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【自動運転車の課題】一般道で解決しなければいけないこと

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自動運転車が、本当の意味で人間のドライバーに取って代わるようになるために必須なのが、一般道路での運用です。ロボタクシーのようなことも、無人配送トラックのようなことも、一般道で他の人間の交通が行き交う中でうまく通行することができなければ、実現することはできません。しかし、一般道ではメーカーが想定していないようなことが起こり得ます。想定していないことだからこそ、人間のドライバーであっても事故につながってしまう、と言うこともできます。

その、まさに想定外と思わざるを得ない事故が日本国内で起き、話題になりました。

<ニュースより引用> 23日午後1時ごろ、東京都世田谷区中町の交差点で、5歳の男児がワゴン車にはねられ、搬送先の病院で死亡した。警視庁玉川署によると、男児は交差点付近でスケートボードに腹ばいで乗って滑るなどして遊んでいたとみられる。

玉川署は同日、車を運転していた自営業の男(47)を自動車運転処罰法違反(過失致傷)の疑いで現行犯逮捕した。

同署によると男児は事故当時、祖母と一緒だった。ワゴン車に7メートルほど引きずられたとみられ、救急隊が駆けつけたときにはワゴン車の下敷きになった状態だった。同署は詳しい事故の経緯を調べている。

現場は東急田園都市線用賀駅から南東に約900メートルの住宅街。

引用元;日経新聞

自動運転車の課題
事故の概要はこうです。
事故を起こしたワゴン車の運転手からみると、
・一時停止して高齢女性を先に渡らせた
・次に来た自転車が待って譲ってくれたので発進した
・発進と同時に自転車の脇から腹ばいのスケボーが突っ込んできた

この事故は、公道での走行が禁止されているスケートボードを、四歳の男の子が腹這いで車の前を横切るという、まさに想定外の出来事が引き起こしました。背の高いワゴン車の運転席からは死角になっていた可能性が高く、また直前に歩行者や停止して待ってくれた自転車などがいて、心理的にも負担の掛かる場面であったことは想像されます。

この状況がもし、自動運転の車であったならば、センサーや画像解析などのシステムがうまく機能すれば、道路上に向かってくる正体不明の障害物として、停止し続けるかも知れません。しかし、スケートボードに腹這いになった人間だと瞬時に認識することはほぼ不可能でしょう。これは、米国のUberによる実証実験中に起きた死亡事故においても、自転車を押して歩く被害者女性を人間だと認識できなかったことからも、リアルタイムの画像処理とAIによる認識には難があることが分かります。今後精度が上がっていくと考える方もいるかも知れませんが、かなり難しいでしょう。車速が上がるれば上がるほど、処理の精度と速度が同時に求められ、冷却面や消費電力の面で限界値がすぐにきてしまうからです。これを解決するには、走行速度を非常に遅くするしかありません。

この画像認識による「物体が何なのか」という問題は、非常に大きな難題として後々まで残りそうです。例えば、道路を横切るように近づいてくる正体不明の物体が、風で飛んできた段ボール片やトロ箱であれば、そのまま撥ね飛ばしてしまって問題ないでしょうし、高速道路では急ブレーキで止まる方がよほど高リスクになります。しかし、横切ってきた正体不明の物体が、今回の記事のようにスケートボードに乗った少年だったら、対応は真逆にする必要があります。追突されるリスクを追ってでも、フルブレーキングをしなければなりません。では、これがスケートボードだけ、つまり無人のボードが車の目の前に突如来たらどうでしょうか。人身事故の可能性は低いですが、ボードは壊れるでしょうし、自車のバンパーも無傷ではすまないでしょう。また、動物が出てきた場合も困ります。基本的には轢かないように運転するべきですが、避けがたい場合はどうでしょうか。野性動物ならば、轢いても即罪に問われることはありませんが、ペットなどの飼育動物だった場合は所有者への損害賠償責任が生じます。もし自動運転システムが、「正体不明だが動物らしい」と認識できたとしても、ペットなのか、野性動物なのか、というところまで認識してくれないと、轢く、という動作は同じでも、その結果責任は大きく異なってきてしまいます。まして、人間と動物を誤認識してしまうようなケースがあれば、米国での死亡事故と同じように致命的な事態になってしまいます。

このように責任重大な役目を果たすことになる画像処理エンジンやAIですが、問題になるのはディープラーニングでカバーしにくい「例外」でしょう。99%道路上の事象を安全運転でカバーできたとしても、1%の例外が発生すると命に直結する事故になってしまいます。1%は余りに大きな数字で、100台に1台は事故を起こしてしまう計算なので、実際にはもっとずっと小さい数字になるでしょう。しかし、その確率で命を失うというのは大きなことです。この問題は、他の分野のAIでも同様で、滅多に起きない例外分野をどうカバーするかは、難しい問題です。

頻度は非常に少ないものの、実際に道路上で起きている例にはこのようなものがあります。
・酔っ払いが深夜に道の真ん中で寝ている 
・歩道橋から荷台に自殺者が飛び降りてくる
・二人乗りバイクから道路に転落してくる
・停車、駐車中の車の下で幼児が遊んでいる

いずれも避けがたいように思われますが、接触すればドライバーに責任が問われます。ということは、自動運転においては、システムがカバーしなければならない範囲だということになります。

確かに滅多に起こらない出来事ではありますが、これらのことにも対応できなければ、無人タクシーや無人トラックが走り回るような、自動運転のユートピアはやってきません。やはり、目指す方向性を考えるべきで、マツダが宣言しているように、ドライバー中心で、人間がミスをした時に、それをリカバリーしてくれるようなテクノロジー使い方を進めていくべきではないでしょうか。

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