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優れたDCTのデメリット?意外な盲点

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2ペダルDCTの欠点

DCTは広義にはMTであるものの、アクセルとブレーキの2ペダルだけで操作できるため、日本ではAT限定免許でも運転できます。普段乗りではAT車と同様に、自動変速、発進時のクリープ(クリープ機能付きの場合)によるラクさを享受できる一方、キビキビと走りたい時はパドルシフトなどの変速レバーにより、MTのように好きなギアを選んで走ることができるため、中高級車を中心に搭載が進んでいます。

このようにATとMTの「いいとこ取り」のように思えるDCTですが、デメリットもありますので留意しておきましょう。

  1. 未だ変速時のタイムラグがある
  2. クリープから1速までの低速走行が苦手
  3. 変速によるエンジン特性を学びにくい
  4. 安全装置(動力断絶装置)が1系統しかない
  5. 故障リスクはMTより大きく、修理コストも高い


1)未だ変速時のタイムラグがある
ひとつずつ見ていきましょう。 まず、変速のタイムラグについて。よく知られるように、変速の速度自体はMTや通常のATを凌いで、クラッチを2つ持つDCTが最も速く完了できます。これは手動で1つのクラッチだけで変速をするMTよりも優れていて、タイムを競うレースではDCTが有利です。しかし、問題なのはそこではなく、ドライバーが変速を終える指示をしてから、実際に変速が完了するまでの時間が問題となります。

MT車では、クラッチを踏んでレバーを次のギアに入れますが、ここまでは準備です。ここから、クラッチをつなぐ時が、「変速を終えてくれ」とドライバーが車へ指示する瞬間です。MTではクラッチペダルを介して機械的につながったクラッチ板を動かすので、タイムラグは限りなくゼロに近いものです。

一方でDCTでは、シフトレバーやパドルを指で動かした時が「変速を終えてくれ」とドライバーが車へ指示する瞬間です。DCTではレバーが機械的に繋がっている訳ではなく、あくまで電気的なスイッチです。スイッチONに基づいて、各種安全チェックのプログラムが走り、それから機械的なクラッチの動きが始まります。このため、僅かな時間ではありますが、タイムロスがあります。

このように変速全体での時間はDCTの方が速いため、レースでは活用が進んでいますが、ドライバーの指示通りに動くという一体感を享受できるのは、MT車の方であることが分かります。また、機械的にクラッチペダルとギアが繋がっている分、ギアやクラッチの磨耗具合や変調は手足を介してリアルタイムに伝わりますし、完全に故障する前に気づくことができるのも、MTのメリットのひとつです。DCTは、壊れる時は突然壊れます。

2)クリープから1速までの低速走行が苦手
ひとくちにDCTと言っても、トランスミッション製造メーカーや自動車メーカーごとに仕様が異なるため、一概に言えませんが、多くは低速走行が苦手な傾向があります。クラッチ操作を人間が行うMTと違い、DCTの場合は発進をどうするかという部分で考え方が分かれます。走行性能を重視するモデルの場合は、クリープ機能は無しにしたり、レース用の発進機能をつけたり、競技車両では発進専用のクラッチペダルをつける場合もあります。逆にイージードライブを志向するモデルでは、クリープ機能を付けて、変速もなるべく段付きをなくすようなチューニングを施します。このようなクリープ付きのDCTは、クリープから1速走行に切り替える制御が難しいようで、クリープの最大速度を超えるか超えないかという速度でギクシャクした動きになることがあります。渋滞や狭い道などでギクシャクすることもあり、このあたりは、通常のAT車の方がスムーズで、多くのドライバーはATの方が快適だと思うかも知れません。実際、2ペダル車はDCTが多い欧州に比べて、日本では従来のATの方が好まれています。この辺りの制御は今後改善されている可能性が高い部分ではあります。

3)変速によるエンジン特性を学びにくい
DCTでは、変速をパドルなどによって手動で行うこともできますが、大抵はATのように自動で変速させることも可能です。一見すると自動・手動のどちらも選ぶことができて優れているように思えますが、このような場合、ほとんどの時間を自動変速で運転することになるでしょう。手動で変速をしようとするタイミングは、ワインディングに出かけたり、草レースを楽しんだりという、よほどの場面に限られるのではないでしょうか。一方で、MT車の場合は手動変速しかありません。手動変速しかできない、と、手動変速できる、は大きく違うのです。従って、日本で普通の用途で乗る限りは、街乗りしやすいATにするか、車を楽しみたいならMTにするかという選択の方が分かりやすいはずです。

手動で変速するメリットというのは、ひとえに「エンジン特性が分かる」ということに尽きます。ATやDCTの自動変装モードでは、エンジン回転に注意が向くことは滅多にありません。タコメーターは見たことがないというドライバーも多いのです。その部分は車側のプログラムが自動的に行なっているからです。一方で手動で変速する場合は、エンジン回転を注意していないと、変速がギクシャクすることがあります。このようなミスが起こりえる反面、エンジンを最大限に生かすことができるのが手動変速なのです。路面状況や傾斜、周囲の車や交通の流れを読んで、次に起こり得る状況に最適なギアを選択するには、その車のエンジン特性を肌で知っている必要があります。MTでは否が応でも手動で変速を繰り返すうちに肌感覚でエンジンの特性を知ることになりますが、DCTでは大抵自動変速モードに落ち着き、エンジン特性に着目するタイミングが少なくなります。これは、いざ手動で変速する状況になった時に戸惑いが出たり、エンジンを最大限に活用できていないという点でもったいないことでもあります。こうしたことから、少なくともDCT車を活用したいと考えている方は、AT限定免許ではなく普通免許(MTコース)にしておくか、限定解除によってMT車に乗る経験をしておくことがベターです。

4)安全装置(動力断絶装置)が1系統しかない
これはAT車と同じ特徴ですが、クラッチペダルがないという点は、メリットである反面、デメリットにもなり得るということです。近年、AT車のアクセルとブレーキの踏み間違いによる重大事故が多発していますが、これは安全装置としてのクラッチペダルがないことが遠因として挙げられます。確かにAT車にも、ハイブリッド車にさえ、「ニュートラル」というギアポジションは用意されていて、動力断絶する機能はあります。しかし、ニュートラルのポジションへ入れるというシーンが滅多になく、ドライバーの意識上で習慣化されていません。習慣化されていない動作をしろ、というのは、いざという時、パニックになった心理状態では望むべくもありません。これは2ペダルのDCT車でも同様です。MT車の場合は、クラッチペダルという動力断絶装置があるだけでなく、つね日ごろから左足を振り下ろせば動力が切れるということが意識づけられます。これは初心者であっても同様で、安全装置でもある動力断絶装置・クラッチペダルを扱わないと発進すらできないという優れた設計により、ミスをしても暴走につながりにくくなっています。

5)故障リスクはMTより大きく、修理コストも高い
MTの場合は、ふつうシフトノブとクラッチペダルが機械的に直接トランスミッション・クラッチ機構につながっていて、手足で操作することになります。一方DCTの場合は、手でスイッチを操作すると、クルマ側が電気的にメカニズムを動かすことで動作します。したがって、MT車の場合はミスをするとギア鳴りがしたり、ギアの入り具合、クラッチ板の減り具合を直接手足で感じることができる一方、DCT車の場合はメカニズムの調子や摩耗具合を知ることがとても難しくなっています。電気的なスイッチからは、トランスミッションの状態をクリック感の変化などで知らせてくれる訳ではありません。ライトのON・OFFと同様、あくまでDCTのシフトアップやシフトダウンは、スイッチであるからです。このため、MTの場合はトランスミッションやクラッチの摩耗具合や調子の異変は、徐々に分かってくるものですが、DCTの場合は突如壊れたように感じるものです。

また、機構が複雑である分、どうしてもDCTは故障のリスクが高くなります。これは今後の開発によって改善されていく可能性が高い部分ですが、それでも部品点数の差、シンプルさの違いはありますので、MTと同じレベルになるには難しい部分もあります。さらに、この構造の複雑さは、修理コストにも反映されます。トランスミッション全体は保安上の重要部品でもあり、修理自体が時間もコストも掛かるものですが、種類もノウハウも蓄積されているMTに比べると、DCTはどうしても修理が高価になります。欧州車でもハイラインの車種を中心に搭載して、DCTが故障したら車ごと買い替えを促すというビジネスを想定していた向きも伺えます。

 


 

以上、DCTはある程度のコストアップはあるものの、様々な面で優れた部分があるため採用も進み、開発も進んでいくものと思われます。上記のようなデメリットがあることを踏まえたうえで、またMT車の経験を踏んだうえで乗ることによって、そのメリットを最大限に活かせるものと思われます。特に手動でギア選択できるメリットを活かすために、ギアチェンジについて理解を深めておくことを勧めします。

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