学科試験対策メールセミナーより
学科試験の例題を元に、詳しく解説したメールマガジンをShift-UP Clubから提供しています。その中から一部をご紹介します。 ○か×かで答える問題です。
クラッチを切って、惰力で曲がる?
それでは今回も、学科試験に出る「ひっかけ問題」を見ていきましょう。次の文章が、正しいものであるかどうか。○か×かで答えてください。
よく「カーブや右左折で、クラッチを切ったまま曲がるのは良いのでしょうか?」というご質問を受けることがあります。 これは、上記のように学科試験の問題でも出てきますので、答えは明らかなのですが、クラッチを切ったまま曲がりたいという気持ちもよく分かります。
つまり、「エンストしてしまうんじゃないか」という恐怖からくる操作です。確かに、クラッチペダルをずっと踏んでいれば、その間はエンストしません。
これに対する明確な回答はMT車攻略マニュアルで解説していますが、以下に本学科試験の解説として少し触れておきたいと思います。
MT車の基本的な仕組みと構造を理解しましょう
クラッチを切ると、惰力が遠心力に作用して危険です。したがって答えは×になります。
マニュアル車でのカーブ通行に関する問題でした。オートマ車ではギアチェンジを全て機械が行いますが、マニュアル車ではシフトレバーを手動で動かして行います。さらにマニュアル車には、ギアチェンジをスムーズに行うためにクラッチペダルが付いています。(AT車では「ブレーキ」「アクセル」の2ペダルですが、MT車は「クラッチ」「ブレーキ」「アクセル」の3ペダル。クラッチペダルのみ左足で操作します)
クラッチペダルが無くてもエンジン回転が合っていればギアチェンジすることは可能ですが、普通のドライバーにとって非常に難しいので、ギアチェンジがしやすいように一旦エンジン回転から、シフトレバー側の歯車を切り離すために、クラッチペダルが存在します。クラッチペダルを踏むと、クラッチという円盤状のパーツがくっついたり離れたりして、エンジンの回転をタイヤ側に伝えたり切り離したりする訳です。これによってギアチェンジに必要な回転合わせがやりやすくなっています。
このように、マニュアル車でクラッチペダルを踏むと、エンジンの動力(回転)が切り離されてしまい、タイヤに伝わっていない状態になります。そのため、いつまでもクラッチペダルを踏んだままでいると、車は惰性で動くことになります。平地や上り坂だと徐々に速度が落ちてそのうち止まりますし、下り坂だとどんどん加速していってしまいます(自転車で下り坂を降りるときと同様の状態)。
クラッチペダルを踏んだままではアクセルペダルで加速も減速もできない
この惰性の状態のままカーブを曲がろうとすると、当然ながら、アクセル操作をしても全く動きに反映されません。ブレーキは効きますが、エンジンブレーキが効いていないため、普段より強めに踏まないと思うようには減速しません。引用した解説部分には「クラッチを切ると、惰力が遠心力に作用して危険である。 」とありますが、要するに、アクセルもブレーキも普段通りには効かないので危険だということです。
ギアチェンジをしたら速やかにクラッチはつないで(クラッチペダルから足を離して)走れば、エンジンブレーキも十分に効きますし、アクセルペダルで速度調節することも容易です。ですから、カーブや右左折のような状況でも、ギアチェンジ後は恐れずにクラッチペダルをつないでから、ハンドル操作や速度調節、後方確認に集中するようにしましょう。
どうしてもエンストが気になる方は、MT車攻略マニュアルで理解を深めておきましょう。エンストしてしまう状況と、絶対にエンストしない状況との違いが明確に分かります。