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ハイブリッド車もEV車も?無音で進む危険性

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近年、車の電動化が進んで来ていますが、同時にその電動化の弊害も見えるようになってきています。電動化というと電気自動車、EVをすぐイメージしますが、それだけではなく、多くの機能が電動化によって以前とは変わってきています。古いもので言えば電動ミラーやウインドウ、電動ドアロック。近年進んだもので言えば、電動スライドドアや電動パーキングブレーキなどが挙がります。

特にプリウスから始まった、駆動力の電動化により、モーター駆動の車が増え始め、道路環境が急激に変わったと言えます。その変化から数十年経ちましたが、その弊害もはっきりしてきています。まず、下記の記事をご紹介します。




●ハイブリッド車の「キーン音」なぜ鳴る? 静かな接近は危険? 安全対策とは
2021年9月27日 くるまのニュース

静かすぎるゆえの懸念。法整備、企業努力進む
 電動車は、モーターで走行する際にとても静かなことが特徴です。
 
 一方で静かすぎることにより、接近に気付かない歩行者が危険な思いをすることはあり得るのでしょうか。

★最近のハイブリッド車や電気自動車には「車両接近通報装置」が義務付けられている

 年々普及が進んでいる電動車のラインナップには、電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、ハイブリッド車(HV)が含まれます。

 クルマが発する音の要因は、エンジンを搭載するモデルでればエンジン関連、排気音、走行音などが挙げられます。


 一方で、電動車は種類によってエンジンと併用するタイプもあるものの、モーターのみで走行する場合は、風切音とタイヤ、ブレーキなどの走行音のみです。

 日本で電動車は、ハイブリッド車の先駆者ともいえるトヨタ「プリウス」の登場以降、他社も追従する形でさまざまなモデルが登場しました。

 こうした高い静粛性を誇る電動車の普及により、街中の騒音がかなり抑えられている一方で、静かすぎることによる弊害が懸念されています。

 歩行者、とくにクルマが近づいてくるのを音で判断している視覚障碍者や高齢者が接近に気付かず、事故につながる危険性は有識者の間でも課題となっていました。

 社会福祉法人日本視覚障害者団体連合が2008年におこなった調査では、事故に遭ったなどの情報は寄せられなかったものの、翌2009年におこなったハイブリッド車に関するアンケートでは52人の視覚障害を持つ回答者のうち75%が静粛性に対して恐怖を感じると回答していることが分かっています。

 この結果を受けて、国土交通省は2009年に「ハイブリッド車等の静音性に関する対策検討委員会」を開催。

 また、独立行政法人交通安全研究所がおこなった「ハイブリッド車等の静音性に関する体験会」では、モーターによる発進、10km/h以下での低速走行による接近に参加者40名(うち視覚障害者15名)のほとんどが気付かなかったという結果が出ており、さらに電気自動車に関しては全員が気付かなかったということが分かっています。

 また検討委員会の調査では、各自動車メーカーのお客様相談にはハイブリッド車の静粛性に関する意見・相談が寄せられていることも分かっています。

 実際の声としては「静かすぎて接近に気付かず驚いた」「もう少し音は出ないのか」「クラクションとは別に接近を知らせるチャイム音のようなものが欲しい」などがありました。

※ ※ ※

 国際的に見てみると、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)の調査では、電動車を「静音自動車」と位置づけたうえで、通常のガソリンエンジン車より対歩行者事故率が高いとまとめられています。

 一方でオランダと日本に関しては統計上、電動車とエンジン車との間に事故発生率に関する決定的な差はないとされています。

行政とメーカーが取り組む、静粛性が高い電動車の対策とは
 国土交通省は2016年に電動車に対し、歩行者などに接近を音で知らせる「車両接近通報装置」を装着することを義務づけています。

 新型車の場合、2018年3月8日から、継続生産車の場合、2022年10月8日からの対応が必要です。

 車両接近警報装置は、エンジンルーム内に取り付けたスピーカーからモーターが回転するような音が静粛性の高いモーターによる走行の際に発せられるものです。

 なお、エンジンがかかっている際や停車時、速度がある程度出ているときは作動しません。

 国土交通省が定める作動条件は、「少なくとも車両の発進から車速が 20km/h に至るまでの速度域及び後退時」となっていますが、それ以上の車速域に案してはメーカーの裁量により違いがあります。

 音は「車両の走行状態を想起させる連続音であるもの」と定められているに留まり、これも各メーカーによって異なります。

 ちなみに、警報音として不適当なものとして「サイレン、チャイム、ベル及びメロディ音」、「警音器の音」、「鳴き声等動物や昆虫が発する音」、「波、風及び川の流れ等の自然現象の音」、「その他常識的に車両から発せられることが想定できない音」が挙げられています。

 また、音量は常に一定ではなく、「速度に応じて、音量又は音程が自動的に変化するなど、車両の動作を認知しやすいようにする」ことが義務付けられています。

 その際、20km/hで走行するエンジン車の発する音の大きさは超えないことになっています。


接近音を発するスイッチ(左)や一時的にキャンセルできる機能が付いていた時期もあった
 こうした車両接近通報装置の義務づけについて、国土交通省の担当者は以下のように話します。

「年々EVやHVの普及が拡大し、こうした静粛性の高いクルマに関しての対策検討委員会が設けられました。

 そのなかで、歩行者が静粛性が高いことで気づかないケースや、事故に遭ったというケースも挙げられています。

 そのため、何か基準を検討しなければという話し合いがおこなわれ、この車両が接近する際の装置の義務付けに至りました。

 この装置の義務付けにより、従来に比べて安全性の向上が期待できるといえます」

※ ※ ※

 電動車は、今後これまでのガソリンエンジン車並みに普及することは確実視されています。

 そんななか、電動車の大きな魅力のひとつである静粛性が危険を産み出す懸念材料になり得る事態を行政、企業の双方向からの努力が回避しているのが現状です。

 ドライバー自身もモーター走行時は歩行者が気付きづらいということを理解して、歩行者ファーストの安全運転を心がけることが望まれます。



記事で指摘されているように、ハイブリッド車やEVのように、モーターを駆動して走る車というのは、その特性上ごく僅かな駆動音しか発しません。静粛性という意味で当初ポジティブに捉えられていたこの特徴ですが、普及が進むにつれて、無音に近づけば近づくほどよいという、単純なものではないことが分かりました。

特に2021年夏には、東京パラリンピックで象徴的な事故が発生しました。自動運転の実証実験を選手村内で行っていたモーター駆動のバスが、車イスで横断歩道を渡っていた聴覚に障害のある選手をひいてしまったのです。これは、自動運転システムの技術が未熟であったことが直接的な原因であるとみられますが、もしこれがエンジン駆動のバスであれば、被害者はなんらかの回避行動が取れたという可能性も残ります。

危険なものほど、姿形が大きく、大きな音を立てながらやってくる。ほとんど音を立てずに移動してくるものは、さほど危険ではない。この感覚は完全に人間の本能に基づくものでしょう。プリミティブな技術であったエンジン車は、この本能に忠実な動きをしていました。猛加速している車なら猛烈な音を立てていました。しかし、電動車はそうではなかったのです。

記事にあるように、実際に被害の報告を受けてから、国やメーカーは、走行状態に応じた音を発生するような取り組みを行いました。これは、いかに人間の本能に則した開発を軽視しているかを表しています。人命軽視と捉えられても仕方がありません。本来であれば、人的被害を出してしまう前に、人間の本能に則した動きとはどういうものかを優先的に考慮してしかるべきでしょう。

残念ながら、現在進行している自動運転の開発競争においても、この人命軽視の姿勢は変わっていないように見受けられます。実際、東京パラリンピックでの自動運転バスの事故を受けても検証結果を公にすることを待たずして、開発が継続されています。他の自動車メーカーもこれに追随しています。人命よりも新技術、といった姿勢での開発では、拙速であるという印象を免れません。ある程度の犠牲者はやむを得ない、という思いが少しでもあるなら、自動運転の普及はかえって遠ざかるのではないでしょうか。

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