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電動パーキング~安易なボタン化はミスを促す

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以前はパーキングブレーキ、ハンドブレーキ、サイドブレーキなどと呼ばれて、運転席と助手席の間に、引き上げ式の長いレバーを操作するのが定番でした。教習車でも非常に長い期間、この方式が採用されてきたため、多くの免許取得者はこの形式になじんでいます。その後、足踏み式や手動で引く形式など様々なものが登場しました。室内空間を広げるべく、運転席と助手席を隔てるような大きな装置は取り払ってしまおうという発想です。それぞれの車種に慣れていない人が乗り込むと、どこにパーキングブレーキがあるのか、迷ってしまいます。ここまでは、すべて機械式であり、手動式です。カチカチカチと音がするラチェット式である点は同じでした。まだ「場所が分からない」程度で済みます。

電動式のパーキングブレーキボタン

そして、電動式のパーキングブレーキが登場してから、さらに事態は混迷を極めます。電動式といっても、後輪に弱いブレーキを掛けるワイヤー式という点では機械的な部分は同じなのですが、パーキングブレーキを掛ける、解除するという操作がボタンひとつで可能になったということです。これを採用した多くの車種では、従来の手動式のパーキングブレーキの操作に配慮して、ボタンを上に引き上げるとブレーキを掛ける、ボタンを下に押すと解除するという形でオマージュを行っています。しかし、仕組み上はまったくこのような操作をさせる必要性はないため、一部の車種では単純なボタンのオン・オフでパーキングブレーキを操作するようになっているものもあります。パーキングブレーキが掛かっているかどうかは、小さなLEDランプの点灯状態を見るしかありません。しかも、こうした電動式のボタンは、カチカチカチっという昔ながらの音はいっさいせず、無音です。

ここで問題になってくるのは、トランスミッション、つまりシフト操作の「P」ポジションとの混同です。一部の車種では、シフトのパーキングポジション「P」もボタン式。パーキングブレーキもボタン式というものがあります。どちらも表示は「P」です。操作感覚もほぼ同じで、単純なボタンですから当然ですが、音も手ごたえもありません。ギアにくさびを入れるPレンジと、後輪にブレーキを掛けるパーキングブレーキは全く目的も動作も別のものなのですが、ドライバーが行うのは、どちらも「P」のボタンを押すことなのです。さらに、別車種ではありますが、上記の2つとは違う「P」ボタンも存在します。パーキングのオートホールド機能です。これには別の問題もあるため後述しますが、混同させる元となりうる点では同じです。おまけに、従来からもあった、どの場所にパーキングブレーキのボタンがあるか分かりづらいという問題も健在です。外国車では、運転席の足元右にあったり足元左にあったり、センターコンソールにあったりとまちまちです。

パーキングブレーキボタンの例

懸念されるのは大きく2つです。まずは、上記のように単純なボタンスイッチであるがゆえに、他の機能のスイッチと混同しやすいという点です。認知機能が正常な人でも間違える可能性があるものですので、高齢者にとってはやさしいとは言えないインターフェースです。特に国産高級車と外国車を乗り分けているような方は、それぞれのボタンの配置の違いから間違えてしまう可能性が高くなるでしょう。もうひとつは、直感的ではない操作感です。従来型のパーキングブレーキでは、レバーを引くという原始的な操作であるうえ、ラチェット機構のカチカチという操作音が「ブレーキを掛けている」という手ごたえとなっていました。非常に人間の直感に近いものであるため、ブレーキを掛けた実感があり、シフト操作と間違える可能性は限りなく低いものです。そして、掛かっているのか、掛かっていないのかは一目瞭然で、同乗している子供が見ても分かります。場合によっては、車外から見てもパーキングブレーキが掛かっているかどうかが分かります。こうしたことは、人間の直感に適う部分であるため、道具として分かりやすいものだと言えます。ところが、ボタン式の電動化によって、こうした分かりやすさが損なわれるという点は留意しておくべきでしょう。


車の電動化、メリットとデメリット

 

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