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ペダル踏み間違い事故の根本原因

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AT車による踏み間違い事故が止まりません。ひとつのターニングポイントになると思われた、池袋でのプリウス暴走事故の後でも、現在に至るまでほぼ毎月のように全国でコンビニや店舗にAT車が突っ込んだというニュースが報じられています。

以前までは、高齢者の操作ミスや判断ミスが主要因であり、免許返納とセットで語られることも多かったものです。しかし、現在では若者も中年も高齢者も、そしてタクシーや路線バスやパトカーまでもが踏み間違いによってAT車を暴走させており、車側に問題があるのではないかという向きも出て来ました。そこでメーカーやメディアが進めた対策は、誤発進抑制機能という、テクノロジーによる解決方法でした。しかし、これもまったく完全ではなく、テクノロジーを搭載した車でも踏み間違いによる事故を起こしているケースが複数報道されています。

このように、表面的な報道や対策に終始しがちなのがAT車の踏み間違い事故です。しかし、本質的な議論を進めているネット記事も散見されます。そのうちのひとつを今回はご紹介します。




以下、Joe & Santaro「踏み間違い事故はなぜ起こる?(FAIL CATASTROPHIC)」より抜粋して引用

(前略)アクセル(A)とブレーキ(B)は真逆の作用をする。2ペダルの間隔は数cmほどしかない。それらを右足だけで、目で見ずに踏み替える。そこで、例えば以下のような間違いが起これば暴走となる。

(1) 緊急時に「あっブレーキ!」と慌てて踏んだら、アクセルだった・・・(中略)

こんな操作方法が世界標準なのは、歴史的経緯と、ATとMT(手動変速)車が併存するのでやむを得ない面がある。MT車はアクセル/ブレーキ/クラッチ(C)の3ペダルを、左足でC、右足でA/Bを踏み替えるが、これには合理性がある。パワーアシストのない時代は、B、Cはとても重く、足で操作するしかなかった。Aは走行中ずっと操作し続けるために、やはり足で踏む方式に収束した(バイクで長時間走行すると、手でひねってアクセルを操作し続けるのはけっこう疲れる)。

A/B/Cの3ペダル方式は、左足のお陰で、それほどマズくはない操作法である。「Fail Relieved」ぐらいであろうか。停まるときは、ブレーキに加えて、クラッチ操作が伴う。左足がクラッチを踏めば、駆動力は切られる。ブレーキを踏めずに追突したとしても、惰性でぶつかるので、被害は比較的軽くなる。発進ではクラッチをゆっくりつなぐので、暴走はまず起きない。左足も使うので、ドライバーはきちんとシートに座り、右足だけ位置がずれて踏み間違う可能性は小さい。ということで、MT車主流の時代には、踏み間違い事故が社会問題になるほど多くはなかった。

AT車では、左足を遊ばせ、右足だけで操作するように教えられる。左足が果たしてきた「駆動力を切る」歯止めがなくなり、わずか数cmほど足がずれただけで奈落の底に落ちる、極めて危険な操作方法になってしまう。それでも、人間の適応能力は素晴らしいもので、多くの運転者は全く間違えることなく操作している、・・・ただし事故を起こすまでは。

数10年にも亘って優良運転手だった方が、たった一度の踏み間違いで、数人を死なせてしまうのがこの事故の恐ろしいところである。(後略)


この記事にある通り、AT車に踏み間違えがなくならない根本的な理由は、設計の「手抜き」にあります。MT車が市場で支配的だった時代は問題がなかったのは、MTのために設計された操作系が設えられていたからです。ATが登場した際に、本来であれば操作系を一新すべきでした。

クラッチという安全弁がなくなり、ニュートラルポジションを使うことが激減することになるAT車に合わせて、ギアレバーもペダルも、最適な操作系に設計し直すべきだったのです。止めるという機能と加速するという機能の相反する操作系を同じ「ペダル」で「隣」に配置するのは明らかに誤りです。

このように明らかな設計ミスが起こってしまった背景には、AT車があくまでもMTの簡易版として登場したこと。市場でどれだけ普及するか未知数だったこと。それにより先行投資のコストが十分にかけられなかったことが挙げられるでしょう。その後AT車は、突然ではなく徐々に市場シェアを拡大していきました。これにより、大幅に操作系を設計し直す機会を逸してしまいました。

これらのツケを払っているのが、AT踏み間違い事故が頻発しているという現状です。そして、踏み間違い抑制機能というテクノロジーを進めようとするのも、どう見ても対処療法でしかありません。根本的な解決には至らないでしょう。

引用元の記事では、ナルセペダルという、いわゆるワンペダルや、両足で操作するいわゆる左足ブレーキを解決法のひとつとして紹介しています。しかし、これらも不十分でしょう。日本では免許取得後に運転を学ぶことができる、いわゆるドライバー教育の環境が皆無に近い状況だからです。

現状の操作系も変えられず、テクノロジーも決め手になり得ないのであれば、MTを進める方策がまだ現実的ではないでしょうか。特別な投資も必要ないはずです。

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