トップページへ

EV全盛の時代、MT車の今後は?

車の運転のコツ » 05AT車とMT車 » EV全盛の時代、MT車の今後は?

EV、いわゆる電気自動車に関するニュースが近年増え続けています。米テスラ車など、以前からEVを専業として力を入れてきたメーカーだけでなく、ドイツ・フランスといった欧州車メーカーも、さらにはトヨタをはじめとした日本車メーカーもEVに力を入れてはじめています。

EVになると、トランスミッションの重要性は薄らいでくると言われています。そうすると、MT車の今後が気になるところでもあります。下記の記事をご覧ください。




■電動化で「MT」は消滅する! 変速機は残っても「人間の操作」が「不要」ではなく「不可能」になるワケ
https://news.livedoor.com/lite/article_detail/20475469/

要点
・クルマの電動化が進むと「MT」は間違いなく消滅すると筆者が述べている
・動力分割機構の制御が変わる中、人間がシフトチェンジするのは不可能だそう
・複雑な制御に人間という要素を組み込むのは、リスクでしかないとした

世間は「クルマの電動化」とかまびすしい。そして電動化になるとMT(マニュアルトランスミッション)は消えてしまうというのが既定路線だと諦観しているのではないだろうか。なにしろ、エンジンを載せているハイブリッドカーであっても、MTというのはほとんど存在しない......と考えるのはある意味で間違いだ。MTのハイブリッドカーはけっして存在していないわけではないからだ。

量産EVにおいても、モーターと多段変速機の組み合わせというのは、今後のトレンドとして注目を集めている。こちらはモーターの効率を引き出したり、カバーする速度域を広げたりするための手段として考えられているが、手動で変速しようというアイディアはいまのところない。(中略)

そもそもモーターと組み合わせられる変速機は主に2速が想定されていて、わざわざマニュアルシフトして楽しむような多段変速機ではないのだ。

いずれにしても電動化が進み、クルマがエンジンを載せない時代になればMTは消滅してしまうことは間違いない。今のうちにMTの人馬一体感を味わっておきたい。


一部を引用しましたが、記事ではMTに関して悲観的な意見がのべられていました。確かに、EVではモーターが動力となるため、エンジンのような限られたパワーバンド(力を発揮する回転数の範囲)を常に選んであげるような必要はなく、理論的にはトランスミッションそのものがなくても(効率は別として)成り立つものです。そうなると、MTの存在感というのは薄くなるという理論は成り立ちます。

しかし、この話には2つの無理があります。1つは、自動車がすべてEVに置き換わるという将来像です。政治経済のニュースをメディアで見ているだけだと、確かに今後はEVだけが将来を担うかのような喧伝がなされています。しかし、電力が安定している国というのは実は非常に限られており、一部の先進国を除いて、すべての自動車をEVに置き換えるというのは到底無理です。ガソリンをはじめとした内燃機関が残るのであれば、MTが消滅するという理論は成り立ちません。

2つ目は、EVそのものの将来性の無さです。そもそもEVがメディアで持て囃されるようになったのは、たった1つの理由によります。それは環境問題です。地球温暖化をはじめとした環境悪化はCO2が悪いのであり、燃焼を伴う内燃機関は絶滅するべきだ。排ガスを出さないEVに変化するべきだ。このような政治主導のリードによって自動車メーカーが従わざるを得なくなっているのが現状です。要するにEVは技術革新によって広まっているのではなく、イデオロギーによって広まっているのです。

しかし、多くの方がその欺瞞性を既に知っています。EVの動力源である電気は発電時に多くのCO2を排出しますし(原発は除く)、バッテリーの製造過程・廃棄過程においても多くのCO2を排出します。また電気は貯めておくことが困難であるため、送電コストも多大ですし、その際のロスも見過ごせないものです。さらには、自動車メーカー各社が開発を進めている自動運転の技術ですが、実は将来を見込まれる完全自動運転車とEVは非常に相性が悪いのです。レベル2や3といった運転支援レベルの自動化技術ならばまだしも、ドライバーが不要になるレベルの完全自動運転では、大量の電力を消費することが解っています。つまり、EVの場合は、動力と自動運転システムとで電力の奪い合いが起こってしまう訳です。

こうしたことから分かる通り、ガソリンエンジンをはじめとした内燃機関が一朝一夕で無くなるようなことはありません。原油を精製する際に生成されるガソリンを有効活用する、という意味でもガソリン(軽油も含む)燃料を使った自動車というのは残り続ける可能性が高いのではないでしょうか。そうすると、当然効率がもっとも高いMT車は今後も残っていくことが見込まれる訳です。

近年では、ペダルの踏み間違いによる事故が多発していますが、これはAT車ならではのものです。そして、よく踏み間違い事故のやり玉に挙げられるプリウスですが、これは恐らく発進時の静かさが影響しています。EVの2ペダル車が増えると、プリウスと同様に、アクセルペダルを踏んでもエンジン音のような加速を直感させるような音は鳴りません。つまり、いまアクセルを踏んでいるのか、ブレーキを踏んでいるのかは、音を聞いただけでは判断できない訳です。高齢者になると、なおさらこの影響は大きいでしょう。このように人間の直感と車の挙動との齟齬が大きくなると事故を誘発します。人間の直感に非常に近い、ガソリン(軽油)+MTという組み合わせは、むしろ見直される可能性が強いと思われます。

このページ『EV全盛の時代、MT車の今後は?』をメールで送る

« 前の記事へ

次の記事へ »

トップページへ