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若者にも多かった!アクセルとブレーキ「ペダル踏み間違い」事故、防止策は

教習で履く靴のイメージAT車とMT車
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EVが増えるにしたがって、踏み間違い事故がさらに増えていくことが予想される

アクセルとブレーキの踏み間違い事故が相変わらず多く発生しています。そして、残念ながら今後も増加していくことが予想されます。それは、高齢者ドライバーが増えるから、というだけではありません。EVが増えるから、というのが大きな理由です。

EV(特にバッテリーのみで走行するBEV)は、世界中で徐々にではありますが増加しています。事故防止の面から見た場合、EVとガソリン車の一番の違いは「音」にあります。ガソリン車の場合、アクセルを大きく踏み込むと、それに連動してエンジン音や排気音といった音が大きく聞こえます。つまり、速い速度を出すと、それに応じて大きな音が周囲に聞こえるということです。これは非常に人間の直感に沿ったものです。危ない状態のものほど、大きな音が出る。

一方で、EVは、どれだけアクセルを踏み込んでも、ほとんど音が鳴りません。これは仕組み的にモーター駆動が基本となるEVでは、ガソリンエンジンのように大きな駆動音や排気音が発生しないからです。初期のころは、静音性=高級感のような、短絡的な売り文句が散見しましたが、現状では異なります。1トンを超える危険な鉄の塊である車が迫っているのに、その危険性に見合った音がしないのです。周囲に危険性を知らせる機能がないのです。もちろん、速度に応じて電子音を周囲に聞かせるような仕組みもありますが、ガソリン車に比べると十分とはいえません。そして、最も大きな問題点は、ドライバーに間違いを知らせる機能が無いという点です。つまり、ブレーキだと思って踏んだペダルが、実はアクセルだった場合、ガソリン車の場合はすぐに気が付きます。けたたましいエンジンの唸り音が鳴り響きますから、ドライバーはもちろん、周囲の人だって振り返るでしょう。ところが、EVだと、そうではありません。踏み間違えても、非常に静かな音が鳴るだけです。聴力の衰えた高齢者であれば、ブレーキも、アクセルも、音の面ではまったく同じフィーリングでしょう。

このようなことから、EVが増えるにしたがって、踏み間違い事故がさらに増えていくことが予想されています。これは、HEV、つまりハイブリッドが普及していく過程で踏み間違い事故が社会問題化してきたことからも分かります。特にやり玉に挙げられがちなプリウスも、問題視されているフリックシフトと相まって、アクセル音が分かりにくい(EVモード時)ことも一因としてあるでしょう。

こうした、踏み間違い事故全盛期において、どのように防止していくかということを考えていく必要があります。下記に記事を引用してご紹介します。

実は若者にも多かった!アクセルとブレーキ「ペダル踏み間違い」事故、防止策は

ブレーキとアクセルのペダル踏み間違いによって起こる事故。ニュースなどで報道される機会も増えていて、他人事ではないと感じているドライバーの方も少なくないでしょう。なお、高齢者に特徴的な事故と思われがちですが、若年層による件数も多くなっています。

2018~2020年に起こった踏み間違い事故は9,738件(交通事故総合分析センター調べ)。75歳以上と24歳以下での発生件数は以下の通りです。

・75歳以上…2,080件
・24歳以下…1,613件

なお、45~54歳の発生件数は962件でした。24歳以下は免許を取ったばかりの人も多くいます。踏み間違いは運転の経験や頻度が少ない人でも注意が必要です。

踏み間違い事故が起こりやすいシーン
ペダルの踏み間違い事故が多いのは「道路以外の場所」。具体的には以下のような場所で起こっています。

・店舗などの駐車場
・サービスエリアやパーキングエリア

また状況としては「発進時」が最も多いです。つまり、踏み間違い事故の多くはスピードが出ている時でなく、一見運転に余裕がありそうな低速走行時に起こっています。

踏み間違いの原因
踏み間違いの原因には、主に以下の3点が挙げられます。

・足元への注意の欠如
・後方確認などによる姿勢の変化
・パニックによる踏み間違い

駐車場やサービスエリアは人通りも多く、アクセルとブレーキを踏みかえる機会も多くなります。その結果、足元への注意が欠けて事故が起こりやすいのです。

また後方確認の時など、姿勢を変えた時に「うっかり足元の位置がズレてしまった」というのも事故の原因になりやすいです。

またペダルを踏み間違えた時など、誤操作にパニックを起こし、さらにアクセルを踏み込んでしまうケースもよくあります。この場合は店舗に大きく突っ込むなど、事故の規模も大きくなりがちです。

▽AT車はMT車より踏み間違いが多い

AT(オートマチック)車とMT(マニュアル)車だと、AT車の方が踏み間違いが起こりやすいと言われています。それには以下のような理由があります。

・AT車は片足のみで操作(MT車は左足でクラッチペダルも操作)
・AT車のクリープ現象に驚き、パニックになりやすい

MT車の場合、たとえ右足でアクセルペダルを踏んでいても、左足でクラッチペダルを踏めば急加速を避けることができます。

また「クリープ現象」とは、シフトレバーが「P」や「N」以外にあると、アクセルペダルを踏んでいなくてもクルマが動いてしまうというAT車ならではの現象。「クルマは動かないだろう」と思い込んでいる時だと、このクリープ現象にパニックを起こしてしまうケースも多いです。

踏み間違いを防ぐ対策
ペダルの踏み間違いを防止するためには、以下のような対策があります。

▽対策① 正しい姿勢での運転

踏み間違いの最大の原因は「足の位置のズレ」。位置がズレると「ブレーキだと思ってアクセルを踏んでしまった」といったことが起こりやすいので、常に正しい姿勢をキープするのが重要です。

バランスを崩した状態で運転すると、両方のペダルを踏んでしまう可能性があり、これも事故に繋がります。またシートの下げすぎも、かかとが床につかなくなり、操作が不安定になるので危険です。

▽対策② 急発進等抑制装置付きのクルマの購入

「急発進等抑制装置」は、ペダルの踏み間違い事故を防ぐための装置です。急にアクセルを踏み込んだと判断すると、自動でアクセルを無効化したり抑制したりしてくれます。

「誤発進抑制装置」とも呼ばれ、現在は多くの新車に装備されています。

▽急発進等抑制装置は後付けも可能

最近では、後付けできる急発進等抑制装置も多く販売されています。「まだクルマの買い替え予定はないけど踏み間違いが心配」という人はこうした後付けの装置を検討してみるのも良いでしょう。

大手自動車メーカーも、以下のような名称で急発進等抑制装置を販売しています。

   ◇   ◇

【トヨタ】
踏み間違い加速抑制システム/踏み間違い加速抑制システム2
【ホンダ】
踏み間違い加速抑制システム
【三菱】
ペダル踏み間違い加速抑制アシスト
【日産】
後付け踏み間違い加速抑制アシスト
【マツダ】
ペダル踏み間違い加速抑制装置
【スバル】
ペダル踏み間違い時加速抑制装置/ペダル踏み間違い加速抑制アシスト踏み間違い時加速抑制装置「つくつく防止」
【ダイハツ】
ペダル踏み間違い加速抑制アシスト踏み間違い時加速抑制装置「つくつく防止」
【スズキ】
ふみまちがい時加速抑制システム

   ◇   ◇

自動車メーカーだけでなく部品用品メーカーからも多く販売されています。カー用品店で取りつけを行っているところも多く、その費用は製品代と合わせて5万円前後が相場です。

まいどなニュース

暴走をほぼ防げるMT車を検討することも

記事にあるように、いわゆるサポカーに乗ること。もしくは、後付けで踏み間違い抑制装置を導入すること。こうした対策が必要になるでしょう。

さらに、MT車に乗るという、もっとも安全で確実な方法もあります。MT車はクラッチペダルという、動力をいつでも接断できる安全装置を備えています。どんなに間違えても、「いつも通りに」左足を踏み下ろせば、とりあえずは止まる、という安心があるのです。どれだけペダルを踏み間違えても、左足で踏めるペダルはクラッチペダルかブレーキペダルのどちらかです。したがって、左足を踏み下ろせば、それ以上は加速しません。しかも、いつも通り、というのがポイントです。クラッチペダルは、発進時も加速中のギアチェンジの際も、運転中はいつも踏んだり離したりしています。短距離であっても1回の運転で、100回以上は踏むことになるはずです。このように、普段から踏んでいるペダルを踏めば、動力は切断される、それ以上は加速しない、というのがポイントなのです。

これがAT車であれば、唯一の動力切断機構である「N」ポジションは、滅多に使われることがありません。一度もNに入れたことがない、という人も結構いるのではないでしょうか。Nは何のためにあるの?という声を聞くこともあります。実際のところ、AT車であれば、故障時などに牽引してもらうようなケースでしか使わないでしょう。このように馴染みのないギアポジションに、危機が迫ったそのときに咄嗟に入れることができるでしょうか?もしも、自分のミスではなく、車の故障などで、猛然と加速していって止まらなくなってしまったような状況を想像すると、この状態では何もできそうにありません。しかし、MT車ならば、とりあえずクラッチを踏めばそれ以上加速することはありません。

現状では、自動車メーカー各社はサポカー、ADASなど先進技術でこうした事故に対応しようとしています。しかし、そもそもの設計の時点で2ペダルには問題があったと思わざるを得ません。高齢者にMTのみの免許を許可するという対策があっても良いのではないでしょうか。こうすると、足腰が弱ったり、認知機能が衰えたりして、安全運転に最低限必要な身体的条件が満たない場合、MT車であればおそらく車庫から出すことすらできないのではないでしょうか。両手両足を使って、しかも発進時には微妙な調整が必要となるペダル操作が求められるため、「車庫から出せなくなったら免許を返納」という、家族間でも納得感のある説得につなげられるのではないでしょうか。

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