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自動運転時代も事故は続く

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自動運転での事故

自動車に限ったことではありませんが、安全装備が充実してもリスクがゼロにはならないことを示唆するリスク・ホメオスタシス理論を別稿でご紹介しました。今回は、電子制御の安全装備に傾倒している自動車メーカーの姿勢に警鐘を鳴らすような記事を一部ご紹介します。

 

●技術だけでは事故は減らない
ミュンヘンのABS実験から三〇年たったいま、電子姿勢制御システム、先進クルーズ・コントロール、衝突軽減ブレーキ、衝突回避ブレーキ、車線逸脱警報装置、居眠り検知装置、夜間視力増強装置(ナイトヴィジョン)、インテリジェント速度制御など様々な安全装置が開発された。しかし、これらのシステムを使うのは人間である。人間がリスクを減らしたいと望まない限り、行動はリスキーな方向に変化してベネフィットをとりにいくだろう。(中略)いまの安全水準で十分と思っている人、自分は事故を起こさなと根拠もなく信じている人、もっと速く走りたい、少しでも目的地に着きたいと思いながら運転している人、運転しながら電話をしたり、テレビを見たり、メールを打ったり、カーナビを操作したりする人たちにとって、安全装置は安全性向上ではなく、自分たちの行いたい行動の目的に利用できる便利な装置に過ぎないのである。

安全装置を安全装置として使ってもらうためには、安全への動機づけを高める教育や働きかけ、装置のユーザ・インターフェースの工夫などが不可欠である。さらに、「一台のクルマとそれを操縦する一人のドライバー」という枠内で安全を図ることの限界に気づき、広く交通環境の中での機械・設備・人間(複数の交通参加者)・組織の相互作用の視点で安全性向上を目指す視点が必要である。

 


現在の自動車メーカーの姿勢は、センサー類と電子制御・AIを駆使した自動運転を見据えて、その枝葉に当たる部分に安全装備(アクティブ・セーフティ技術)があるというものです。100%事故の起こらない自動運転車が近い将来、開発可能なのであれば、この姿勢は正しいかも知れません。しかし、実際の道路は生き物であり、カオス系です。新都市交通ゆりかもめのように、人が架線に入りたくても入れないようなクローズドな環境ではありません。したがって、どんな時間にどんな環境でも事故を100%起こさない自動運転というのは現実的ではありません。

さらに問題なのは、上記記事のように、使用者である人間側の姿勢です。自動運転技術が進めば進むほど、安全への意識は低くなるでしょうし、運転技術そのものも低下することが見込まれます。半自動である航空機でも、大半の時間をオートパイロットで運行するものの、緊急時は手動操縦となり、そのための操縦訓練に多大な時間を割いています。自動車の一般ドライバーに、半自動運転の技術が進んだ時代にこういった運転訓練を強制させることが果たしてできるでしょうか。

AT車に対してペダルの踏み間違い時の暴走を危険視する声が従前からあるにも関わらず、より安全なMTへとシフトする動きがないことをみると、半自動運転時代に、手動運転の訓練を充実させる機運が高まることは期待できないでしょう。すると、必然的に事故は減らないことになります。

つまり、自動車メーカーが先進(であると考えている)技術に傾倒して、社会学的な取り組みを後回しにしている限りは、事故はなくらないであろうと予測できる訳です。

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