トップページへ

MT、AT、CVT、DCTの市場シェア

車の運転のコツ » 05AT車とMT車 » MT、AT、CVT、DCTの市場シェア

MT、AT、CVT、DCTの市場シェア

日本ではAT車(※)が現在新車販売される車種の90%以上を占めています。また、日本の自動車メーカーが軸足を置くアメリカやアジアの一部もAT車が主流であるため、AT車が標準的なものでると認識している人が多くなりました。

※いわゆる2ペダル車で、AT限定免許で運転できるAT、CVT、DCT、AMTなどを全て総称して、ここではAT車としました

その結果、AT車は新しく優れたトランスミッションだと誤解する方も多くみられるようになりました。ところが、そもそもの世界的なシェアは、MT車が過半数を占めて圧倒しているのであり、AT車を好む地域は非常に限られています。これは、コスト的にAT車を導入できない国が、いまだにMTになっている訳ではありません。そうではなく、積極的にMTが好まれている地域が多いということです。このことは、自動車を生み出したヨーロッパを見ると分かります。大半の車はMT車ですし、女性が運転するタクシーもMT車が普通です。

ここでは、『自動車エンジンの技術』ナツメ社/畑村耕一、世良耕太から、トランスミッションについての記事を引用します。

 

★ヨーロッパでMTが好まれる理由
  1. ダイレクト感を好む傾向がある。
  2. 郊外の一般道を含め、高速で長距離を走る機会が多く、MT、AMT、DCTといった伝達効率の高さに由来する高速燃費のよさが重要。
  3. 燃費向上手段として過給ダウンサイジング※1が普及したため、相性の悪いCVTは採用されなかった。CVTと加給ダウンサイジングを組み合わせると、それぞれの燃費向上効果は足し算にならないのに加え、ラバーバンドフィール※2とターボラグ※3が二重に走りのフィーリングを悪化させる

※1ターボチャージャーなどを利用して、一回り小さなエンジンで実用パワーを出す取り組み。小型化、軽量化できるため、燃費向上やデザイン自由度が高まる。
※2アクセルを踏んだ量と、加速感が比例しないような運転感覚。CVTやATでは、エンジンの回転をタイヤまで伝える間においてロスが大きい。
※3ターボチャージャーでエンジンに負荷を掛けると、ワンテンポ遅れてからエンジン回転が高まるという仕組み上の時間差。

 

なぜヨーロッパでは、このような傾向があるのでしょうか。ヨーロッパの人たちにとって、クルマという存在は遊牧時代から続く、DNAに刻み込まれたかのような特別な存在なのだそうです。移動手段でもあった家畜と、その管理役を担っていた犬などのペットの存在は、ただの愛玩動物である日本でのペットとは存在感が違うようです。日本人にとっての「お米」を想像すると分かりやすいのかも知れません。そのこだわりは、アジアの一員である日本人からすると計り知れないほどで、運転技術についても一家言ある方がほとんどです。彼らにって、車の運転とは、エンジン回転とタイヤの回転をコントロールすることに他なりません。エンジンの回転と、タイヤの回転を決めるのは、まさにトランスミッションの仕事であり、そこをコンピューターが代行するというのはあり得ない、というのがその意見です。興味深かった例えは、「ピアノが自動演奏の時代になっても、私は指で弾く方がいい」というものです。欧州の人のメンタリティが垣間見れる気がします。

また、同記事では、CVTについても触れられています。
以下、一文を引用します。

マーケットの環境によって主流となるトランスミッションは異なる。CVTが普及しているのは日本だけだ。

このように、CVTは特に日本で好まれているトランスミッションです。日本のモード燃費に合うため、カタログで良い数値をうたいやすいというそのがその理由です。また、運転感覚として、ダイレクト感よりも段付きショックのない加速を好む傾向があるのも、理由のひとつでしょう。

CVT車は実際に運転すると、上手な人のMT車よりも燃費が悪いのが実態です。ところが、MT車を運転する機会が少なく、カタログや雑誌の燃費数値のみを見て、優れた仕組みを備えた車だと勘違いしてしまう訳です。MT車はこれからも世界的には最も一般的なトランスミッションです。ドライバーが技術を身につける必要がある、という点を除いては、走行性能、燃費、整備性、重量、価格、これらのバランスを見ると最も優れたトランスミッションがMTです。エンジンとトランスミッションは、切っても切れない関係にあります。せっかくの良いエンジンも、ロスが多く、フィーリングの悪いトランスミッションを搭載している車は、下のクラスのMT車よりも運転の質が劣るということが良くあります。

完全なEV(電気自動車)になるまでには、相当な時間が掛かりますので、HV(ハイブリッド)としてエンジンとトランスミッションとは共存していく必要があります。また、伝達機構や操作がどのようになるかは不明ですが、完全なEVでもトランスミッションを活用する可能性もかなり高くなっています。従って、自動車運転操作の基本である、MT車を覚えられるように、教習所ではMTコースを選択することをお勧めします。

 

このページ『MT、AT、CVT、DCTの市場シェア』をメールで送る

« 前の記事へ

次の記事へ »

トップページへ