トップページへ

自動運転車による事故が普及の妨げに

車の運転のコツ » 09運転ブログ » 092車生活 » 自動運転車による事故が普及の妨げに

自動運転車による事故~愛知

日本でも自動運転車による事故が発生しました。 事故を起こした自動運転車両はテスト車両で、行政と大学、企業という、いわゆる産学連携事業における事故だった模様です。

この事故には、将来、自動運転の明るい未来があるのか否かを占う、重大な要素が含まれています。まずはニュース記事を2点引用します。

 

●試験走行の自動運転車が接触事故 実証実験は中止へ 愛知 豊田

 

26日午後、愛知県豊田市で、自動運転の車が試験走行をしていたところ、後ろから追い越してきた一般の車と接触する事故がありました。けが人はいませんでしたが、今月29日から行う予定だった自動走行の実証実験は中止になりました。

豊田市によりますと、26日午後2時20分ごろ、豊田市樹木町1丁目の市道で、名古屋大学が開発したゴルフカートをベースにした自動運転の車が、後ろから追い越してきた一般の乗用車と接触しました。

自動運転車には4人が、乗用車には1人が乗っていましたが、けが人はいませんでした。

市によりますと、自動運転車は片側1車線の道路を時速14キロで運転手がハンドルから手を放した状態で走行していましたが、後ろの車が右側から追い越そうとした際に、何らかの理由で自動で右に動いて接触したということです。

この車は、豊田市や名古屋大学、トヨタ自動車などでつくる協議会が、今月29日から歩行者や車などへの影響を調査するため、豊田市の市街地で実証実験を行う予定で、今月21日から同じ1.3キロのコースを試験走行中でしたが、事故を受けて実験は中止になりました。

豊田市未来都市推進課の中神泰次課長は「関係者には大変、申し訳ありませんでした。今後は、原因究明を行ったうえで、これまで以上に安全を第一に考えて取り組みを進めていきたい」と話しています。

引用元;NHKニュース 2019年8月26日


●自動運転実験車の衝突事故 車の向きの誤認識原因 愛知

愛知県豊田市の中心部で、運転手なしの自動運転の実験車が試験走行中に乗用車とぶつかった事故で、実験を進めた名古屋大学と市は29日、実験車が事故の直前に車の向きを誤って認識して誤操作をした、と発表した。

名大は今後、学内に事故の検証委員会を設け、再発防止策をまとめるまで、公道での実証実験を取りやめる。

事故は26日午後2時20分ごろに起きた。豊田市樹木町1丁目の市道で、走行中の実験車を後続の乗用車が右側から追い越そうとした際、時速14キロで走っていた実験車が右側に曲がり、乗用車とぶつかった。

発表によると、実験車は事前に記憶させた3次元の地図を元に、半径150メートルの範囲にある建物などを検知しながら走行している。事故の1・3秒前、実験車は実際に走っている方向からは左に56度傾いている、と誤って検知し、ハンドルが突然、右側に曲がった。誤検知の原因は分かっていないという。

名大の佐宗(さそう)章弘副総長は「事故を起こしたことを重く受け止めている。再発防止策を講じ、技術の改善に努めたい」と話した。

市などは市美術館で開かれている「クリムト展 ウィーンと日本1900」(朝日新聞社など主催)に合わせて、この車に来館者を乗せる実証実験を29~31日に予定していたが、中止した。

引用元;朝日新聞デジタル 2019年8月29日

 


まず、事故の原因として現時点で明らかにされているのは、車両の進行方向を決めるためのシステムに異常が生じたため、危険な方向にハンドルが切られたということです。事前に記憶させた三次元地図に問題があるのか、コンパスの役割を果たすセンサーに問題があるのかは不明です。そして、方向が間違っているという『誤情報』を元にした動作、すなわちハンドルを切るという判断は正しく機能したということです。

旧知の通り、自動で車を運転させるためには、距離を測るセンサー、障害物を感知するセンサー、方向を感知するセンサー、前方をスキャンするカメラやレーダーといった、いわゆる「認知」の機器類が多数備わります。それらの情報に加えて、三次元地図やリアルタイム道路情報なども「認知」の機能を果たします。これらの情報をもとに「判断」する機器はいわゆるコンピューター系であり、AIが中心的な役割を果たして最適な動作を決めます。最終的に「動作」するのはハンドルやアクセル、ブレーキといった操作系で、これらは人間が運転するのと基本的には同じ動きです。これらのうち、自動運転を可能にするのは「認知」の機能を果たす機器類と、「判断」を下す機器類だということです。

見過ごされがちですが非常に重要な点は、「認知」の機器類と「判断」の機器類は、それぞれが互いに別系統だということです。つまり、誤った情報をひとつのセンサーが感知した場合、正しく判断することが非常に難しいということです。「判断」を下す頭脳役のAIは、基本的に正しく正確な情報が入ってくるものとして判断を下します。しかし、これらの情報に矛盾が生じた場合の判断が難しいということです。例えば、三次元地図は常に詳細で更新済みである必要があるのですが、もし地図情報とリアルタイム道路情報、そしてカメラで捉えた前方の情報が、食い違っていた場合、どのような判断を下すのかは技術者にも分かりません。自律判断を下せるというAIのメリットは、状況によってデメリットにもなり得ることは知られています。そして、リアルな交通の現場で不都合が起きれば、即、人命に関わる事故となってしまいます。

今回の事故の場面で、もし人間が運転していれば、たとえ初心者ドライバーであっても後続車に追い越されている最中に右にハンドルを切ることはないでしょう。人間では起こさないタイプの事故を、今回は起こしてしまいました。この意味は非常に大きいものです。なぜなら、設計思想が根本から間違っていたということが明らかになったからです。今回のような事故が1件でも起こるのであれば、自動運転はまったく必要のないものだということになります。人間が運転する方が安心できるからです。
自動運転の存在意義があるとすれば、「人間が起こさない事故は、自動運転車も絶対に起こさない」こと。そのうえで、「人間が起こしてしまう事故を、バックアッパーとして未然に防ぐ」こと。これが本来、基本的な自動運転の開発理念であり、そのための設計思想を持つべきでした。ところが、今回の事故からはそうした姿勢は見られません。現状の自動車会社各社の開発姿勢は、とりあえず、手持ちの技術を合わせて、出来るところから作ってみるというような場当たり的な感があります。AIやセンサーといった技術が進んできたから、やってみる、という間違ったスタートラインから出発しているように見受けられます。

こうしたことを省みることなしに、なし崩し的な開発をすすめていけば、同様の事故は何度も発生し、そのたびに社会的な批判を浴びて、結局は自動運転車両を普及させるまでの時間はさらに長く掛かってしまうのではないでしょうか。

このページ『自動運転車による事故が普及の妨げに』をメールで送る

« 前の記事へ

次の記事へ »

トップページへ