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電車のATOと自動車の自動運転

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電車のATOと自動車の自動運転

2019年に横浜シーサイドラインで発生した逆走事故は、業界関係者にも衝撃を与えている模様です。現在、自動車に限らず、物流・輸送に関わるすべてのモビリティを自律化させようという動きが見られます。この背景には当然AIの発展があります。AIは今後進化することこそあれ、退化することは考えにくい。であれば、ドライバー・運転士不足にあえぐモビリティの現場では、自律走行を開発したほうが合理的である。これが現在の流れの根底にある考え方でしょう。

しかし、今回の事故はこうした流れに重い一石を投じるものとなりました。なぜなら、原因が衝撃的に単純なものだったからです。方向性の切り替え、人間の運転でいえばギアを間違えたという程度のものであり、AIが絡むような複雑なものでは全くなかったのです。車両側ATOの断線によるものなのか、電気系統の不具合なのか最終報告はまだ報道されていませんが、いずれにしろ無人運転で30年以上の無事故を続けてきた路線であっても、現実として単純な事故を起こし、しかもノーブレーキで車止めに突っ込み、怪我人を多数出してしまったのです。この事実は、あまりにも重いと言わざるを得ません。今回の事故と、今後の自動車の自動運転との関連を記したネット記事を下記に引用します。

 

シーサイドラインの逆走事故はATOの不具合によるものか 自動車の自動運転のへの警告にもなりうるのでは?

6月1日に発生した横浜シーサイドライン新杉田駅の事故には驚きました。私は一度も利用したことがなく、今年中に乗ってみようと思っていたのですが、起点の新杉田駅のみは磯子区、他は終点の金沢八景駅を含めて金沢区を通ります。1989年7月5日に開業(どうでもいいことですが、年を除いて私の誕生日に開業したこととなります)、1994年にATOによる自動運転が開始され、無事故が続いたそうです。しかし、大惨事となりました。

私は、ATOまたはATCの老朽化によるものだろうかとも思いました。しかし、違うようです。2日の20時5分付で毎日新聞社のサイトに掲載された「運行会社『逆走の想定なかった』 自動停止の仕組みなし シーサイドライン逆走」(https://mainichi.jp/articles/20190602/k00/00m/040/157000c)によると、出発直前のATOの交信記録には異常がなく、逆走の想定すらなかった、つまり、逆走した場合の自動停止装置がなかったといいます。そうなるとATOのシステム自体の問題とも考えられます。これは、他の新交通システムはもとより、自動車の自動運転についても緊急の検討を要請することにつながるでしょう。

一方、朝日新聞社のサイトに2日の20時56分付で掲載された「車両側のシステムに問題か 逆走したシーサイドライン」(https://digital.asahi.com/articles/ASM625K4ZM62UTIL00Z.html)という記事は「駅側が出発の合図を出した直後に逆走しており、合図を受ける車両側のシステムに問題があった可能性がある」としており、「全体の制御システムではなく、車両内のシステムで問題が起きたと考えるのが自然だ。車両側では方向転換をしたと認識する一方、動力装置にはその情報が伝わらず、前進するつもりで逆走した可能性がある。前進方向には安全対策が張り巡らされているが、こうした逆走は通常想定されていないため、保安装置も働かなかったとみられる」とする工学院大学の髙木亮教授のコメントを載せています。

ただ、まだ原因が究明されている訳ではありません。ATOというシステム、あるいは無人自動運転というシステムそのものについて再点検を行う必要があるでしょう。単純に車両側の問題とも言えないのではないかと思えるのです。

とくに、自動運転の問題は、それが有人運転か無人運転かを問わず、鉄道以上に自動車のほうこそ重大でしょう。ただでさえ、高齢者などによる逆走などの事故はMT車ではなく、AT車によるものが多いのです。アクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違えなどというものは、AT車だから起こしやすいのです。このようなことは、MT車を動かしたことがある人ならすぐにわかる経験的な知識に属します。MT車のほうが事故を起こしにくいとも言えるでしょう。何でも機械に頼ってしまうことは危険です。

そして、鉄道ということであれば、JR東海が建設しているリニア新幹線に、以上の話は妥当するでしょう。

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シーサイドラインのように、原則として無人運転の場合、遠隔監視が行われています(有人運転であってもCTCなどがありますが)。有人運転であれば、咄嗟の判断によるブレーキ操作も可能ですが、無人となると難しいかもしれません。数年前、私は名古屋市の藤が丘駅から豊田市の八草駅までの愛知高速交通東部丘陵線(リニモ)に乗りましたが、この路線の場合は藤が丘駅〜はなみずき通駅の区間などで乗務員が車内にいます。また、新交通システムであっても西武山口線のようにATOを採用していない路線(ワンマン運転、ATS)もあります。私は山口線にも乗ったことがありますが、AGTであるのに車内信号がなく、運転士は線路脇にある信号機に従っています。こういう路線のほうが事故を起こしにくいと言えるかもしれません。

少し考えてみると、有人運転か無人運転かを問わず、ATOが採用されている鉄道路線は多くなっています。私が利用したことのある路線をあげてみても、次のようになります(東京メトロ日比谷線のように、一部の電車のみによって行われた試験運転を除きます。また、私が利用した時には未採用であった路線も入れています)。

通常は無人運転:ゆりかもめ東京臨海新交通臨海線、東京都交通局日暮里・舎人ライナー、大阪市高速電気軌道南港ポートタウン線、神戸新交通ポートアイランド線、神戸新交通六甲アイランド線ライナー、愛知高速交通東部丘陵線(リニモ)。

有人運転:札幌市営地下鉄全線(南北線、東西線および東豊線)、埼玉高速鉄道線、首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス、東京メトロ丸ノ内線・千代田線・有楽町線・副都心線・南北線、都営三田線、都営大江戸線、多摩都市モノレール、横浜市営地下鉄全線(ブルーライン、グリーンライン)、名古屋市営地下鉄東山線・桜通線、京都市営地下鉄東西線、大阪市高速電気軌道千日前線・長堀鶴見緑地線、神戸市営地下鉄全線(西神・山手線、海岸線)、北九州高速鉄道小倉線(北九州モノレール。但し、私が大分大学在職中に利用した時にはATOによる運転でしたが、現在はATOをやめてATCによる有人運転です)、福岡市営地下鉄全線(空港線、箱崎線および七隈線)。

こうしてあげてみると、無人運転については横浜シーサイドラインおよび舞浜リゾートラインディズニーリゾートライン(ケーブルカーのように、運転士は乗務せず、車掌のみが乗務するそうです。ディズニーランドに行ったことがないのでよくわかりません)を除く全ての路線を利用していますし、有人運転については仙台市営地下鉄以外の全路線を利用していました。

そればかりでなく、本務校の板橋校舎に向かうために都営三田線を利用しますし、東松山校舎などへ向かうために副都心線・有楽町線を利用します。非常勤の関係、都内の様々な所での資料収集などのために東京メトロ南北線や丸ノ内線、多摩都市モノレールも利用します。2004年から2012年まで集中講義を担当していたので福岡市営地下鉄箱崎線および七隈線を利用していました。思いの外、ATO採用路線をよく利用していた訳です。

そして、さらに少しばかり考えてみると、ここにあげた路線の全部とは言えなくとも、大部分の路線で、駅にホームドアが設置されています。言うまでもなく、ホームドアと電車の扉の位置を合わせるためです。また、私の知る限りでは千代田線、有楽町線(和光市駅〜小竹向原駅を除く)、神戸市営地下鉄西神・山手線を除けばワンマン運転が行われています。運転士の負担軽減のためのATOと言えるようです。

もっとも、ATOを採用する路線であっても、運転士の訓練は欠かせないようです。ハンドル訓練などと言いますが、運転士の技能低下を防ぐため、また緊急時に備えるために、行われています。

このことは、鉄道よりもはるかに安全性が低い自動車にこそ妥当する話ではないでしょうか。いくら操作が楽になるからといって、車庫入れを初めとして、自動車の運転技能を低下させることは許されないはずです。自動運転機能は補助手段である、というくらいの位置づけでなければ、道路上の交通安全を保てるとは思えません。
引用元;2019年06月03日 01時36分30秒 | 社会・経済
https://blog.goo.ne.jp/derkleineplatz8595/e/69d00694b3e63a73c55afdb7e218995c

 

 

今回の事故で、自動運転の世界がやってくるという夢は、かなり遠のいたと言えるでしょう。上記の記事からも分かるように、車が自律して動くのが主であり、それが故障したときに人間のドライバーがバックアップをする、という形はかなり無理があります。

そうではなく、あくまで人間のドライバーが主であり、運転操作を誤ったり、居眠り・飲酒・健康状態の急激な悪化といった場面で、車が自動的に安全な場所で停止するなどのバックアップ手段になるのが正しい方向性です。それであれば、法律面や保険、ドライバー教育も含めて、現在の環境そのままでテクノロジーを採用することができます。

しかし、残念ながら現在の開発の方向性はドライバー無しの自律運転にこだわっているメーカーが多いため、バックアップとしてのテクノロジーにはなり得ません。そもそも、テクノロジーが踏み間違い事故や、ふらつき運転を誘発している現状があります。

マツダなど、一部のメーカーでは人間中心のテクノロジーという思想を開発の中心に据えています。このシーサイドラインの事故が、正しい方向への開発が進む契機となることを願います。

 

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