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エンジンブレーキとは?

AT車のシフトレバーイメージAT車とMT車
AT車のシフトレバーイメージ
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エンジンなのにブレーキって?

車を減速させるためには普通フットブレーキ(以下ブレーキ)を使いますが、エンジンブレーキとは、その名の通り「エンジンを利用したブレーキ」なのです。

車が加速するときはアクセルを踏み込むことによって、エンジン回転を高めて、このエンジン回転の加速がタイヤの回転の加速につながってスピードが出ていきます。

つまり、こういうことです

車が加速するとき
  • アクセルを踏み込む
  • エンジンが高回転になる
  • タイヤが高回転に
  • 車が加速する

この反対の動作がエンジンブレーキです

車が減速するとき(エンジンブレーキ)
  • アクセルを緩める
  • 2
    エンジンが低回転になる
  • タイヤが低回転に
  • 車が減速する

つまり何のことはない、「アクセルを緩めると、車は減速する」という現象のことを「エンジンブレーキ」と呼んでいる訳です。

それ用のペダルがあるの?

上記で解説したように、「アクセルを緩める」という動作で減速させるだけですから、「それ用」のペダルはありません。あくまでアクセルの動かし方の話です。

エンジンブレーキはいつ使うの?

アクセルを緩めて車を減速させることですから、いつ使っても問題ありません。例えば、アクセルペダルから足を離して、どのペダルも踏まない状態でいると、加速することはなく徐々に車は減速していきます。これがエンジンブレーキを利かせている状態です。

前方の信号が黄色から赤に変わりそうなときや、車間距離が詰まってきてしまって、少しスペースを空けたいときなどは最適でしょう。また、急な山道の下り坂などでは、エンジンブレーキを活用するよう推奨されることがあります。

「エンジンブレーキを活用」って何するの?

長く急な下り坂などでは、「エンジンブレーキ活用」などの注意書きが見られます。これは、フットブレーキだけを長々と踏んでいると、しょっちゅうフットブレーキを踏み酷使することになってしまい、最悪の場合ベーパーロック現象などでブレーキが異常加熱による変調を起こしかねません。

ブレーキが利かないというのは非常に危険な状態ですから、これを避けるためにフットブレーキの仕事を少し分散してあげようというのが「エンジンブレーキ活用」の注意書きの意図です。

後述するように、低いギアほどエンジンブレーキが強く利きますから、シフトダウンをしてからエンジンブレーキ(アクセルを緩める操作)を使うのが一般的です。

ギアを下げることじゃないの?

エンジンブレーキは、ギアを下げることではありません。よく勘違いされますが、エンジンの回転を今よりも下げること(=アクセルを緩めること)がエンジンブレーキです。

エンジンブレーキは、ギア比によって掛かり具合が異なります。低いギアほどエンジンブレーキはよく利き、高いギアだとさほど強いブレーキは掛かりません。

ギアごとのエンジンブレーキの利き具合
  • 1速
    非常に強いエンジンブレーキが掛かる
  • 2速
    強いエンジンブレーキが掛かる
  • 3速
    普通のエンジンブレーキが掛かる
  • 4速
    弱いエンジンブレーキが掛かる
  • 5速
    非常に弱いエンジンブレーキが掛かる

適切なギアを選択した上で、アクセルペダルを緩めるのが「エンジンブレーキ」

1速ギアというのは、一番大きな円盤状のギアの組み合わせですので、少しアクセルペダルを緩めれば大きなブレーキが掛かります。反対にペダルを少し踏めば強く加速していきます。

各ギアの力と速度の相関イメージ
各ギアの力と速度の相関イメージ

対照的に5速ギアというのは、一番小さな円盤で、アクセルペダルを強く踏み込んでも加速がにぶいのと同様に、アクセルペダルから足を離してもさほどエンジンブレーキは掛かりません。つまり5速ギアというのは一定速度で走行する「巡航用」なのです。

このことを勘違いして「エンジンブレーキって、ギアを下げることでしょ?」という方がいますが、そうではないということです。適切なギアを選択した上で、アクセルペダルを緩めるのが「エンジンブレーキ」だということです。

また、下り坂などでAT車のセレクトレバーをDから2に変え(シフトダウン)、その際の「ガクン」という衝撃を伴った減速を「エンジンブレーキ」だと思っている方がいます。しかし、これも勘違いです。これはシフトダウンに伴う「シフトショック」であり、シフトダウン自体はエンジンブレーキとは関係ありません。

MT車の方がエンジンブレーキが利くって何で?

AT車とMT車の違いは、単純に言えば変速機(英語でトランスミッション)の違いです。AT車は自動で変速する訳ですが、構造そのものが違うのです。簡単に言えば、このような違いがあります。

  • MT車:機械式
  • AT車:液体式

つまり、MT車は直接的にギアの噛み合わせを手で変えるのに対して、AT車は液体を介してギアの噛み合わせを変えるというイメージです。

正確に言えばMT車でもペダル機構に油圧を使っていますし、AT車と言ってもMT車に近い構造を持つトランスミッションもありますので一慨には言えませんが、大筋では上記の分類ができます。

この直接の機械式(MT車)と、液体式(AT車)との違いのうち、ドライバーが一番体感しやすいのが「ダイレクト感」です。

MT車はギアを直接手で変更した後、クラッチペダルをつなげば、即その変速後のギアで走り出します。しかしAT車では、液体が絡んでいますので、例えばセレクトレバーを2(セカンド)に動かしたとしてワンテンポ遅れます。

AT車よりも、MT車のほうがよくエンジンブレーキが利く

このダイレクト感の違いは、ギアを変更したときだけでなく、アクセルペダルを踏んだり緩めたりする時にも感じられます。

MT車ではペダルを少し踏み込めば、踏み込んだ量に応じてすぐに速度がついてきますが、AT車ではワンテンポ遅れ気味になります。同様に、アクセルを少し緩めると、MT車ではすぐスピードが落ちますが、AT車ではさほど速度が変わりません。(AT車だと前走車に合わせて頻繁にブレーキペダルを踏まなくてはいけないのは、このためです)

このような訳で、AT車よりも、MT車のほうがよくエンジンブレーキが利くということが言えます。

それぞれのブレーキの違いは?

  • フットブレーキ
  • サイドブレーキ
  • エンジンブレーキ

フットブレーキとサイドブレーキは、それぞれペダルやレバーなどの専用の操作器があります。しかし、エンジンブレーキというのは、アクセルを緩めた時に減速する動作のことですので、専用の操作器はありません。

また、それぞれのブレーキは、構造的には下記のような違いがあります。

フットブレーキ

四輪すべてのタイヤを止めようとします。タイヤの内側にあるブレーキパッドが、タイヤと一緒に回転している鉄の円盤(ブレーキローター)を挟み込むことで止めようとします。構造的には自転車のブレーキをイメージすると良いでしょう。

サイドブレーキ(パーキングブレーキ)

後輪の2輪だけを止めようとします。従って、フットブレーキよりも弱いブレーキしか掛かりません。掛けるときはいっぱいまでレバーを引いてブレーキを掛ける必要があります。

エンジンブレーキ

駆動輪のタイヤのみが止まろうとします。例えばFF車ならば前輪の2輪だけにブレーキが掛かります(エンジン自体の回転減によるブレーキであるため)。四輪駆動車の場合は四輪すべてにブレーキが掛かります。


以上、エンジンブレーキに関しての解説をしていきました。Shift-UP Clubでは、あらゆる手段でMT車での免許取得を応援しています。マニュアル教材、映像教材、実車練習会、勉強会などで、無理なくMT車をマスターできる手段を提供します。何かお困り事があれば、いつでもご連絡下さい。

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