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プリウスが起こす踏み間違い事故

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プリウスが起こす踏み間違い事故

アクセルとブレーキの踏み間違い事故のニュースやその話題になると、プリウスが引き合いに出されることが多くなっています。実際、大手メディアで報道される踏み間違い事故の多くをプリウスが占めているという事実があります。公園で遊ぶ子供たちに突っ込んだ事故もプリウスでしたし、池袋で母子が亡くなった事故もプリウスによるものでした。しかし、この流れに異を唱える記事がありましたので、下記に引用してご紹介します。果たして、事故の多さは車そのものの問題なのでしょうか?

 

●プリウスは本当に交通事故を起こしやすいクルマなのか

ネットスラングに「プリウス・ミサイル」という言葉がある。トヨタのハイブリッド専用モデル「プリウス」が交通事故を起こしやすいクルマというのを揶揄した言葉だ。意味合いとしては、プリウスは交通事故につながる運転ミスを誘発しやすいといったところだろうか。

実際、イギリスの自動車保険に関するWEBサイトの調査(https://www.gocompare.com/car-insurance/auto-accidents/#make-and-model)によると、2016年にイギリス国内で起きた自動車事故に関わったモデルのトップはトヨタ・プリウスだったという話もある。とはいえ、イギリスにおけるプリウスは母数の少ないニッチカーであり、ほぼ国民車といえるほど普及している日本とは状況が異なる。日本において、プリウスが交通事故を起こしやすいクルマなのかどうかは、毎年見直されている保険料率クラスを見るのが妥当だ。
(中略)

例として挙げたクルマが少ないのでわかりづらいかもしれないが、プリウスのそれは4項目のいずれも平均的といえる。なお、車両保険については自損事故以外に盗難率が高いと上がることはGT-Rの数字からも理解できるだろう。

対人・対物賠償に関する保険料率を、数字が大きいほど事故リスクが増えるという風に読み取るとすれば、プリウスの事故率が高いとはいえない。

プリウス独特のエレクトロシフトマチックが事故を誘発する?

そうはいってもプリウスに初めて乗ると、『エレクトロシフトマチック』というジョイスティック状の操作系に迷うことがあって、それが事故を誘発する理由だという主張もある。とはいえ、つねにホームポジションに戻るプリウスのシフト操作系は、プリウス自体が2代目から使っているものであって、10年以上の歴史もあるし、他社も似たような操作系を採用している。

これが危険を誘発しているのであれば、フルモデルチェンジの際に改善されているだろうが、2代目から4代目まで熟成されているということは市場ニーズ的には問題なとされていると考えるのが妥当だ。

たとえば、日産の電気自動車「リーフ」や「ノートe-POWER」もマウスタイプの独特な形状の操作系となっている。そして、前述した保険料率サイトで調べると現行リーフは次のとおり。
(中略)
この料率を見ると、リーフのほうがプリウスよりリスクが大きいと判断できるが「リーフ・ミサイル」という言葉は見かけない(電気自動車ゆえの走行音が小さいというリスクを指摘する声があるが)。

リーフとプリウスの比較だけで結論づけるのは難しいが、プリウスはシフト操作系が独特だから事故を増やしているという指摘については、似たようなデザインのクルマと比べても事故リスクは小さいといえるだろう。つまり、プリウスは事故率が高いというのは印象論であって、統計に基づいて算出される保険料率的な裏付けはない。

では、なぜ「プリウス・ミサイル」という言葉が生まれたのか。おそらくブランディング上の問題といえる。どうしてそうなったのかを断定するのは難しいが、プリウスが新しいクルマ像をブランドとして確立した結果として一部のクルマ好きは自身が否定されたような気持ちになり、その反動として「プリウスは叩いてもいい存在」と捉えている節がある。

トヨタという大企業の主力モデルで、一部のマニアがネットで叩いたくらいでは売上に影響しないと考えているのだろう。ただし、叩いているクラスタは気にならないかもしれないが、周囲からするとけっして気持ちよく感じられるものではない。

本当にハードウェアに問題があって、明らかに事故率が高いという事実が明確であれば社会的に糾弾する必要もあるだろうが、前提条件となる事故率についてファクトのないままイメージだけで叩くのは「いじめの構造」と似たものであって、大の大人がすべき行為ではないのは明らかだ。批判することを否定するわけではない。しかし、問題を指摘するのであれば「問題があるに違いない」という感情や「よく見かけるから」といった印象ではなく、ある程度は納得できるファクトに基づくべきであろう。

引用元;Webカートップ

 


この記事の要点は2つです。1つ目は、保険料率を見る限りプリウスは悪者ではない。2つ目は、フリック型シフトノブは他車にも採用されているから、プリウスだけが悪者ではない。この2点を示した上で、プリウスがやり玉に挙げられるのは、よく見かける車だし、プリウスなら叩いても問題ないからではないか、という考察が述べられています。

しかし、残念ながら、上記はいずれもプリウスを釈明するものではありません。まず保険料率は保険会社が、保険料および掛け金を算定するために策定しているものです。事故の実情を社会的に示したり、分析するために作られているものではありません。あくまで、保険会社の論理に基づいて作られたものですので、参考程度にはなっても、ネット上の噂話とそれほど変わるものではありません。そして、フリックシフトに関しては、他社および他車種でも複数採用されているのは確かです。しかし、それらの車種とプリウスとの間で、公平に比較分析できるほどユーザー層が同じだとは思えません。特に3代目プリウスまでは、その保守的なデザインも合間って、中庸を良しとするボリューム層や中高年層に好まれる車種であり続けました。池袋の事故でも、富裕層であるにも関わらず型落ちのプリウスに乗っていました。ややもすると、運転に無頓着な層が乗りがちなプリウスに、たまたま操作を戸惑わせやすいフリックシフトが採用されていたことが、数々の踏み間違い事故の引き金となっていた可能性が高いのです。

Shift-UP Clubの他記事でも指摘している通り、アクセルとブレーキの踏み間違い事故は、単純に踏み間違えのミスを犯すタイプもありますが、多くの場合、その前に小さなミスを犯していて、それが引き金になって大きな踏み間違いという事故を起こしてしまいやすいのです。その小さなミスこそが、シフトの入れ間違いです。前進しようとしているのに、後退のギアに入ってしまっていて、慌ててブレーキを踏もうとしたら、踏んでいたペダルはアクセルだった。これが典型例です。なぜシフトミスが起こるのかと言えば、指先で動かすコマンドを、しっかりとシフトパターンの表示を目視しながら行う必要があるから。そして、シフトレバーは手を離すとニュートラルに戻ってしまうので、今どのギアに入れたのかを確認するにはメーターパネル内を再度目視して、小さなシフト表示を目視する必要があります。つまり発進前には、前進ギアに入っていることを目視でギアそのものと、メーターパネルと2回も確認する必要があります。これらを1つでも怠ると、上記のようなシフトミスが起こります。

もしもMT車であれば、シフトレバーを目視する必要もなければ、ギアが入ったかどうかを目で追う必要もありません。手応えだけで分かるようになっているからです。そして、前(大抵は左前)に入れれば前進、後ろに入れれば後退と、ほぼ直感通りの方向にレバーを動かせば、その方向に車は進みます。プリウス以外の多くのAT車でも、前進ギアよりも前の位置に後退ギアがあるケースが多く、シフトミスが起こりやすいのも必然だと言えます。

記事にある通り、プリウスは多く方が乗る車です。年齢層も、目的も、居住地もさまざまな事情を抱えた方が乗る車です。そうした車こそ、上記に説明したMTのように、誰でも間違えることなく、直感の通りに使うことができる、「道具として」優れたものを作るべきではないでしょうか。踏み間違いサポートなどのテクノロジーは、技術として優れていたとしても、道具として使いにくければ、やはり危険を孕んだものになってしまいます。車としての基本に立ち返った開発を、トヨタには望みたいところです。

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