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アクセルとブレーキの踏み間違い事故がAT車で多発する一因

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AT車ではコンビニなどの駐車場で、店舗に突っ込んでしまうような、いわゆる「踏み間違い事故」をよくニュースなどで目にします。MTでは滅多に起こらないことですが、これはAT車のどのような特性が影響しているのでしょうか。

まず、下記の記事をご覧ください。


●なぜバックすると「ピーピー」鳴る? MT車では音が鳴らずAT車で鳴る理由

マツダ「ロードスター」ではAT車では音がなり、MT車では音が鳴らない
 基本的に近年のクルマは、バックする際にシフト「Rレンジ(リバース)」に入れると、「ピーピー」という「リバースワーニング」が鳴るように設定されています。
中略

また、5速から誤ってRレンジにシフトを移動させようとしても、一般的には回転数の違いからシフトチェンジできないため、運転者が自ら誤りに気づくことが多いと考えられます。

 トヨタ「86」などは、Rレンジが1速の隣に設定されていますが、シフトレバーの下部についているレバーを引き上げながら操作しなくては、Rレンジにシフトチェンジすることができない仕様になっているため、1速と間違うことは基本的にないといえます。

 マツダ「ロードスター」についても、Rレンジに入れるためには、シフトレバーを垂直方向に押し込みながら操作する必要があり、86同様に誤ったシフトチェンジをする可能性は低いといえるでしょう。

 こうしたMT車のシフトチェンジの特徴から、特にRレンジとほかのシフトに区別をつける必要はなかったのではないかと考えられます。

 一方でAT車の普及率は、1984年には42.9%と、MT車に比べその数は少なかったものの、2015年には98.4%となっており、現在の日本の新車市場ではAT車が全体の99%を占めるともいわれています。

 そんな1980年なかばから普及率が高まりを見せたAT車は、MT車のHパターンとは大きく異なり、当時、Rレンジと「Dレンジ(ドライブ)」や「Pレンジ(パーキング)」が一直線型になった「ストレートパターン」が一般的となりました。

 このストレートパターンに変化したことで、MT車に比べ、RレンジとDレンジの距離が近くなったとともに、簡単に誤ったシフトにシフトレバーが入ってしまう可能性が高くなったと考えられます。

 実際にロードスターでは、AT仕様にはリバースワーニングが設定されているものの、MT仕様には設定されておらず、オプションなども用意されていないようで、マツダの販売店スタッフは以下のように話します。

「AT車のストレートパターンでは、RレンジとDレンジが同じ直線状に並んでいるため、MT車に比べると、感覚的に慣れていても誤った操作をしてしまう可能性が高くなっているといえます」

 つまり、シフトがHパターンでRレンジへの操作ミスが少ないMT車には、基本的にリバースワーニングが設定されておらず、シフトミスの起きやすいと予想されるAT車では、音を出すことでRレンジとDレンジの違いを聴覚的にも認識できるようにし、事故の発生を未然に防いでいると考えられます。

 よって、昔のクルマがリバースワーニングが鳴らなかったというよりも、AT車の普及につれて、リバースワーニングを設定するクルマも増えたと捉えるのが良いでしょう。

※ ※ ※

 なかには、リバースワーニングについて必要ないと考えている人もいるかもしれませんが、前出の販売店スタッフは、「リバースワーニングの設定をオフにしたり、音量を下げたりすることはできない」といいます。

 リバースワーニングは、運転者自身にシフトがRレンジに位置していることを知らせる一方で、周囲の人へクルマがバックすることを伝える役割も持っています。


AT車とMT車の違いで大きいもののひとつが、「シフトレバー」です。MT車は機械的にギアボックスと繋がっているレバーであるのに対して、AT車は電気的なスイッチです。したがって、AT車の場合はレバーの形状である必要がありません。事実、近年ではハイブリッド車やEVなどを中心に、レバーの形ではなく、小さなスイッチでDやRへと切り替える方式も見受けられます。

記事にある通り、MTの場合は前進の1速と、バックギアを間違えるのはなかなか難しいものがあります。物理的に感覚が異なるからです。しかし、ATの場合はどのギアポジションに変えても、操作感は同じです。このため、前進するつもりがRに入っていた、とかバックするつもりがDに入っていた、といったことがしばしば起こります。この小さなミスをトリガーにして、焦りの心理状態になります。リカバリーをしようと焦って、ブレーキを慌てて踏みます。

ところが、足を乗せていたのがアクセルペダルであれば、加速をはじめてしまうことになるのです。さらに悪いことに、MTの1速と違って、ATのDポジションは、加速チェンジに上限がありません。ブレーキだと間違えてペダルを強く踏み続けるかぎり、その車の最高速まで突き進もうとしてしまいます。

これが、AT車でアクセルとブレーキのペダル踏み間違い事故が起こりやすいメカニズムです。つまり、シフトレバーをもっと直感的なものにして、間違いが起こりにくい仕組みにする必要があるのです。記事のように警告音で前進とバックの違いが分かるようにするのもよいですが、MT車のように、ギアを入れる方向や手の感覚だけで、どのギアなのかが直感的に分かる仕組みのほうが安全だと言えます。コスト優先や車内スペース優先で、シフトレバーを軽視する傾向が続いていますが、重大事故の根本原因になっていることをもっと認識する必要があるでしょう。

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