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油圧式パワステから電動パワステへ

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油圧式パワステから電動パワステへ

パワーステアリングがない時代は、重いハンドルを力で回すしかないため、停止中のハンドル操作(いわゆる据え切り)は女性には困難なものでした。少しでも車が動いていればハンドルは軽くなり、タイヤと路面との摩擦の変化は、そのままハンドルを介して手に伝わってきました。油圧式のパワーステアリングが普及してからは、ハンドル操作が劇的に軽くなり、女性でも据え切りが簡単にできるようになりました。これによって、車庫入れがより簡単になり、何度も切り返すような場面でも大幅に負担が減るようになりました。さらに時代が進んで、パワーステアリングは油圧ではなく電動によるパワステ(EPS)になり、ハンドルはどこまでも軽く動かせるようになりました。またこれによって、タイヤを介して路面から伝わってくる情報が大幅に減りました

いわゆるロードノイズと言われるような、路面から伝わってくる嫌な振動や音が減るだけなら良いのですが、タイヤから伝わる路面情報には、重要なものが紛れています。路面が荒れているのか、滑りやすくなっているのかといった情報は、従来はハンドルとシートを通して体に伝わってきていましたが、現在はシートを通して体に感じる揺れや音で汲み取るしかありません。こうした路面の情報というのは、ハンドルで受け取る方が理に適っていて、ハンドルに返ってきた力をもとに、軌道修正するときはそのままハンドルを動かせばよい訳です。これは、レースゲームを、フォースフィードバック(路面の力を再現する機能付き)ハンドル・コントローラーと、通常のジョイスティック型のコントローラーの両方でプレイした経験がある方はすぐ分かるはずです。ハンドルに路面情報が伝わってきた方が直感的であり、非常に運転しやすいため、危険回避操作もしやすいのです。

電動パワステは、その軽さによる運転のしやすさと、自動運転を見据えた情報の入出力のしやすさを目論んで、一気に普及が進んでいます。しかし、上記に挙げたように、人間の直感から遠ざかっているのは確かであり、車の重さやタイヤと路面の摩擦を直感的に感じにくくなっています。そして、それによってドライバーが、運転を上達させようという機運を奪っているという点は見逃せません。自動車がコモディティ化、白物家電化していると指摘されることが多くなっていますが、安易な電動パワステや、アクセル・バイワイヤといった、人間が操作する楽しみを無視するような開発によって、メーカーが自分自身を苦しめているという側面を見直してみる必要があるのではないでしょうか。

 

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