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実は難しいAT車

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一般にMT車の方が、AT車(※)よりも運転操作が難しいと言われています。実際、教習所でもMTコースの方がATコースよりも長い時間を掛けて技能教習が行われています。
※ここでは、CVTを除くAT車(AT、DCT、AMT)をすべてAT車と呼びます


確かに、クラッチ操作とギア操作が加わる分、MT車の方が操作する回数自体が多いのは事実です。しかし、ある程度運転に慣れた人にとって、実際に路上で車を運転させる上では、実はAT車の方が難しいのです。その理由を解説しましょう。

MT車よりもAT車の方が
難しい

AT車で難しいのは、主に加速のシーンです。加速する際のアクセル操作が、MTよりも難しいのです。そもそも、MT車、AT車に関わらず、エンジンを動力とする車は、トランスミッションを切り替えること、つまり変速することによってスムーズに加速することができます。AT車は自動で変速しますので、変速の動作そのものを意識することはあまりありません。

ポイントは、「ギアによって、アクセル操作の方法が変わる」ということです。例えば、1速と2速では、同じアクセルの踏み方でも速度の出方が違いますし、1速と5速だともっとアクセルの踏み方が異なります。基本的に低いギアほど、アクセル操作をラフに行うと、車体は挙動を乱します。一方、高いギアほど、ある程度ラフな操作でも挙動は変わりません。これらは、車種ごとにセッティングされているギア比というものによって、アクセル操作の反応が変わるためです。MT車の場合は、左手と左足を使ってギアチェンジするため、いまギアが変わる、ということを明確に意識しますので、アクセルの踏み方も自然な流れで変えるのが普通です。

ところが、AT車の場合は、変速が自動的に行われるため、自分の意図とは違うタイミングで、アクセルの応答が変わります。このため、同じアクセルの踏み具合を続けていると、ATがシフトアップした際に、ドライバーがイメージするよりも速度が高まってしまいます。つまり、ATがシフトアップしたのに合わせて、アクセルをやや戻してあげる必要がある訳です。そして、近年の車は燃費を良くするためのシフトスケジュールを採用していることが多いため、アクセルを戻すとさらにシフトアップすることがよくあります。

速度が出過ぎたと感じて、完全にアクセルを戻すと、普通は一番高いギアまでシフトアップされます。このとき、車の流れが良くなって加速していきたい場合、少しアクセルを踏んだだけでは十分に加速していきません。なぜなら一番高いギアは巡行用であるため、加速力が弱く、十分な力が出ないからです。しっかりと加速するには、アクセルペダルをもっと踏み込んで、ATがシフトダウンするようにしなければなりません。シフトダウンされれば、低いギアの力で加速していきますが、このときかなり早めにアクセルペダルを緩めないと、速度が出過ぎることになります。アクセルを強く踏み続けない限り、ATはより高いギアへとシフトアップしようとしますので、巡航速度に入ったら早めにアクセルペダルを離さないと、速度が出過ぎてブレーキを踏まなくてはいけなくなるのです。

このように、同じアクセルペダルでも、自動で変わるギアによって、操作の仕方を絶えず変えなければなりません。いわば、ATという機械に合わせて、ドライバーが操作を変えてあげる必要があるのです。もし、このことを意識することなしにAT車を操作すると、どうなるのでしょうか。まず、車間距離を一定に保った運転が難しくなります。前走車を煽るかのように詰め寄ったと思ったら、ブレーキを踏んで速度を落とす。この繰り返しになってしまいがちです。そして、高速道路のいわゆる「サグ部分」において、渋滞の原因となってしまいます。巡行用の高いギアのままで、上り坂に気付ずに走ると、キックダウンしないため徐々に速度が落ちていきます。このような走り方のAT車が何台か続くと、後続車はブレーキを踏まなくてはいけないため、自然渋滞が発生します。

こうしたことは、ATのロックアップ機構(巡行時にギアを直結する仕組み)が各ギアに搭載されることで多少緩和されますが、根本的には変わりません。アクセルペダルという1つの操作系に、「変速」と「スロットル調節」という2つの機能を割り振っているのが根本的な原因ですから、ドライバーとしては仕組みを理解して操作を最適化するほかありません。

パドルシフトを搭載したAT車や、MTと同様の機構を持つDCT、AMTといった2ペダル車であれば、変速のタイミングをドライバーが決めますので、上記の問題は発生しません。しかし、手動で変速タイミングを決めるのであれば、MTにした方が良いでしょう。MTは重量も軽くメンテナンス性も信頼性も高く、クラッチぺダルによる発進のスムーズさも上回るからです。

 

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