マニュアル操作ならではの感覚とは

自分の操作で音が変わるのはMT車だからこそ、ですよね
車は私にとって、楽器のようなものです。マニュアルシフトというものを手で操っていくことで、エンジンの音程がどんどん変わっていきます。
私が愛車にインプレッサを選んだ一番の理由は、音が良いからです。ボクサーサウンドと呼ばれる、2つの音が混じりあって、エンジン排気が、排気管の中で干渉している音がすごく好きなんです。私にとっては、マニュアル車でなければダメな理由は、明らかです。マニュアル車は、このマニュアルシフトを使って鍵盤を弾くようなものなのですが、自分の手の操作でエンジンを共鳴させて鳴らすことができるのが一番の魅力だと思います。その鍵盤を叩く役割をするのが、シフト操作です。
ATのような”全自動”にも良さはあるけれど
もしシフトがなくて、「鍵盤を叩かなくても、全自動で音楽が弾けますよ」という楽器を紹介されても、私はあまり魅力を感じません。ある曲の演奏ボタンを一度押せば、音楽が自動的に再現されるような楽器は、実際にたくさんあります。でも私は、例えば「3曲収録していますよ」と言われても、やはり自分で弾くことができる部分に惹かれます。
「車は楽器とはぜんぜん違う」と言われるかも知れませんが、私にとってはマニュアル車を運転することで、楽器の演奏と似たような楽しい気分になることができます。
エンジン音と言っても、いろんな音を奏でるんです。搭載するエンジンは確かに1つだけですが、回転数と選択しているギアによって、違う音色を楽しむことができます。高い回転まで回せば「グワァァン」と盛り上がるよう音になりますし、低い回転で引っ張れば、「ボボボボッ」と籠もるような低音になります。さらに、ギアを変える度に、音調が変わります。
エンジン音と排気音が自分の操作に連動します
これが、もしAT車で全部自動だということであれば、自分で音域が選べないということになります。音楽をやる人にとっては、自分の思い通りの音域を弾けないというのは、すごくストレスのあることだと思います。AT車を運転する時、それと似た感覚を覚えます。ATが変速するのは、基本的に自分のタイミングではありません。

またマニュアル車では、クラッチをつないだ時の音がAT車とは違います。歯切れ良く「プァーン」とスタッカートのような音で、エンジンがつながっていき、これがまた「自分が操っている」という快感の元でもあります。
感覚的な内容で恐縮ですが、同じように感じているマニュアル車派の人は多いと思います。これから教習に当たる方は、少なくともマニュアル車を知らずに判断するのではなく、マニュアル車もAT車も、両方知った上で、どちらが自分に合うかを判断して欲しいと思います。