トップページへ

自動運転車の開発競争は失速

車の運転のコツ » 09運転ブログ » 自動運転車の開発競争は失速

自動運転開発で「低速」のトヨタ、テスラ事故後は競合も失速

自動運転車の開発競争には黄色信号が灯っています。当サイトでも再三示してきた懸念が現実化してきてしまいました。

●焦点:自動運転開発で「低速」のトヨタ、テスラ事故後は競合も失速

[東京 28日 ロイター] - トヨタ自動車<7203.T>は来年、高級車ブランド「レクサス」初の電気自動車(EV)を発売する。高速道路で自動運転できる「レベル2」以上の技術を搭載する計画だ。自動運転車の商品化では競合他社に後れをとってきたかにみえたトヨタは着実に歩を進めているが、一方でその技術の複雑さは、先行する日産自動車<7201.T>などで開発目標時期の後ずれを余儀なくさせている。

<レベル4には「少し時間かかる」>

「来年、高速道路の入口から出口、合流も含めて『レベル2』以上の自動運転ができる商品を出す」――。トヨタの友山茂樹副社長は23日、記者団にこう述べた。レクサスEVの発売に加え、夏には、東京都内の公道で人の操作が不要な自動運転技術「レベル4」搭載車の試乗も一般向けに実施する。

ただ、この試乗はマイカー以外の各種交通サービスを統合するMaaS(Mobility as a service)分野を想定したデモ。友山副社長は、一般の消費者が「レベル4」の車を買えるまでには「少し時間がかかるだろう」とみている。

もっとも、競合も開発の目標時期を後ずれさせている。商品化でトップを走る米テスラのEVによる死亡事故で技術の複雑さが露呈し、事故後、多くのメーカーや各国政府が、AI(人工知能)や自動運転車に対し、より長期的な視野に立って慎重に進める姿勢に転換した。

友山副社長は、多くの車メーカーやベンチャー企業が「タイムラインを現在見直している」と指摘。トヨタとしては「もともと『レベル4』の自動運転車の商品化は時間がかかるのではと考えていた。それは戦略に織り込み済み。特に今、開発や投資のあり方、タイムラインを見直すことはない」と話した。

トヨタは2020年をめどに高速道路で、20年代前半に一般道で、それぞれ自動運転の実用化を目指して開発を進めている。21年には米ウーバー・テクノロジーズと組んで、「レベル4」の自動運転車をライドシェアサービスに導入する計画だ。

<日産「20年までに一般道で」の目標断念>

自動運転は0から5までのレベルに分けられる。「レベル1」(加減速どちらかを支援)と「レベル2」(加減速の両方を支援)は、システムがハンドルを操作するが「運転支援」という位置づけだ。自動運転にあたるのは「レベル3」以上で、レベル2と3の間には、事故発生時などの責任主体が人かシステムかという違いがある。

「レベル3」は特定の環境下ではシステムがすべて操作するが、緊急時には人が操作するという条件付き自動化。「レベル4」は緊急時もシステムが対応する高度な運転自動化となる。「レベル5」は場所を問わずシステムがすべて操作する完全自動運転だ。

日産自動車は、自動駐車や高速道路での手放し運転が可能な「レベル2」以上の車を発売済み。ただ、20年までに一般道で自動運転できる車を発売するという当初の目標の実現は断念した。より高度な「レベル3」の開発には、少なくとも20年代後半までかかる――。同社の総合研究所で先端技術開発担当のエキスパートリーダー、上田哲郎氏は今月、記者団にこう話した。

米ゼネラル・モーターズの自動運転部門クルーズも今年初め、車両試験がさらに必要になったとして、今年を目標にしていた商用車への展開を遅らせると発表した。情報筋によると、物体が動いているかどうかを車が認識することが困難といった課題があるという。

トヨタグループのサプライヤー最大手デンソー<6902.T>も、理想の自動運転の実用化にはまだ数年かかるとみている。

自動運転技術の開発拠点「グローバル・R&D・トーキョー」を総括する執行職の隈部肇氏は「一般道で普通に運転されている車と混在するような環境(に対応させること)が難しい」と指摘、「周りは予期しない動きをする。ドライバーも予期しないカットインをされると対応に遅れが生じたりする。不確実な要素が多い」と語る。

日本では今年5月、一定条件下での「レベル3」実用化に向けた法整備は完了したが、「法規制がクリアできればすぐに自動運転車を出せるという技術レベルには、まだ来ていない」(隈部氏)。日本が準拠している国際ルールでも、レベル3はまだ認められていない。

<シンガポールも自動運転車の受け入れ急がず>

慎重姿勢なのはメーカーだけではない。自動運転車の実用化を後押ししてきたシンガポール政府も同様だ。同国のコー・ブンワン運輸相は先週、「最初の自動運転車受け入れ国になろうと急いでいるわけではない」と述べ、「自動運転車の技術の大規模な採用を楽しみにはしているが、近い将来そうなるとは思っていない」と語った。

運輸相のこうした見解は、シンガポールを一流のインフラを持つ無人自動運転車の実証地域と評価していた業界の専門家らを驚かせた。豪メルボルンのスウィンバーン大学フセイン・ディア教授(未来の都市型モビリティ専攻)は「シンガポールがそう言うのなら、他の政府も追随するだろう」と話した。

テスラのイーロン・マスク氏最高経営責任者(CEO)は先週、年末までに「完全に機能する完全自動運転」を可能にするソフトウエアをリリースできると投資家に語った。ただ、車は依然、人に「監督」される必要があるとも指摘。来年末までに、テスラが「(人が)注意を払う必要がないほど十分に信頼できる」自動運転ソフトをリリースすることに期待を示しつつも、「管轄によって、規制当局の受け入れ姿勢は異なる」とも付け加えた。

(取材協力:田実直美、白水紀彦、Aradhana Aravindan and John Geddie in Singapore 編集:平田紀之、田中志保)

引用元;ロイター 2019年10月28日 10:29

 

 

当サイトで度々指摘している通り、自動運転の課題は、自然界を完全に制御する際の課題とほぼ同じです。

自然界は、複雑系でありカオスでありフラクタルであるとされています。「予想外」のことを完全にゼロにすることはできないということです。これは、精度100%の天気予報が無理であることや、言語間の完全な自動翻訳が無理であることと、根本的な原因は同じです。しかし、自動運転車が、これらと全く違う点は「予想外の事態が即、人命に関わる」という点です。つまり、事故を減らす可能性はあるものの、事故をゼロにする可能性は乏しいという点です。事故をゼロにする可能性があるとしたら、天気予報や自動翻訳が精度100%になる時期と同じ頃でしょう。つまり、人間のドライバーでも、自動運転車でも、事故を完全にゼロにはできない訳です。

人間のドライバーよりも事故率が低下すればそれでいい、とする識者もいます。しかし、完全に無人の機械に轢かれるのと、人間のドライバーの過失によって轢かれるのでは、客観的には同じかも知れませんが、主観的には明確に違います。人間相手には類推によって同情や理解することも起こり得ますが、機械相手には起こり得ないでしょう。これが根底にある限り、有事の際は法律的に紛糾することは避けられないはずです。

こうしたことから、自動運転車を普及させること延期する、様子をみるといった態度の地域は賢明な判断をしていると言えるのかも知れません。特に、飛行機の自動パイロットと異なり、自動車は運転車の数も膨大で訓練レベルの敷居も低いものです。つまり、機械の側で多くをカバーしなければいけないということです。IT業界からのプレッシャーからか、近年の自動運転志向は性急に過ぎる印象があります。もっと冷静に考えるべき時期に来ているのではないでしょうか。

 

このページ『自動運転車の開発競争は失速』をメールで送る

« 前の記事へ

次の記事へ »

トップページへ