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ATとMTの走行モードについて考える

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ハンドル操作のイメージ
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AT車とMT車の走行モードの根本的な違い

AT車とMT車では、「走行モード」という考え方そのものが異なります。AT車では、走行モードを決めているのは基本的に自動車メーカーです。エコモード、ノーマルモード、スポーツモードなど、あらかじめ用意された2〜3種類の中から、ドライバーがボタンやシフト操作で選択します。一方、MT車では走行モードを決めるのは常にドライバー自身であり、その数に上限はありません。シフト操作とアクセル操作の組み合わせ次第で、事実上無限の走行パターンを作り出すことができます。

AT車の走行モードは「メーカーの思想」が反映される

AT車やCVT車は自動的に変速してくれますが、その変速の仕方やタイミングは一律ではありません。どの回転数でシフトアップし、どのタイミングでシフトダウンするかは、すべてメーカー側が決めたセッティングに基づいています。ドライバーが変速に対して直接出せる指示は、アクセルペダルの踏み込み量だけです。それ以外は、基本的に車任せになります。

燃費重視セッティングが生む違和感

近年のAT車は、燃費性能を重視したセッティングが主流です。できるだけ早くシフトアップし、低回転・高いギアで走るよう制御されます。これはカタログ燃費を伸ばすうえでは非常に有効ですが、山道や高速道路での追い越し加速などでは、反応の鈍さとして現れることがあります。ドライバーが「加速したい」と感じているのに、車がなかなかシフトダウンせず、結果として鈍重な印象を受ける場面です。

走行モード追加という対処療法

こうした不満を和らげるために、AT車には複数の走行モードが用意されるようになりました。エコモードでは燃費重視、通常モードではバランス重視、スポーツモードでは高回転を維持して加速重視、といった具合に、シフトアップやシフトダウンのタイミングを切り替えます。さらに近年では、パドルシフトによってドライバーが疑似的にギアを選択できる車種も増えています。

CVTやスノーモードの考え方

CVT車には物理的なギアはありませんが、エンジン回転数を制御することで、擬似的にギアがあるかのような挙動を作っています。また、スノーモードのように、変速タイミングではなく「1速を使わない」といった制御を行うモードも存在します。これは雪道での空転を防ぐため、あらかじめ2速で発進するための仕組みです。

MT車に走行モードが存在しない理由

MT車にエコモードやスポーツモードといった名称の走行モードが存在しないのは、ドライバー自身が常に走行モードを選び続けているからです。発進時は高めの回転でトルクを使い、巡航時は早めにシフトアップして燃費重視にする、といった切り替えを、ボタン操作なしで瞬時に行うことができます。

走行品質を選べるというMT車の価値

MT車の最大の特徴は、燃費重視の穏やかな走りにも、キビキビとした加速を重視した走りにも、いつでも自由に合わせられる点にあります。しかもその切り替えは段階的ではなく、連続的です。「少しだけ元気よく走る」「今日は燃費を最優先にする」といった微妙な調整が、すべてシフト操作とアクセル操作で実現できます。この自由度こそが、MT車の走行品質の高さだと言えるでしょう。

新技術とMT車は対立しない

近年は、新しい技術イコール2ペダル車という文脈で語られることが多く、MT車は古い技術のように扱われがちです。しかし実際には、MT車は走行品質をドライバー自身が設計できるという、非常に完成度の高い仕組みを持っています。技術が進化してもなお、運転という行為を深く理解し、自分で車の性格を作り上げたい人にとって、MT車は今でも有効で魅力的な選択肢であり続けています。

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