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MTは燃費がいい

AT車シフトノブイメージ画像 AT車とMT車
AT車シフトノブイメージ画像
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実燃費でMT車の方が燃費が良いのはなぜ?

カタログ燃費と実燃費で違いがあった理由

同じ車種・モデルであればMT車の方が燃費がいい。十数年前はこのような定説がありましたが、ここしばらくは「ATやCVT、DCTの方が燃費が良い」とされてきました。もはや、ラクさにおいても燃費においても、AT車の方が優れているという論調を生んできました。販売店のカタログでも、MTとAT(CVT)のモデルが存在する車種の場合、AT(CVT)の方が数値が良いのが普通でした。実際に運転した実感としてはMTの方が実燃費がいいにいも関わらず、です。

ところが、ここへきて様子が変わってきています。カタログに掲載する燃費の数値の算出基準が変わったのです。それに伴って、多くのAT、CVTなどの2ペダル車は燃費が悪化、MTの一部モデルは燃費が向上という結果になったのです。実際に車に変更が施された訳ではなく、変わったのは燃費の検査方式だけです。日本独自の基準から、世界標準の基準に変わったと言えます。下記の記事をご覧ください。

10月以降に発売される新型自動車から、国際的な測定方式「WLTCモード」に基づく燃費の表示がメーカーに義務付けられるのに先立ち、カタログに新方式で表示するケースが増えてきた。新方式の燃費は実際の走行に近い条件で計測するため、同じ車種でも現行方式から約3割悪化する場合もある。消費者は、より実態を反映した数値を踏まえて車を選ぶことができるようになる。

現行の「JC08モード」は、道路を走らせず、計測装置上で加減速を繰り返して燃費を測定する。燃費は運転の仕方や交通状態などで変わるため、実際は表示より2割前後下回るとされ、「実感とかけ離れている」と不評だった。

10月に表示が義務化されるWLTCモードは、国連のルールに基づく世界共通の燃費測定方法。市街地や郊外、高速道路の走行を想定した三つの数値とそれらの総合値を表示する。装置上で計測する点は同じだが、エンジンが冷えた状態で測定を始めるなど、現行方式より条件が厳しい。ダイハツ工業の軽自動車「ミライース」は、新方式の総合値が最高25.0キロと、現行方式の同35.2キロから29%下がる場合がある。トヨタ自動車の高級車「クラウン」の一部グレードでは、新方式が20.0キロ、現行方式は24.0キロと17%悪化する。

一方、マツダのセダン「アテンザ」のガソリン車は新旧の差が10%以下。トヨタの小型車「カローラスポーツ」のマニュアル車の一部は、新方式の方が燃費がいい。車種によっては新旧の燃費が当面併記されるため、車を選ぶ際は注意が必要だ。

ヤフーニュース

カタログ燃費の計測は車を走らせていない?

この記事から分かる通り、いままでの日本独自の基準は、実際の燃費との乖離があったことが分かります。しかも、いままでの測定方式は、MTよりもATやCVTが有利であった訳です。というより、測定方式に合わせてセッティングされていたと言っても良いかも知れません。

いままででも、ATやCVTの車でカタログ燃費を実際に叩きだすのはほとんど無理でしたが、MTであればカタログ燃費に近い燃費で走ることは可能でした。つまり、実燃費との乖離が少なかった訳です。

実燃費に一歩近づいたものの残る課題

今回、より実燃費に近い測定方式が義務付けられたことによって、ATやCVTの「ドーピング」が明らかになりました。燃費試験の時だけ良いスコアを出す事に血眼になっていたため、益々現実とのギャップが大きくなってきたのでしょう。仕組みから言っても、ATやCVTが燃費良く走るのは難しいものです。

しかし、なおWLTCモードにおいても、実際に車を走行させていている訳ではありません。さらに言えば、実際にどんなスキルのドライバーが、どんなルートを、どのように走るかというのをひとつも想定せずに行っている燃費試験です。これは、その車種の基準値を算出するために仕方のないことかも知れません。しかし、カタログや自動車比較の場所において、唯一の指標として表示される燃費の数値であるため、独り歩きしやすいのも事実です。あの車は燃費がよい、あの車は燃費が悪い。ATはMTより燃費が良い。こういった、一部の情報を見てすべてが当てはまるかのような論調を生んできました。

実際には、どのような場面においても、MT車の方が燃費が良くなる機械的な特徴があります。それは、路面に合わせたギアの選択がドライバーに任されている点と、動力がタイヤまで機械的にほぼ直結している点です。ATやCVTでは、燃費基準値を良く見せるためもあり、なるべく高いギアでの走行を維持するプログラムになりがちで、そうすると緩い上り坂や、減速後に再加速するような場面での走行品質が悪くなりがちです。こうした場面では、走行品質の悪化をカバーするためには多めにアクセルを踏み込む以外になく、どうしても燃費は悪化しやすいのです。これはカタログ燃費には反映されていません。

一方で、MT車の場合は走行品質の良し悪しは、ドライバーのスキルに依存します。このため、ATやCVTよりも良い燃費を維持するためには、運転スキルの向上を図る必要があります。言い換えれば、ATやCVTの走行品質は誰が運転しても一定ですが、MTの場合はドライバーのスキルによって大きく変わります。シンプルな仕組みのトランスミッションながら、最良の燃費をたたき出すことも可能です。ここがMT車の魅力のひとつとも言えるのではないでしょうか。

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