカーブの半径が小さい場所も多い。日本の速度制限はカーブの大小で変化しないので50km/hではオーバースピードになってしまうケースもあり得るのだ。

高速サーキットで知られる富士スピードウェイでも、もっとも半径の小さなシケインカーブ(ダンロップコーナー)は15R。そこではレーシングカーでも50km/h程度まで車速を落とさないとスムースに曲がれない。一般的な山道では15R以下のカーブも多く存在する。法定速度を守るだけではなく、自車のコーナリング性能やタイヤのグリップ限界をつねに意識し、そのカーブに合った速度にドライバーがコントロールしなければならない。

そうしたサーキットでの高速走行に慣れてしまえば、一般道での法定速度内なら余裕が生まれる。その余裕は景色を見たり音楽を楽しんだりするのではなく、より多くの走行環境周囲の情報に注視するように役立てるべきだ。

2~3台先を読み、並走車があれば速度差やドライバーの状態を確認し、先々の空から路面を予測する。市街地でなら歩行者や自転車、対向車など注意を払うべき問題が山ほどある。

サーキット走行を繰り返していくと速度感覚が身に付き動態視力も高まる。僕自身が国内のトップフォーミュラで活躍していたころ、動態視力を計測したら7.0以上あると診断され医師に驚かれたことがある。アフリカの原住民などは視力が8.0~11.0、動態視力は7.0以上あるとその時聞いた。新幹線で通過する駅の看板が余裕で見えたし、高速道路ですれ違う車両の運転手の顔も見えていた。路面に落ちている小石やボルトを見分け、余裕で避けることができていたのだ。

またサーキット走行をすると、いつも乗り馴れている自分のクルマがあまりにもだらしないことに気がつくかもしれない。ブレーキがフェードして利かなくなり、エンジンもオーバーヒートし、タイヤは摩耗して振動を発する。サーキット走行ではクルマの弱点もさらけ出されるのだ。

普段スピードを出さないから必要ないという考えを改め、サーキット走行を経験することでクルマやドライビングのへの思慮を深め、日常の安全運転への一助となることを知ってもらいたい。

引用元;WEB CARTOP 2020年6月19日

 


記事にもありますが、サーキットはスピードを出すためだけの場所ではありません。日常では体験できない強さのブレーキと、高速度でのコーナーリングを一般人が体験できる、唯一の場所です。そして、いずれも事故などの大きな危険が迫ったときに必要とされる技術です。

そのままでは追突してしまうような緊急時に、ブレーキを最大の強さで踏み切る、いわゆるフルブレーキングが出来るドライバーというのは割合が少ないと言われています。これは、フルブレーキングを体験する場所がほとんどないためでしょう。そのため、初めてのフルブレーキングが事故の時だった、という方も多いのです。緊急時でもなかなか力いっぱいブレーキを踏めない。このことを鑑みて、自動車メーカーもアシスト機能を搭載している場合もあります。パニック状態でのブレーキだと感知すると、ブレーキペダルをしっかりと奥まで踏めるように力をサポートするというものです。しかし、最近ではハイブリッド車のように、ブレーキも半電動化されて、ペダルの踏みごたえが直感的ではない車種も増えてきていて、余計にフルブレーキングをするのが難しくなっています。こうした練習も、サーキットでなら一般車を気にすることなく、しかも高い速度域から試すことができます。また、雪や雨などの滑りやすい路面で車体を左右に振られてコントロールを失うような事故も、よく映像で見聞きする方も多いでしょう。しかし、これもコントロール不能な訳ではなく、制御する術を習っていない、というのが正しいところです。サーキットでタイムを追いかける途中で、否が応でもコントロールする術を身につけることになります。つまり、いざという時のフルブレーキングや、危険回避のコントロール法などを集中的に学ぶことができる場所が、サーキットである訳です。

一部の、公道をサーキット代わりにしたような不法行為がメディアで度々報じられる影響で、サーキット=スピード狂や一部のマニアのものといった誤ったイメージがついてしまっています。これは残念なことです。むしろ国が主導して、全国にあるミニサーキット場やカート場などで安全講習会や、危険回避法の免許を発行するなどの試みをすべきです。これこそが、ハード(メーカーによる安全な自動車づくり)とソフト(ドライバーの実践的安全教育)両面での交通安全環境づくりとなります。問題になっている高齢者の免許返納に関しても、形骸的な試験場でのテストではなく、カート場で、規定タイムを下回れるかどうかによって、運転する身体的能力があるかを測る方がより実効力があるでしょう。杖をつきながら誤操作で一般道を暴走してしまうような体力の方は、少なくともはじかれるはずです。

日本は世界でも有数な自動車生産国です。しかし、こうした運転に関する文化的側面は他の自動車生産国と比べるとかなり遅れています。前例にとらわれず、ぜひ実効性のある取り組みを進めてもらいたいと思います。

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