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EVの普及が進まない根本的原因

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TVや新聞などの大手メディア、もしくは経済紙などを見ていると、EV化は規定路線で、その波はすでに大きく向かってきているという印象を受けます。しかし、実際には日本国内においても、その他主要国を見ても、普及が進んでいるとは言えません。国内でも、確かに充電設備を設けている施設が増えたことは見てとれますが、実際に純粋なEV車(ハイブリッドではない、電気によりモーターを駆動する車)を見かける割合は極めて限られています。この、報道とのギャップはどうしたことでしょうか。

まずひとつには、「EV化への波」自体が、求められてきたものではなく、政治主導で作り上げてこられたものだ、ということがあります。EV化にハンドルが切られたきっかけは、地球温暖化防止、CO2削減、広義にはSDG'sなどというフレーズで語られるものです。化石燃料のように、燃焼を伴うものが地球環境にとって悪である、という前提に立ったものです。このことの是非を問うことはここではしませんが、あくまで政治的目的のもとに、政治家と自動車メーカーが発信してスタートしたのがEV化であるということです。

一方で、自動車ユーザー側から見ると、EV化というのは「長年の悲願」というようなものではありません。むしろ大多数の一般的な自動車ユーザーにとって、燃料や動力源といったものは特に関心の高いものではないでしょう。むしろ、燃費などの経済性、車両としての居住性やデザインなど、直接ユーザーに関わる部分に興味が集中するのが自然でしょう。このことを裏付けるかのような記事がありましたので、下記にご紹介します。




英国のネイチャー・パブリッシング・グループ(NPG)の調査によると、EVを購入した人のうち20%(5人に1人)が内燃機関車に戻ったとされています。世界各国でクルマの電動化が推し進められていますが、EVが普及するまでの道のりは険しいものとなっています。

自動車メーカーはEVラインナップの拡充を急いでいますが、その中で、これまでガソリンやディーゼルなど内燃機関車に慣れ親しんできた消費者を、どのようにEVへ誘導するかが課題の1つとなっています。しかし、充電インフラが整備されていないことや、内燃機関を搭載したクルマに比べて価格が高いことなどから、購入のハードルは決して低くないというのが現状です。

NPGが発行する科学雑誌「Nature Energy」に掲載された研究結果では、そうしたハードルを乗り越えてEVの購入に踏み切ったにも関わらず、従来のガソリン/ディーゼル車に乗り換えてしまう人が一定の割合で存在することが明らかになりました。研究チームは、2012~2018年に米カリフォルニア州でEVを購入した4,160人を対象に調査を行いました。調査対象者のうち、次に乗るクルマに内燃機関車を選んだ人は1,840人に上るとのこと。

データは数年前のものであり、カリフォルニア州と他の州では環境も異なるため、一概に20%の人がEVを手放してしまうとは言い切れません。EV普及率は、米国全体では2%に満たない状況ですが、カリフォルニア州では8%(ニューヨーク州の9倍)と一歩リードしています。当然、国によっても大きな差があります。しかし、一度EVを購入した人が、「必ずしもそのままEVを乗り継いでいくとは限らない」ということに違いはないのではないでしょうか。

Nature Energy誌では、EVから内燃機関車に乗り換える可能性が高いのは、EVが「唯一の移動手段」となっている、または自宅での充電が整っていない人たちだとされています。また、EVの購入価格は同クラスの内燃機関車よりも高いため、所得によってはEVを乗り継いでいくことが難しく、手放すと決めた人は若年層に多いとのこと。

注目すべき記述は、「(手放すと決めた人たちにとって)公共の充電インフラの整備はあまり重要ではない」という部分です。通勤や買物など短距離の移動しかせず、長距離移動が少ないことがその理由として考えられます。自宅や勤務先など、一定の時間をとってゆっくり充電できる環境が整っていないと、EV所有における大きな足かせとなるのでしょう。同誌では、「公共充電インフラへの投資が、EVの普及に必要な万能の解決策ではないことを示唆している」と述べています。

興味深いことに、女性は男性よりもガソリン車に乗り換える率が高いという結果も出ています。ですが、その理由は定かではありません。"

https://slashgear.jp/cars/19666


記事にある通り、EVというのはガソリン車に比べて優れているとは必ずしも言えないことが伺えます。確かに、過去に比べるとバッテリーが大幅に進化(リチウムイオンバッテリー等)したことによって、実用的な開発に弾みがついているのは事実です。しかし、ガソリン車に比べて課題が多いのもまた事実です。主な課題点は次のようなものです。

・充電時間が(ガソリン充填に比べ)長く掛かる
・(長い充電時間のため)車庫付き戸建てが必須
・(長い充電時間のため)充電スタンドが多数必要
・急速充電の多用はバッテリーの寿命に影響する
・温度管理がガソリンよりもシビア(極低温地等)
・自然放電が起こる(未使用期間に微量に減少)
・長期利用で充電深度が落ちる(80%未満しか充電できない等)
・エアコン等の電装系と食い合いが起こる
・高速道路などでの高速巡航が苦手(電費の悪化)

上記の他にも、将来的な自動運転システムとの相性が悪い点も大きな課題です(大口の電装系との食い合い)。これらは、いずれもガソリン車には起こり得ない問題点です。そして、あくまでも電気とモーターを使ったシステムの方が環境に良いのだとすれば、PHEVが最適解になるはずです。外部充電ができるハイブリッドシステムであるPHEVであれば、上記の問題はほとんど解決、もしくは問題が小さくなるわけです。

全社を挙げてEV化に邁進する欧州に比べれば、トヨタなどの日本メーカーはHV、PHEV、FCV(水素燃料車)など、選択肢を残しています。振り返ってみれば、フォルクスワーゲン社をはじめとした「ディーゼルゲート」という大きな疑獄をきっかけに急ハンドルを切った欧州勢ですが、日本車メーカーはぜひ冷静に状況を判断してもらいたいところです。

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