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「自動ブレーキ」は存在しない

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自動ブレーキの勘違い

装着が進んでいる先進装備のひとつである、「衝突被害軽減ブレーキ」についての勘違いが広まっているようです。文字通り、衝突被害を軽くする機能であるにも関わらず、自動ブレーキという呼称が広まってしまったがために、事故を起こさずに未然に停止できる機能だという、誤った認識が広まってしまったようです。さらに、近年では各自動車メーカーが自動運転の開発を積極的にPRするあまり、現段階ではとりあえず「ぶつからない車」というレベルまでは到達している、との勘違いを生んでいるのかも知れません。そこで、次の記事のように、国交省が対策に乗り出しました。




国土交通省は、自動ブレーキの機能を過信して事故が発生するのを防ぐため、衝突被害軽減ブレーキでも衝突を回避できない場合があることを理解してもらうための啓発ビデオをウェブサイトに公開した。

衝突被害軽減ブレーキの普及が進んでいるが、装置が正常に作動していても、滑りやすい濡れた路面など、走行時の周囲の環境によっては障害物を正しく認識できないことや、衝突を回避できないケースがあり、実際に衝突被害軽減ブレーキを過信したことによる衝突事故も発生している。

これを受けて国土交通省では、衝突被害軽減ブレーキにより衝突回避が難しい状況で、不動作状況時の車両挙動を実車の走行試験で確認し、衝突被害軽減ブレーキの使用上の注意点を解説した啓発ビデオをウェブサイトに公開した。

国土交通省では「衝突被害軽減ブレーキは完全に事故を防ぐことができない」ことや、「運転者はシステムを決して過信せず細心の注意をはらって運転する」よう呼びかける。さらに、衝突被害軽減ブレーキの作動する条件は、自動車の取扱説明書に記載しており、車種ごとに異なる作動条件を把握することも訴求していく。

https://s.response.jp/article/2018/04/23/308858.html?from=tptr



上記サイト上のビデオでも明らかなとおり、センサーによる自動ブレーキには限界があります。確かに、衝突被害軽減ブレーキを搭載している車は、衝突する前に停止できるようにセッティングはされています。しかし、各センサーは専門分野以外は感知しないため、想定外が起これば衝突は免れません。自動車メーカーが初期設定した通りのタイミングで、設定通りの強さでブレーキを掛けたとしても、路面の傾斜、滑りやすさ、雨や雪の有無、タイヤの摩耗度や空気圧などといった要素は、感知されていないケースがほとんどです。つまり、いくら高度な電子制御でブレーキを掛けても、タイヤのメンテナンスを怠っていれば、こうした機能もむなしく、衝突事故を起こしてしてしまう訳です。

これは将来、普及が見込まれる自動運転車でも同様で、メンテナンスを怠ると、事故に直結する危険性があります。タイヤのメンテナンスはもちろん、駆動系や足回りなどの、操舵・駆動に関わる部分のメンテナンスを怠ると、自動車メーカーが想定した通りには車が動いてくれません。むしろメンテナンス面では現状よりも厳しくなるはずであり、タイヤの銘柄やホイールのサイズ変更なども、ディーラー以外では難しくなる可能性もありますし、カーナビや電飾などのカスタマイズもユーザー側で手軽には出来なくなる可能性もあります。電装系に関わる部分と、操舵・駆動に関わる部分が新車当時から変更されてしまうと、事故リスクが増えてしまうため、自動車メーカーは慎重にならざるを得ないからです。

こうした側面があることを承知したうえで、先進装備を享受することが必要であり、さもなければ、想定外の事故に巻き込まれてしまう恐れがあります。システム側で安全性を高めれば高めるほど、それを扱う人間側のリスク管理意識が低下してしまう、という米国の研究結果もあります。これらの先進装備が「できないこと」を正確に把握しておくことが、とても大切だということです。自動車メーカーは、「できること」のPRに比べると、こうした「できないことの」情報を積極的には知らせない傾向がありますので、ユーザー側が情報に敏感になる必要があります。

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